最強の魔族がやってきた ~人の世界に興味があるらしい~

夏樹高志

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第二章

第75話 目覚めし者

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 龍が覚醒していく。

 結界を張ったままで、魔力を放出している。龍は魔核から魔力を放出するのが苦手だ。そのため、結界を張ったままで自分の体に魔力を充填しているのだろう。龍の鱗が光り輝き始めていく。
 さすがに、龍と闘うとなると、少し、力を出さざるを得ないか。

「カルベルト、全員を一箇所に集めろ。強い結界を張る」

 カルベルトはこちらへ返事をせずに大声を出した。

「全員、俺の近くへ早く来い!! 急げ!!」

 冒険者達が慌てて、カルベルトの方へ向かっていく。
 龍を見る。以前のコメドロファルからすると、あと20秒といったところか。

 ……。

 この龍の眼を見ていると、三千年前のコメドロファルを思い出す。
 あの時のコメドロファルの心理も今ならば分かる。あいつは自分なりに世界を護ろうとしたのだろう。俺としては、あの最終段階で、どちらが上かは分かっているのだと思った。コメドロファルが、どうあがいても俺には届かないのは、あいつも分かっているはずだと思った。俺としては只の組手のつもりだったが、あいつにとってはそんな軽い意味の戦いではなかったのだろう。

 ……。

 結果論だが、あんな終わり方になるくらいなら、俺が殺してやれば良かった。残念だ。

 次の瞬間だった。
 龍が結界を解いた。と、同時にブレスの体勢を取った。
 バカな、早すぎる。まだ、10秒も経っていない――。
冒険者達はまだ、カルベルトの近くへ来ていない。

 しょうがないか。

 一瞬で、魔力を放出し、この辺り一帯に結界魔法を張ると同時に移動をした。
 移動する時は、〝わざと〟龍に見えやすいように移動していく。
 移動した場所は龍の〝真上〟だ。

 龍が首の向きをこちらへ向けて、ブレスを放った。
 光の柱がこちらへ向かってくる。ブレスといっても炎ではない。これは光魔法の一種だ。ただの線光の様に見えるが、触れるだけで何も残らない程、分子構造を破壊される。それを結界魔法で防御する。さすがに、広範囲を護ることは出来ないので、自分の体以外の場所はブレスで、消滅していく。だから、龍のいる場所の天井は、もう既に、何も無くなっていた。そして、天井からは陽の光が差し込んでくる。

 そこまで強い相手ではないが、面白そうだ。
 何の技を持っているか知らないが、盗ませてもらおうか。
 適当にこいつを引き上げて、結界に閉じ込めて踊らせてみよう。
 そう思った瞬間だった。キエティの顔が目に映った。
 不安そうな表情をしている。

 ……。

 …………。

 仕方ない。今回は諦めるか――。

 一瞬で決着をつけることにする。
 己の魔力を強めに放出した。
 それと同時に、龍が一気に防御態勢を取った。
 流石に力の差を理解したのだろう。

 だが、もう遅い。手遅れだ。
 重力魔法で一瞬にして龍の下へ移動し、龍の顎を力任せに殴った。
 ベキベキと骨が折れる手ごたえを感じる。この感じなら、おそらく、首の骨にも損傷が出ているはずだ。

 龍の眼から光が消え、龍の鱗の輝きも失われていく。
 龍が瀕死になったせいで、魔力コントロールが効かなくなり、周辺に魔力が漏れ出しているので、これを結界で抑え込んでいく。
 同時に自分も魔力放出を抑えた。
 そして、カルベルトを見据える。

「終わりだ。龍はもう動けない。俺はこの後、この龍を龍族の土地へ連れていく。お前たちはどうする?」

 カルベルトは即答した。

「俺達も地上へ引き上げてくれ。俺達は武器を持っていない。今から、ダンジョンを自力で戻るのは不可能だ」

「了解した。では、先に戻った連中と同じ場所でいいか?」

「ああ、それで構わない」

 キエティの方を見た。

「キエティ、済まないが、お前と一緒に帰ることはできない。カルベルトやキリに従って、キウェーン街まで行ってくれ。俺が送ってやってもいいが、それよりもカルベルトやキリと行動を共にした方がいいだろう」

