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幕間 その8 大峡谷で
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ギルドの不正を暴いてから、僕達はすぐに次の街へ向かった。
手続きが面倒だったからだ。国とギルドの方の色々な書類にサインをしていかなければいけないようだったが、面倒だったので適当に言い訳をして逃げた。
まぁ、後のことはあの国とギルドで対処すればいい話だ。
三日ほど飛び続けた。
次に目指す街は、先ほどの国の領域内だった。
大きな谷、つまりは大峡谷とやら、らしい。
行ってみると、確かに谷なのだが、どちらかと言うと平坦な大地を上から削っていったような感じか。
ケーキの上を指でなぞると、指で触った部分は凹むわけだが、そんな感じの線が何本も大地に沿って、うねっている。そして、その線が谷になっている感じだった。
一本一本の大峡谷の大きさは高さが数百メートルから数千メートルあるかもしれない。
めちゃくちゃ幅が広い感じだ。多分、地殻変動で盛り上がったり、盛り下がったりし、そこに大雨が降って、大地がさらに削られていったのだろう。
大峡谷の側面を見ていると、白や赤や黄色といった様々な色彩が折り重なっている。赤い色の層は、おそらく鉄で、酸化したものだろう。自然界の鉄の酸化速度は速い。
しかし、白や黄色が何で出来ているかは分からなかった。
こういう場所は昼間の太陽が当たる時は暑くなるが、夜は一気に冷え込む。
放射冷却のせいだろう。僕達戦闘メンバー四人は多少の寒さや暑さには強いが、残りの三人はそうではない。
テントでは厚着をして寝ているが寒そうだった。そこで、僕がテントに入って、中で自分の代謝速度を上げてテントの温度を上げてやっていた。
魔族は代謝が早いらしい。物凄い速さで細胞の新陳代謝が行われるし、それを自分でコントロールすることもできた。ただ、もしかすると多少は寿命が減るのかもしれない。
僕が、テントに入って座って内部を温めていると皆に笑われた。そして石油ストーブに手をかざすような感じで、皆は温まっていた。
大峡谷を飛んでいて見つけた街に下りてみることにした。
大峡谷の街は意外にも栄えていた。
話を聞いてみると、鉱山があるらしい。
地殻変動で大地が隆起した分、過去の時代の層が浮かび上がってくるわけで、その層の中に珍しい鉱物を含んでいる箇所がある。それを採掘するということだ。
そしてその採掘するための労働者が街に集まっている。
だから、街は発展しているようだ。
大峡谷の街でも、僕とビルドとガルレーンさんは夜の街に繰り出していく。
夜の街で、飲んでいると鉱山で働くオッサンたちと意気投合した。
「へー、じゃあ、あんたらは人族の国を目指してんのか?」
「そうなんです。かなり遠いらしいですが」
「そりゃそうだろ。というか、人族の国って言えば、グリフォン国の領域だな」
「そうなんですか?」
「ああ、そうだ。
今この世界を支配しているのは龍種だが、それは三千年前に達成されたことだ。昔から、龍種は他種族を支配しようとはしなかったが、何故か三千年前に急に世界を自分達で世界を統治しようとした。
それまでは世界中に様々な種族が点在して住んでいたんだが、龍種の命令で種族ごとに一箇所に集められることになった。人族の様に弱い種族も、昔は世界各地に点々と住んでいたが、今は一箇所に住むようになったはずだ。人族の国はたしか現在、グリフォン国の領域にあるはずだ」
「詳しいですね」
「俺の爺さんも昔は世界を転々としていた感じだったからな。昔はよくその手の話を聞かされた」
どうやら人族は三千年前に龍種によって、一箇所に集められたらしい。
僕としては好都合だか、不都合だかよく分からない。
ベゼルは僕に人族の国を目指せと言ったが、人々が世界各地に点在してくれていれば、返って羽翼種の島の近くの人族に会えたかもしれない。
ベゼルには人族の国へ行って何をするかを何度も尋ねたが答えてくれない。僕に対して隠し事をしているようにも感じる。それならそれで気を付けないといけない気もする。
するとここで、オッサンがガルレーンさんを見た。
「あんた、武芸者か?」
「おう、そうだ。俺は怪腕種だ。世界中を回って腕を磨いている」
「怪腕種? なんだそれ初めて聞いたぞ。あんた、角が二本あるけど、鬼人種じゃないのか?」
「怪腕種と鬼人種はライバル関係だな。両方とも祖先は同じらしいが、どこかで分岐して進化したらしい。怪腕種は接近戦が得意で、鬼人種は遠距離からの魔法が得意、と言う感じだな」
