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第23話 魔族が学校を見学してみる その4
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ゼムドが褒美をやると言って目の前にまで来る。
ゼムドはキエティを抱き寄せて、キスをした。
キエティは一瞬、頭が真っ白になった。
しかも口の中でゼムドの舌がキエティの舌に絡んでくる。
次の瞬間、思わずゼムドを突き飛ばしていた。
ゼムドは女性が押したくらいで、動くわけがないので、キエティがゼムドから逃げたようになる。
「何をするんですか!!」
顔を真っ赤にしてキエティは怒る。
男子生徒は『ピィー』と口笛を吹いて、女生徒は『キャー』と黄色い悲鳴を上げている。
「何ではない。先ほどお前が細かい魔力コントロールの術式が出来ないと言っていたから、できるようにしてやった」
「えっ?」
「もう一度掌で小さく重力魔法を使ってみろ」
キエティはコイツの言っていることの意味が分からない。
この魔族、門外漢のフリをして、実はとんでもないスケベなのではないかと思い始めた。
「いいからやってみろ」
無表情でゼムドは命令してくる。
キエティは不貞腐れた表情で、手を出して重力魔法の魔力コントロールをしてみる。
〝あれ?〟と思った。いつもと感覚が違う。何故か重力魔法の発動がスムーズにいく、しかも物凄く小さく発動出来ている。
「なんで……」
キエティは茫然としている。
ゼムドが話しかける。
「今、炎と重力の魔法を同時に吸い込んだからな。重力の魔法についての使い方の基本は分かった。後はそれを少し高度化して、おれの体液に重力魔法を掛けてお前の体内に送り込んだ。お前の体は俺の体液を吸収すると同時に、多少の痛みを感じたはずだ。多少体内にダメージはあるが、今まで持っていた魔力回路の一部が新たに加えられたはずだ。
だから、今は先ほどよりも重力魔法コントロールがスムーズに出来ている。さきほど魔力コントロールが難しいとか言っていたが、今のお前ならそれができるはずだ」
「――では、あなたは今、重力魔法を吸い込んだだけで、重力魔法が使えるようになったということですか?」
「当然だ。魔族は相手と戦って、相手の能力が高ければそれをすぐに吸収して上回ろうとする。それが出来ないとあっという間に死ぬ。ただ、今他人を書き換えた技は、全ての魔族が出来るわけではない。過去にそのようなことをする魔族に会ったことがあるからだ。そいつは俺の魔力回路を弱め、俺の力を弱体化することが目的だったわけだが」
「……」
物凄くなんとも言えない気分だ。今までできなかったことが出来るのは嬉しいのだが……。
キエティは右手で唇を触りながら、感想を述べた。
「初めてだったのに……」
「何がだ?」
「いえ、なんでもありません」
キエティは思いっきり目を逸らす。まともにコイツの顔を見る気にはならない。
「よし、俺は今機嫌がいい。まさか、たかが人から魔法を教わることになるとは思わなかった。しかもこの魔法は使い方次第では、相当有用だ。あの生徒たちにも少しだけ礼をしてやろう」
「ちょっっと、待ったああああああああああああ!!」
キエティは両手を大きく広げて、仁王立ち状態だ。
「なんだ?」
「生徒達にもあんなことするつもりですか?」
「いや、あいつらに同じことをしても、重力魔法は使えないだろう。全く回路が無いからだ。俺のような者ならば別だが、新規の高度な魔法を覚えさせることはおそらくできない。ただ、おそらく俺が外部から、それぞれの生徒に合わせて火魔法の回路を太くしてやれば、もっと短時間での魔法の発動と、火力の向上が見込めるだろう。火魔法は、確かに単純だからな。それなら単に頭に手を乗せて、少し魔力を流すだけでいい。生徒の訓練の様子を見ていたが、それぞれの生徒にどういう魔力の癖があるかは見ていた。少しいじるだけで、簡単に能力が向上するだろう」
そう言って、ゼムドは生徒に近づいていく。
本当はここで先に走って行って、教官と生徒に事情を説明しなければいけないのだが、行く気にならない……。
結局ゼムドはそこにいた生徒と教官全員の魔力回路を太くしてやったようだ。とりわけ男子生徒は強くなった自分の火魔法に驚いて、大声を上げていた。キエティも見ていたが、かなり大幅に能力が上がっていた。正直、キエティでもかなり集中しないと、出せないレベルの火の球を作り上げていた。
そう言えば、魔力回路自体に適正な外部刺激を与えると、短期間で魔法コントロール能力が上がるのではないか、そんな研究論文を見たことがあるような気もする。ゼムドは簡単に行っていたが、多分人がそうそうできることではないのだとは思う。
そういう意味では今日、ここにいた生徒は幸運だ。
ただ、私は幸運だったのか不幸だったのかよく分からない……。
気づくと、もう日が落ちかかっていた。
大学には明日行くことにして、今日はもう帰ることになった。
魔道車に二人は乗り込んで、帰ることにする。
車中でキエティは何も喋らなかった。
喋る気にならない。
本当はこのゼムドの機嫌を取って、暴れるのを防ぐような行動をするのが自分の責務だとは思ったが、それをする気にならない。
はぁ~、と思う。
ゼムドは、本当にやらしい目的があったわけではないのだとは思う。
率直に見て、ゼムドは美形だ。
かなり整った顔立ちだ。
体もたくましい。
しかしなぁ~、と思う。
正直、異性としては全く興味が湧かない。
そんな男に……と思うと何とも言えない気持ちになった。
その日はゼムドをホテルにホテルに届けて、明日への指示を各所に行った。