「そうですね。そうさせてもらいます」 

 キエティは無表情でそう答えた。また、カルベルトがここで注文を出してきた。

「なぁ、この空いた穴を塞いでくれないか?このままだと、地中の魔素や、下層のモンスターがこの穴から地上へ出る恐れがある。多分、マズイ」

「分かった。お前達を送り届けた後で、ここは塞いでおく。問題ない。ではお前達を送るぞ」

 そう言って、全員をダンジョンの入口へ送った。
 そして、龍を連れて、穴から出ていく。

 穴から出ると、そこには5人の魔族がいた。
 アザドムド、ワダマル、エスカ、シヴィ、ケリドだ。ミホはいない。ゲームだろうか?
 龍の魔力放出に気づいて、様子を見に来たといったところか。

「ゼムド殿、一体どうしたでござるか? 異変を感じたので、慌てて来てみたが何か問題があったのでござろうか?」

「人族の要請で、ダンジョンを探索していた。どうもおかしい階層があるという事で、俺に調査の依頼が来た。それで最下層まで到達したら、この龍がいた、というわけだ。俺はこれからこの龍を連れて、龍族の土地へ行くつもりだ」

 厳密にはキエティに甘くなり、ダンジョン探索をしたのが理由だが、6人にも、人族に手を貸すな、と言っているのでその辺はごまかす事にした。
 これを聞いて、アザドムドがクルっと向きを変えた。

「俺はゲームをやる。じゃあな」

 あっという間に飛んで行ってしまった。ワダマルもこちらを見て同じような返答をしてくる。

「拙者も申し訳ないが、辞退させて戴きたい。大丈夫でござろうか?」

「ああ、問題ない。お前は、またしばらく休んでいてくれ。お前の分の魔石は後で採ってくる」

「かたじけないでござる」

 ワダマルも一礼して、飛んで行ってしまった。
 残されたメンバーは三人だ。

 ここで思う。
〝ケリド、気づけ。おまえならここで何を言えばいいか分かるはずだ〟

 ケリドは無表情のままにこう言った。

「ここに龍がいたというのを龍族が知らなかったはずはありませんね。ゼムド様が人族の国に懇意にしようとしているのに、ここに龍を放置したというのは看過できません。ゼムド様だけでなく、私たちも龍族の下へ向かい、圧力を掛けた方がいいでしょう」

 妥当だ。いい判断だ。
 ここで、問題なのは龍ではない。〝エスカ〟と〝シヴィ〟の二人だ。
 俺が人族の国を離れるに際して、龍を抱えたままでは移動にやや時間が掛かる。二人がマンションに張った結界を出て、暴れられる可能性があるのは〝今〟だ。人族の国に、こいつらを置いてはいけない。一緒に龍族の土地へ連れて行くのが〝正解〟だ。

「俺もそう思う。エスカ、シヴィ、お前達も一緒に龍族の国へ来てくれ。龍の証言を確認してくれ」

「構いません事よ。どうせ私は暇でしたし」

「私も構いません。ご命令とあらば、ご同行致します」

 こうして、4人で龍族の地へ赴くことになったのだった。

**************

 ゼムドはファルデザートにダンジョンの最下層に至るまでの経緯を説明し、スカルドラゴン、そして封印されていた龍について説明を求めた。

 ファルデザートは目を閉じて、ゼムドの話を聞いていたが、しばらくして話し始めた。

「その龍は厳密には龍ではない。龍と獣族の混血児だ。だから、そのように小さい個体だ。
その龍はかつて、我らと一緒に生活を共にしていたが、我らにも、そして、獣族にも認められることが無かった。半端者であったからだ。別に我としては、その者を阻害したつもりはなかったが、ただ、一部の龍は純粋な竜ではないものを嫌うものがいた。また、獣族にとっても、同じようにその龍は純粋種でない。混血児を忌避したのだ。そして、その個体は、自らの居場所がなくなり、誰の目も届かないところへ行ってしまった。そして、お前の話を聞く限りでは、人族の国の近くに結界を張って、眠りについたのだろう」