「ふ~ん、そうか。じゃあ、あんたは強いのがいれば戦いたいんだな?」
「どういう事だ?」
そういってガルレーンさんが不思議そうな顔をしている。
「俺達は太古の昔の地層が大地に盛り上がって来た部分を採掘している。だが、この手の層には変わったモンスターがいる。
はっきり言えば、アンデット系のモンスターが地層の中で眠っている。例えば、氷河の大地で凍死した恐竜が長い年月を経て、大地へ一旦地殻変動と共に沈下し、そして、地中の魔素の影響を受ける。
それで、死後にアンデットとして復活するケースがある。
この手のモンスターは大抵、骨になっているんだが、これに下手に手を付けちまうと、目覚めて襲ってくる。
そして、通常、この手のモンスターの骨の地層が見つかった場合は採掘を止める。危険だからだ。
それから俺達が働いている会社が、冒険者を雇ってこの手のモンスターを倒そうとする。それがうまくいけば、また採掘の再開だ。あんたが武芸者で暇ならこの手のモンスターと戦ってみたらどうだ。手つかずの骨のある層はイッパイあるぞ。場合によったら会社から報酬が出るかもしれない」
ガルレーンさんがこちらを見てきた。
「僕は別に構いませんよ。ガルレーンさんが武芸を磨くために旅をするのは分かっています。あまり長期にここで滞在されるのは困りますが、アンデットモンスターと戦いたいなら、戦ってもらっていいですよ」
そう言うとガルレーンさんは嬉しそうに笑った。
「そうか、そうか。じゃあ、俺は戦ってくるか。それに結構俺の酒代もいるからな。自分の分は自分で稼がないと」
そう言って、手元にあった満杯のジョッキを一気に飲み干していく。
鉱山の男達もかなり体格がいいが、ガルレーンさん程飲む人はいないようだ。
いや、普通の人は翌日に仕事があるから、そんなに飲まないだろう……。
そんな感じでその日はお開きになるのであった。
************
翌日、僕達は鉱山会社を訪れることになった。
ガルレーンさんだけが闘うということだが、僕達も一緒に説明を受けた方がいいだろう。
案内された控室で待っていると、恰幅の良いい中年の男が出てきた。良いスーツを着ている。
「初めまして。私はこの高山の管理を任されている者になります」
そう言って、名刺のようなものを渡されたが、僕達は誰も名刺を持っていない。
が、カルディさんがそれを丁寧に受け取った。
「あなたが、アンデットモンスターにチャレンジするという事で良いのですよね?」
そう言って、管理者はガルレーンさんに確認を取って来た。
「そうだ。俺がやる。宜しく頼む」
「では、通常の冒険者に依頼するのと同じ条件で行きましょう。あなたは見た感じかなり腕が立つようですが、それなりに危険が伴います。アンデットモンスターは特殊なので」
「どう特殊なんだ?」
「基本的に光魔法か、火魔法以外はダメージを与えても再生しますね。例えば風魔法で切り刻むと、一定のダーメジで完全に一度骨がバラバラになって倒したように見えますが、すぐに元通りになって襲ってきます。ただ、火魔法でのダメージなら再生することがありません」
「風魔法で刻んで最後に火魔法で焼き尽くせばいいのではないか?」
「それでも構いませんが、ただ、最後の火魔法が相当強力でないと、再生速度の方が早いですよ。骨と言うのは相当の高温でなければ、早々灰にすることはできません。特にアンデットの骨は魔力の密度が高いので、火魔法で倒すのがおススメですね。その方が効率がいいので。あなたは鬼人種の方ですか?」
「いや、俺は怪腕種だ」
そういうと管理者は残念そうな顔をした。
「そうですか。正直、鬼人種の方の方がアンデットとは相性がいいんですよね」
僕達はここで気づいた。ガルレーンさんが不機嫌になったことに……。
「怪腕種の方が優秀だ。問題ない」
そう言ってガルレーンさんは腕を組む。管理者は少し困ったような顔をしている。
僕が質問してみた。
「どうして怪腕種の人は相性が悪いんですか?」
「アンデットモンスターというのは、最初に毒の魔法を周囲一帯に使ってくるんですよ。また、戦闘中も大気中の毒素の濃度が下がる度に、毒魔法を使ってきます。ですので、遠距離から火魔法で対処するのが好ましいです」
うーん、これはどうもガルレーンさん単体で勝負するのはダメな気がする。ただ、ガルレーンさんも引くに引けない面があるのだろう。
そこで、僕から提案することにした。
「では、なるべく強いアンデットモンスターを開放してもらえないでしょうか? その代わり、僕達全員で討伐します。その方が、そちらもメリットがありますよね?」
