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第47話 キエティの絶体絶命 その2
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シェルドミルは、グリフォン軍を一度見た。全兵士はこちらを見ている。
そこで、これからの作戦を話すことにした。
「私の責任でグリフォン全兵に命じます。エルフの移送隊六百体は、もう一度人の街に向かい、人族及び人族の街を完全に破壊してしまいなさい。龍種は人の価値を認めているようですが、今回の事件の概要を説明すれば、人族を滅ぼすことに関して十分な正当性は主張できるでしょう」
そう言ってから、視線を変えて話を続ける。
「ガルマハザード、あなたはどうします?」
「俺も人の街に行く。楽には殺さん。時間を掛けて一匹ずつ潰していく。グリフォン史上に残るほどの蹂躙を見せてやろう」
この場にいる一番大きいグリフォンはそう答えた。
キエティは慌てた。
「お待ちください!! 裁判にて弁明の機会が与えられるのではないでしょうか?」
ガルマハザードはさっきとは全く違う、冷めた目と低い声をしてキエティに返答する。
「貴様、本当にたかが人族が、偉大なるグリフォンの裁判所に入廷できると思っているのか? 裁判所というのは同種を裁くための場所だ。お前のような者は入ることすらできない。貴様は最後の人族の生き残りとして、生かしたまま拷問を続けられるだけだ」
あ、っとキエティは思った。
最初から、グリフォンは人族に弁明の機会など与えるつもりなどなかったのだ。
そうだった。
〝あの男〟の言う通りだった。
カズマサはしたたかな男ではあったが、私と違って政治については分かっていた。
あの時カズマサが〝しまった〟といった顔をしたのを思い出した。
あの男はもう、人族の街から逃げてしまっているだろう。
グリフォンの性質を考えればこうなることは予想しなければいけなかったのだ。
悔しくて、涙が出そうになる。
ガルマハザードは手を振りかざして、大きい声を出した。
「よし、移送隊五十体は俺を筆頭について来い! 人の街へ攻め込むことにする!!」
――。
――――。
次の瞬間だった。
何故か、上から声が聞こえてきたのだった。
「おい、キエティ。古代語にメルドフォーサル語というのがあるが、これの翻訳が進んでいないようだ。ただ、お前が教えている重力科の誰だったか分からないが、趣味で古代語を研究している者がいるのではなかったか? 古代語に興味がある。案内しろ」
全体の空気が変わる。
シェルドミルはこの瞬間〝仕掛けてきた〟と思った。
敵が〝罠〟に掛かった!!
信号を送って、一斉に今まで隠しておいたグリフォン兵をこちらへ向かわせる。
魔族が喋る。
「おい、何を座り込んでいる。立て。帰るぞ。今ならまだ日が落ちていない。大学とやらにそ奴はいるだろう」
そう言いながら、魔族はゆっくり上空から降りてくる。
ガルマハザードは目の前に魔族がいきなり現れて、訳の分からないことをしゃべり始めたので呆気に取られていた。
が、次の瞬間、スイッチが入った。
「おい、貴様か? エドワードを殺したのは?」
地面に降り立ったゼムドはキエティを見ながら、キエティの方へゆっくりと歩いていく。
グリフォンには目もくれない。
一方、キエティはゼムドの方は見ず、座り込んで俯いたままだ。
ゼムドはキエティの近くに来て、立ち止まった。
「――おい、立て。帰るぞ」
キエティは目を地に伏せたまま、肩を震わせている。
何かを考えているのか、何かをしようとしているのか、よく分からない。
しかし、絞り出すような声で喋った。
「ううぅ……人が……人族が、滅んでしまう……」
ガルマハザードが怒鳴る。
「おい、魔族。俺様の質問に答えろ!! お前がエドワードをやったのか!?」
ガルマハザードが羽を少し動かす。
この瞬間、衝撃波でキエティが殴られる。
キエティは軽く吹っ飛んで、ゼムドの足にぶつかる。
そして、その衝撃で口の中を切ったのか、キエティの口から血が垂れる。
シェルドミルは〝ここだ〟と判断をして追い打ちを掛ける。
「よし、確かに人族をすぐ滅ぼしてしまっても面白くありませんね。一人ずつ皮を剥いで、すり潰し、ひき肉にしてそれを人族の子供に与えて育ててみましょう。どういう成長をするのか楽しみですね」
ゼムドはキエティを見ているが、何かいつもよりキエティが小さく見える気がする。
キエティが少し顔を上げて、本当に悲しそうにゼムドを見た。
ここでゼムドはキエティの頬に何かついているのに気付いた。
キエティの頬が水で濡れている。
いや、涙だった。
次の瞬間ボロボロとキエティは泣き出した。