「……そういうことか。だから、あれほど、魔核から魔力を放出するのが早いわけか。上位の獣族なら龍族よりは早く魔力を放出できる。それの血を引いている、ということか」

「そうだ。ただ、その龍の親の獣族の種類は特定できていない。その辺も本人にとっては悩みの一つだったのだろう」

 俺以外の三人の魔族も話を聞いて驚いているようだ。
そして、ここで、ファルデザートがケリドを見て、意外なことを言い出した。

「以前、そこの、我に腕を食させた魔族の子供、それも同じように魔族と獣族の混血児だな」

 ケリドが驚愕した顔をした。

「本当でしょうか? 私は純粋な魔族ではないのでしょうか?」

「なんだ? 気づいていなかったのか? お前は混血児だ。お前の腕を食べたんだ。我が一番それは分かっている。お前の肉の味は純粋な魔族ではない。それにお前の腕の切断面は、あれから二年経っても、完全に再生していない。もし、お前が純粋な魔族であったら、もうすでに腕はほぼ回復しているはずだ。その回復の遅さが、お前が魔族でないことを示している。それにゼムドの話を聞く限りでは、お前は魔族っぽくないという話だったと思うが、それが原因だろう。お前自身は、魔族と獣族と両方に興味があるのではないか?」

 ケリドは黙りこくって、考え始めた。そして、ファルデザートに質問する。

「私の片親の獣族の種族についてはご存じないでしょうか?」

 ファルデザートは首を振った。

「分からぬ。流石に、我でもお前が何の獣族の血が混じっているか、までは分からない。ただ、調べる方法はあるかもしれない。人族の医療機関に出向いて、お前の体細胞を分析してもらう。そして、そのデータと類似する獣族の遺伝子を見つけ出せば、おまえの親の種族が判明するかもしれない」

「その方法を使えば、龍の混血児の親の種族も特定できるのではないでしょうか?」

「そうだな。出来る可能性が高い。ただ、あの龍はもう他人に心を開くことはないだろう。親を知りたいとは思わないかもしれない」

 ゼムドが尋ねた。

「あの龍についてはどうするつもりだ?」

「とりあえず回復させる。お前にそれなりのダメージを与えられている。動けるようになるのに一年程度は時間が掛かるだろう。長い冬眠のせいで、体力が落ちている状態でダメージを喰らっている。しばらくは意識も戻らないだろう」

「そうか。それは悪いことをしたな」

「いや、そうでもしないと、おそらくここへは連れてこれなかった。そういう性格になってしまっている。それに……」

「なんだ? 他にもなにかあるのか?」

「あの龍は人型になることもできる。要は、お前たちのような感じだな。多少、皮膚の一部に龍の鱗が残るが、服でも着れば、ただの人に見えるはずだ」

「まさか、あの龍が回復したら、人族の国へ送るつもりか? あれは人を襲おうとしたぞ」

「それはお前たちが何か手を出したのではないか? あれは心を閉ざしてはいるが、人を襲うような人格ではなかったはずだ」

「……俺達としてはダンジョンの最下層にいた不安定要因を探っていただけだ。攻撃したわけではない」

「まぁいい。そこはそれほど問題ではない。寝ている時に、変な連中が来たら気分を害しただけなのかもしれない。どちらにしてもあの龍については、しばらく我らが管理する。お前達には手を出させない」

「いや、こっちとしても願い下げだ。面倒ごとに巻き込まれたくはない」

ファルデザートはそう言って、残りの2人の女性を見た。

「その二人は何だ? 何か用が会ってここへ連れ来たのか?」

 ケリドがここで一歩前に出た。

「この龍について私や彼女らも興味を持って、その詳細が知りたいがためにここへ来ただけです。特に深い意味はありません」

「……そうか」

 ファルデザートは何か気づいたかもしれない。

********************

4人でゆっくりと空を飛びながら、人の国へ戻ることにした。
ケリドに話しかけてみた。

「まさか、おまえが他種族との混血だとは思わなかったぞ」

「はい。私も驚いています。ただ、言われてみると、そのように考えなければいけなかったのかもしれません。私自身、明らかに他の魔族と同じではない行動様式を選択することが多かったのは事実です。推測出来て当然だったかもしれません」

