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第33話 アルフォス荒野を行く その2
しおりを挟むグリフォンの首が人族街の入口にあることが分かった。
しかも積まれている。一つだけではなくて、何個もあるはずだ。
慌てて移動を止めて、本部に連絡を取ることにする。アルフォスは同族にだけわかる信号を発し始めた。
心臓がドキドキする。
周りを何度も見渡し続けたが、特に変わった様子はない。
信号を発して十分ほど経って、本部から応答があった。
『どうした?』
『グリフォン様の首を発見致しました』
『何ぃ!? 場所はどこだ?』
『人族の街の入口になります』
『人族の街だと? どういうことだ?』
『分かりません。現在目標から、四キロメートルほど離れたところにいて、目視で確認できたため報告を優先しました。グリフォン様の首が複数地面に積まれているようです』
『そうか。それはよくやった。では、さっそく現場へ近づいてもっと状況を細かく報告してくれ』
『ちょ、ちょっと待ってください! 人族の街の近くは荒野で隠れるところがないんですよ。グリフォン様の首があるようなところへ近づいたら、遠くからでもアッという間に犯人に見つかってしまいますよ』
『うーん。でも近づかないと情報収集できないではないか。ただ、おまえはこれだけでも大手柄だぞ。1つの首発見につき10年分の給金が与えられる。お前は今複数首があると言ったな。もし、その首の個数が多ければ多いほどお前の手柄は大きいことになる。どうだ、大変かもしれないが、近づいて様子を見てきてくれないか?』
アルフォスは内心で〝うひょーーー!!〟と思ったが、同時に今自分がめちゃくちゃ危険な状況にいるのではないかと思い始めた。
『アルフォス、俺はお前のことはずっと見どころがある奴だと思っていた。お前なら近づいても大丈夫だ。お前ならやれるさ』
この上司の発言、どう考えてもこいつにも発見した場合の取り分が流れる算段になってるな。本当は、首1つの給金はもっと多いのかもしれない。
『首1つの発見の給金はもっと多いんじゃないですか?』
ここはズバッと核心を付いてみる。
『うっっ……』
上司からの信号に乱れが生じている。どうも思った通りくさい。
『正直に言ってください。そうじゃないなら、もう帰ろうかな。ここから撮影して帰るだけでも十分な成果を上げたはずだし』
『待て待て、本当だ。首1つにつき見つけた者には10年分の給金が与えられる。また、見つけたチームには追加の報奨として追加でチーム自体に5年分の給金が与えられる。お前が行ってくれると俺たちの成果報酬も上がる可能性があるんだよ。それは事実だ。それにはっきり言うが、お前がもし本当に犯人に狙われているならもう殺されているはずだ。グリフォンを殺せるような種族が、仮に首を餌に何かをおびき寄せているとしたら、おまえはとっくに犯人には見つかっているはずだ。それでも犯人が襲ってこないということはおまえを殺すつもりは無いはずだ』
うーん、と思う。確かにそうなんだよな。
それに今更逃げようとしても、上位種が本気で探査し始めれば、逃げ切れるわけがないんだよなぁ。あの上位種のドロっとした魔力が一気に広がって体に触れられていく感じは物凄く気味の悪いものがある。
『うーん、じゃあ、ギリギリまで近づいて様子を見てみますね』
『ああ、ありがたい。気をつけてな』
上司から申し訳程度の気遣いを貰って、現場へ近づくことにする。
流石にダッシュで近づく気にはならないので、一応野生動物のフリをして普通に歩きながら人の街へ近づいてみる。
そして、近づくにつれてあることに気が付いた。妙に腐敗臭が強い場所があるのだ。
よく見ると周囲に何かの肉片が落ちている。
んん? と思う。そして、ふと左下の窪地に目をやると、そこにはグリフォンの半身が落ちていた。
「うお!!」
思わず大きい声を出してしまった。
ああ、俺のバカ! 野生動物は〝うお!!〟とか言わねーんだよ!!
何か知らないけど、テンションが上がっているのを感じる。
慌てながら通信板を取り出して、窪地からやや遠くでグリフォンの半身の様子を撮影していく。それから窪地に降りて対象に近づいてみると、グリフォンの上半身の一部であるのは間違いない様子だ。
聞いていた話によると、アルフォスの任務である〝グリフォンの死骸を探せ〟というのと〝グリフォンの首7つを探せ〟というのは別の任務であり、この窪地に落ちているグリフォンの上半身の発見が、本来のアルフォスの任務だったのではないだろうか?
とりあえず一通り撮影して、さらに同時に周辺の様子も撮影していく。
何かこの辺りは腐敗臭がひどい、なんというか、肉をまき散らしたような気がする。
そう思いながら、いよいよ本番だ。
人の街の入口に近づいて行く。
そして、近づいてみて分かった。
グリフォンの首は7つだ。
それらが積まれている。
通信板を取り出して、グリフォンの首達が分かるように全体像とそれぞれの7個の首の様子を撮影してく。グリフォンに対しては良い印象があるわけではなかったが、それでもワルエルド隊長の首を撮影する時だけは胸が痛んだ。
ふう。撮影は一通り終了した。任務完了だ。
その時だった。
急に、後ろから〝あの~〟と声を掛けられた。
「うわーーーーーーーーーーーーーー!!」
次の瞬間、アルフォスは自分でもこんな声が出るのだとばかりの悲鳴を上げて、抑えていた魔力を思いっきり開放して走り出していた。
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