それから家に帰り、すぐにベッドへ潜って寝てしまった。
就寝時間はいつもより早かった。
ゼムドはキエティを抱き寄せて、キスをした。
キエティは一瞬、頭が真っ白になった。
しかも口の中でゼムドの舌がキエティの舌に絡んでくる。
次の瞬間、思わずゼムドを突き飛ばしていた。
ゼムドは女性が押したくらいで、動くわけがないので、キエティがゼムドから逃げたようになる。
「何をするんですか!!」
顔を真っ赤にしてキエティは怒る。
男子生徒は『ピィー』と口笛を吹いて、女生徒は『キャー』と黄色い悲鳴を上げている。
「何ではない。先ほどお前が細かい魔力コントロールの術式が出来ないと言っていたから、できるようにしてやった」
「えっ?」
「もう一度掌で小さく重力魔法を使ってみろ」
キエティはコイツの言っていることの意味が分からない。
この魔族、門外漢のフリをして、実はとんでもないスケベなのではないかと思い始めた。
「いいからやってみろ」
無表情でゼムドは命令してくる。
キエティは不貞腐れた表情で、手を出して重力魔法の魔力コントロールをしてみる。
〝あれ?〟と思った。いつもと感覚が違う。何故か重力魔法の発動がスムーズにいく、しかも物凄く小さく発動出来ている。
「なんで……」
キエティは茫然としている。
ゼムドが話しかける。
「今、炎と重力の魔法を同時に吸い込んだからな。重力の魔法についての使い方の基本は分かった。後はそれを少し高度化して、おれの体液に重力魔法を掛けてお前の体内に送り込んだ。お前の体は俺の体液を吸収すると同時に、多少の痛みを感じたはずだ。多少体内にダメージはあるが、今まで持っていた魔力回路の一部が新たに加えられたはずだ。
だから、今は先ほどよりも重力魔法コントロールがスムーズに出来ている。さきほど魔力コントロールが難しいとか言っていたが、今のお前ならそれができるはずだ」
「――では、あなたは今、重力魔法を吸い込んだだけで、重力魔法が使えるようになったということですか?」
「当然だ。魔族は相手と戦って、相手の能力が高ければそれをすぐに吸収して上回ろうとする。それが出来ないとあっという間に死ぬ。ただ、今他人を書き換えた技は、全ての魔族が出来るわけではない。過去にそのようなことをする魔族に会ったことがあるからだ。そいつは俺の魔力回路を弱め、俺の力を弱体化することが目的だったわけだが」
「……」
物凄くなんとも言えない気分だ。今までできなかったことが出来るのは嬉しいのだが……。
キエティは右手で唇を触りながら、感想を述べた。
「初めてだったのに……」
「何がだ?」
「いえ、なんでもありません」
キエティは思いっきり目を逸らす。まともにコイツの顔を見る気にはならない。
「よし、俺は今機嫌がいい。まさか、たかが人から魔法を教わることになるとは思わなかった。しかもこの魔法は使い方次第では、相当有用だ。あの生徒たちにも少しだけ礼をしてやろう」
「ちょっっと、待ったああああああああああああ!!」
キエティは両手を大きく広げて、仁王立ち状態だ。
「なんだ?」
「生徒達にもあんなことするつもりですか?」
「いや、あいつらに同じことをしても、重力魔法は使えないだろう。全く回路が無いからだ。俺のような者ならば別だが、新規の高度な魔法を覚えさせることはおそらくできない。ただ、おそらく俺が外部から、それぞれの生徒に合わせて火魔法の回路を太くしてやれば、もっと短時間での魔法の発動と、火力の向上が見込めるだろう。火魔法は、確かに単純だからな。それなら単に頭に手を乗せて、少し魔力を流すだけでいい。生徒の訓練の様子を見ていたが、それぞれの生徒にどういう魔力の癖があるかは見ていた。少しいじるだけで、簡単に能力が向上するだろう」
そう言って、ゼムドは生徒に近づいていく。
本当はここで先に走って行って、教官と生徒に事情を説明しなければいけないのだが、行く気にならない……。
結局ゼムドはそこにいた生徒と教官全員の魔力回路を太くしてやったようだ。とりわけ男子生徒は強くなった自分の火魔法に驚いて、大声を上げていた。キエティも見ていたが、かなり大幅に能力が上がっていた。正直、キエティでもかなり集中しないと、出せないレベルの火の球を作り上げていた。
そう言えば、魔力回路自体に適正な外部刺激を与えると、短期間で魔法コントロール能力が上がるのではないか、そんな研究論文を見たことがあるような気もする。ゼムドは簡単に行っていたが、多分人がそうそうできることではないのだとは思う。
そういう意味では今日、ここにいた生徒は幸運だ。
ただ、私は幸運だったのか不幸だったのかよく分からない……。
気づくと、もう日が落ちかかっていた。
大学には明日行くことにして、今日はもう帰ることになった。
魔道車に二人は乗り込んで、帰ることにする。
車中でキエティは何も喋らなかった。
喋る気にならない。
本当はこのゼムドの機嫌を取って、暴れるのを防ぐような行動をするのが自分の責務だとは思ったが、それをする気にならない。
はぁ~、と思う。
ゼムドは、本当にやらしい目的があったわけではないのだとは思う。
率直に見て、ゼムドは美形だ。
かなり整った顔立ちだ。
体もたくましい。
しかしなぁ~、と思う。
正直、異性としては全く興味が湧かない。
そんな男に……と思うと何とも言えない気持ちになった。
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それから家に帰り、すぐにベッドへ潜って寝てしまった。
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