「おまえは親を探したいのか?」

「分かりません。ただ……いえ、やはり探してみようかと思います」

 ここで、言っておいた。

「ケリド、お前が俺に仕えてくれているのは感謝している。ただ、お前自身が何かやりたいことがあるなら、別に俺に無理して付き合う必要は無い。考え方が変わった時は、無理せずに申し出てくれ。今度は逆に俺がお前の力になってやろう」

「――ありがとうございます。ですが、今現在、私は日々の生活に不満があるわけではありません。今後、龍族名義で闘技大会が開かれますが、その手の運営をするのが、実は楽しみであったりします。私はゼムド様と違って、そのような雑務をするのが好きなのです。当面はゼムド様の下で行動させて戴きたいと思います」

「そうか。まぁ、好きにしてくれ。俺の方はそれで助かる」

 そう言って笑ってやった。

「そういえば、ミホはどうした? さっき現れなかったが」

「ミホさんは完全に音楽とゲームに夢中ですね。一切こちらに反応しません。先ほどの魔力を感知しても、出て行かないレベルですね」

「それは良いのか悪いのかよく分からないな。アザドムドはどうだ?」

「同じ感じですね。完全に引きこもっています。ただ、今回の龍の魔力には反応したようですが」

 エスカとシヴィを見た。

「二人はどうだ? まだつまらんか?」

「私はジュースやお菓子が割と悪くない感じですね。辞書に関しては一通り読み終えて、今は、その……まぁ、小説のようなものを読んでおります」

 エスカは歯切れが悪い感じだ。シヴィの方を見た。

「私も辞書は全て読み終えて、現在は人族の生活に関する情報ばかりを読んでいますね。先日までは人族に興味があったわけではないのですが、現在は、少し、興味が湧いています」

「そうか。二人ともそんな感じか」

 正直、二人の言動を鵜呑みにしていたわけではないが、ただ、疑っているだけでは駄目だ。
 出来れば二人の様子をチェックした方がいいかもしれない。言い方を変えるか。

「ケリド、今から、お前たちが住んでいるマンションへ俺も行く。アザドムドやミホがどうなっているか見てみたい」

 本当はエスカとシヴィの部屋を見たいのが本音だが、とりあえずこの場ではそのように嘘をついた。

「分かりました。私も同行します。エスカさんやシヴィさんの部屋も覗いてみてはどうでしょうか? 必要なものがあれば、ゼムド様の目からみて、お二人に何かを準備して差し上げた方が良いように思いますが」

 ケリドは流石だ。頭が切れる。

「そうだな。じゃあ、エスカとシヴィの部屋にも行ってみるか」

 ここでエスカが話題を変えてきた。

「ゼムド様、できれば私も抱き上げて欲しいのですが?」

「どういうことだ?」

「二年前にあのエルフをあなた様が抱き上げていたではないですか?私にもその権利があると思うのですが」

「……分かった。今、やってやろう」

 そう言って、空中で止まった。残りの三人も同じように速度を止めた。

 エスカを抱き上げてやった。エスカは嬉しそうにしている。それからまた飛行していく。

「これがいいのか?」

「ええ、いいですね。今度から是非このようにして移動して頂きたいですね」

「……よく分からん感覚だ」

「ゼムド様には分からないでしょうね。きっとケリドにも」

 そう言って、エスカは笑顔で遠くを見ている。何が楽しいのかよく分からない。

 しばらくして、エスカがこちらを見て話し始めた。

「ゼムド様、私も多少人族の生活に興味があります。現在は、ジュース等を届けてもらっていますが、できれば、自分で選んで買ってみたいと思います。また、街中のショッピング等にも興味があります。外出の許可を貰えないでしょうか?」

「ダメだ。お前に関してはもう少し様子を見たい。俺かケリドと一緒でないと外出は許可できない」

「あら、信用されていないのですね。残念ですわ。ではケリドと一緒なら外出してもいいのでしょうか?」

「いいだろう。あるいは俺の時間のある時でも構わない」

「ゼムド様がお忙しいのは分かっております。ケリドも忙しいでしょうし、お二人の時間のある時で構いませんよ。それなりに買い溜めをするつもりですが」

「分かった。なるべくおまえにも付き合おう」

 そう言って、飛び続ける。エスカの顔を見る限り嬉しそうだ。こいつがこんな穏やかな表情をしているのは初めて見たかもしれない。そう思って飛び続けた。
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