最強の魔族がやってきた ~人の世界に興味があるらしい~

夏樹高志

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第38話 二人のグリフォン兵

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 グリフォン兵の一人、ガルマハザードは発見された首の回収部隊において、副隊長に任命された。

 ガルマハザードはグリフォンの兵の中でも一番大きい。単に力だけなら、殺されたワルエルドを超えていたかもしれない程だった。
 ただ、副長に任命された。
 理由は単純だ。ガルマハザードには人望が無かった。

 いつもイライラして周囲のグリフォンや獣族の下位種や中位種に八つ当たりしていた。何かと戦いたいが、それができる場所が無い。力があるのに生かせないのにいつも腹が立っていた。

 しかし、今回は面白い事件が起こった。ワルエルドが殺されたのだ。
 正直、〝ざまぁみろ〟と思った。
 自分より弱いかもしれないような奴が何故か国民から慕われ、龍種と直に会ったことがあるのも気に食わなかった。

 ワルエルドが死んで、これで俺がグリフォン軍のトップになれる。そう思った。何者か知らないが、今回ワルエルドを殺してくれたものに、感謝しなければいけないのかもしれない。

 是非ともと思い、回収部隊に志願した。しかし、一度目は回収部隊の選別から落とされた。

 激怒して、情報局主任シェルドミルの部屋に怒鳴り込むと、シェルドミルは涼しい顔をしてこう答えた。

「今回の作戦は隠密作戦になります。敵の目的についてですが、グリフォン軍の戦力の分離にあると思われます。あなたのその力は、もし万が一、本国が襲われた場合に備えて温存しておきたいのです」

「バカな! 七体のグリフォンが殺されているような敵なら、五十体の部隊を送っても襲われれば、何人かは死ぬことになるだろう。俺の戦力があれば、その死者を減らせるかもしれないではないか!!」

 そう言って、怒鳴る。
 この時二人はお互いに嘘を付いていた。

 情報局主任シェルドミルは〝温存しておきたい〟という表現を使ったが、これは嘘で、協調性が無く問題行動を起こすガルマハザードは、今回の任務から外すべきだと思ったのが理由だった。
 また、ガルマハザードの〝死者を減らせる〟とはただの出まかせで、敵からの奇襲があった場合、そこで活躍して自分の武功を立てたいと思っていただけであった。

 二人は睨み合う。

「今回の任務は極めて重要な任務になります。失敗は許されません。はっきり言いましょう。あなたのこれまでの軍部での行為から、今回の作戦にあなたは適していないと思い、作戦部隊から外させていただきました」

「何?」

「あなた自身、思い当たる節はあるでしょう。これまでの問題行動を。あなたの起こした不始末は軍法会議ものばかりですよ。私がどれだけ苦労したと思っています?」

「……」

 さすがにガルマハザードも言い返せない。
 それなりのことはしてしまっている。
 しかし、どうしても作戦に参加したい――。

 ガルマハザードなりにしばらく考えていた。
 そして、結論を出す。

「――済まなかった。これまでのことは謝罪しよう。今後、軍規をを乱すようなことはしないことを、ここに誓う。だからどうか、今回の回収作戦に参加させてくれ」

 情報局主任シェルドミルは少し驚く。

 あのガルマハザードが、これほど素直に謝るとは思わなかったのだ。
 少し考え直してみる。

 確かに、あの五十体の中にこのガルマハザードがいれば、万が一戦闘になっても死者が減らせる可能性は高い。協調性は無いが、単騎での戦力は相当のものだ。
 それに敵の目的が軍事力の分散であるならば、小さい方を狙ってくることは予想できる。その点を考慮すると、ガルマハザードを部隊に加えるのはメリットがあることはあった。
 そう判断して、もう一度ガルマハーザドに問いかける。

「今回の作戦は隠密行動が求められます。あなた一人が仮に先走ってしまうと、全滅の可能性もあります。本当に問題行動を起こしませんか?」

 ガルマハザードは目を閉じながら返答した。

「ああ、その点に関しては誓おう。俺は敵が出てきたら戦いたいだけだ、兵士同士で戦いたいわけじゃない。作戦に同行させてくれ」

 情報局主任シェルドミルはじっとガルマハザードを見ていて、やや時間を置いてから、こう返答した。

「分かりました。今回の作戦にはあなたも同行してもらいます。ただ、あなたは隊長ではなく、副隊長として隊長命令に従って行動してもらいます。もし、今回勝手な行動が見られた場合には、内容次第では極刑に処せられる場合があると思ってください」

「分かった。隊長に従う。兵士の足並みは乱さない」

 そういってガルマハザードはシェルドミルのいる部屋を出て行った。

 情報局主任シェルドミルはガルマハザードの素直な態度に驚いた。

 ――やはり戦闘種は戦闘種か――

 そう思った。

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