ゼムドはゆっくりと顔を上げた。
今日初めてグリフォン達を見る。
そして生まれて初めて本気で怒った。
そこで、これからの作戦を話すことにした。
「私の責任でグリフォン全兵に命じます。エルフの移送隊六百体は、もう一度人の街に向かい、人族及び人族の街を完全に破壊してしまいなさい。龍種は人の価値を認めているようですが、今回の事件の概要を説明すれば、人族を滅ぼすことに関して十分な正当性は主張できるでしょう」
そう言ってから、視線を変えて話を続ける。
「ガルマハザード、あなたはどうします?」
「俺も人の街に行く。楽には殺さん。時間を掛けて一匹ずつ潰していく。グリフォン史上に残るほどの蹂躙を見せてやろう」
この場にいる一番大きいグリフォンはそう答えた。
キエティは慌てた。
「お待ちください!! 裁判にて弁明の機会が与えられるのではないでしょうか?」
ガルマハザードはさっきとは全く違う、冷めた目と低い声をしてキエティに返答する。
「貴様、本当にたかが人族が、偉大なるグリフォンの裁判所に入廷できると思っているのか? 裁判所というのは同種を裁くための場所だ。お前のような者は入ることすらできない。貴様は最後の人族の生き残りとして、生かしたまま拷問を続けられるだけだ」
あ、っとキエティは思った。
最初から、グリフォンは人族に弁明の機会など与えるつもりなどなかったのだ。
そうだった。
〝あの男〟の言う通りだった。
カズマサはしたたかな男ではあったが、私と違って政治については分かっていた。
あの時カズマサが〝しまった〟といった顔をしたのを思い出した。
あの男はもう、人族の街から逃げてしまっているだろう。
グリフォンの性質を考えればこうなることは予想しなければいけなかったのだ。
悔しくて、涙が出そうになる。
ガルマハザードは手を振りかざして、大きい声を出した。
「よし、移送隊五十体は俺を筆頭について来い! 人の街へ攻め込むことにする!!」
――。
――――。
次の瞬間だった。
何故か、上から声が聞こえてきたのだった。
「おい、キエティ。古代語にメルドフォーサル語というのがあるが、これの翻訳が進んでいないようだ。ただ、お前が教えている重力科の誰だったか分からないが、趣味で古代語を研究している者がいるのではなかったか? 古代語に興味がある。案内しろ」
全体の空気が変わる。
シェルドミルはこの瞬間〝仕掛けてきた〟と思った。
敵が〝罠〟に掛かった!!
信号を送って、一斉に今まで隠しておいたグリフォン兵をこちらへ向かわせる。
魔族が喋る。
「おい、何を座り込んでいる。立て。帰るぞ。今ならまだ日が落ちていない。大学とやらにそ奴はいるだろう」
そう言いながら、魔族はゆっくり上空から降りてくる。
ガルマハザードは目の前に魔族がいきなり現れて、訳の分からないことをしゃべり始めたので呆気に取られていた。
が、次の瞬間、スイッチが入った。
「おい、貴様か? エドワードを殺したのは?」
地面に降り立ったゼムドはキエティを見ながら、キエティの方へゆっくりと歩いていく。
グリフォンには目もくれない。
一方、キエティはゼムドの方は見ず、座り込んで俯いたままだ。
ゼムドはキエティの近くに来て、立ち止まった。
「――おい、立て。帰るぞ」
キエティは目を地に伏せたまま、肩を震わせている。
何かを考えているのか、何かをしようとしているのか、よく分からない。
しかし、絞り出すような声で喋った。
「ううぅ……人が……人族が、滅んでしまう……」
ガルマハザードが怒鳴る。
「おい、魔族。俺様の質問に答えろ!! お前がエドワードをやったのか!?」
ガルマハザードが羽を少し動かす。
この瞬間、衝撃波でキエティが殴られる。
キエティは軽く吹っ飛んで、ゼムドの足にぶつかる。
そして、その衝撃で口の中を切ったのか、キエティの口から血が垂れる。
シェルドミルは〝ここだ〟と判断をして追い打ちを掛ける。
「よし、確かに人族をすぐ滅ぼしてしまっても面白くありませんね。一人ずつ皮を剥いで、すり潰し、ひき肉にしてそれを人族の子供に与えて育ててみましょう。どういう成長をするのか楽しみですね」
ゼムドはキエティを見ているが、何かいつもよりキエティが小さく見える気がする。
キエティが少し顔を上げて、本当に悲しそうにゼムドを見た。
ここでゼムドはキエティの頬に何かついているのに気付いた。
キエティの頬が水で濡れている。
いや、涙だった。
次の瞬間ボロボロとキエティは泣き出した。
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そして生まれて初めて本気で怒った。
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