そういうと管理者は嬉しそうな顔をした。
「ええ、私共としてはその方がありがたいですね。強いアンデットがいる地層の方がレアな鉱石が採掘できますので。では、どのレベルを開放しますか?」
そう言って、管理者は資料を見せてきた。
資料を見ていくと、Sランクのモンスターもある。ティラノサウルスのアンデットだ。
ティラノサウルスは、移動速度は遅いらしい。
しかし、ティラノサウルスを倒すのは今の僕達では無理だろう。
獣族の上位種が十人は必要らしい。
話を聞いた限りではドラゴン系のモンスターは、ティラノサウルスよりさらに評価の高いSSSになるとのこと。
が、現在この地域ではそのようなモンスターは見つかっていない。
というか、いたらいたで大変だそうだ。強力な結界を張って封印し直す必要があるらしい。厄災級のモンスターだということだ。
結局、僕達が選んだモンスターはトリケラトプスのアンデットになった。
Aランクのモンスターだ。
トリケラトプスもかなりの上位モンスターで、ここ最近は冒険者がチャレンジしないということだった。
まあ、僕達が挑戦するにはちょうどいいだろう。
手続きが面倒だったからだ。国とギルドの方の色々な書類にサインをしていかなければいけないようだったが、面倒だったので適当に言い訳をして逃げた。
まぁ、後のことはあの国とギルドで対処すればいい話だ。
三日ほど飛び続けた。
次に目指す街は、先ほどの国の領域内だった。
大きな谷、つまりは大峡谷とやら、らしい。
行ってみると、確かに谷なのだが、どちらかと言うと平坦な大地を上から削っていったような感じか。
ケーキの上を指でなぞると、指で触った部分は凹むわけだが、そんな感じの線が何本も大地に沿って、うねっている。そして、その線が谷になっている感じだった。
一本一本の大峡谷の大きさは高さが数百メートルから数千メートルあるかもしれない。
めちゃくちゃ幅が広い感じだ。多分、地殻変動で盛り上がったり、盛り下がったりし、そこに大雨が降って、大地がさらに削られていったのだろう。
大峡谷の側面を見ていると、白や赤や黄色といった様々な色彩が折り重なっている。赤い色の層は、おそらく鉄で、酸化したものだろう。自然界の鉄の酸化速度は速い。
しかし、白や黄色が何で出来ているかは分からなかった。
こういう場所は昼間の太陽が当たる時は暑くなるが、夜は一気に冷え込む。
放射冷却のせいだろう。僕達戦闘メンバー四人は多少の寒さや暑さには強いが、残りの三人はそうではない。
テントでは厚着をして寝ているが寒そうだった。そこで、僕がテントに入って、中で自分の代謝速度を上げてテントの温度を上げてやっていた。
魔族は代謝が早いらしい。物凄い速さで細胞の新陳代謝が行われるし、それを自分でコントロールすることもできた。ただ、もしかすると多少は寿命が減るのかもしれない。
僕が、テントに入って座って内部を温めていると皆に笑われた。そして石油ストーブに手をかざすような感じで、皆は温まっていた。
大峡谷を飛んでいて見つけた街に下りてみることにした。
大峡谷の街は意外にも栄えていた。
話を聞いてみると、鉱山があるらしい。
地殻変動で大地が隆起した分、過去の時代の層が浮かび上がってくるわけで、その層の中に珍しい鉱物を含んでいる箇所がある。それを採掘するということだ。
そしてその採掘するための労働者が街に集まっている。
だから、街は発展しているようだ。
大峡谷の街でも、僕とビルドとガルレーンさんは夜の街に繰り出していく。
夜の街で、飲んでいると鉱山で働くオッサンたちと意気投合した。
「へー、じゃあ、あんたらは人族の国を目指してんのか?」
「そうなんです。かなり遠いらしいですが」
「そりゃそうだろ。というか、人族の国って言えば、グリフォン国の領域だな」
「そうなんですか?」
「ああ、そうだ。
今この世界を支配しているのは龍種だが、それは三千年前に達成されたことだ。昔から、龍種は他種族を支配しようとはしなかったが、何故か三千年前に急に世界を自分達で世界を統治しようとした。
それまでは世界中に様々な種族が点在して住んでいたんだが、龍種の命令で種族ごとに一箇所に集められることになった。人族の様に弱い種族も、昔は世界各地に点々と住んでいたが、今は一箇所に住むようになったはずだ。人族の国はたしか現在、グリフォン国の領域にあるはずだ」
「詳しいですね」
「俺の爺さんも昔は世界を転々としていた感じだったからな。昔はよくその手の話を聞かされた」
どうやら人族は三千年前に龍種によって、一箇所に集められたらしい。
僕としては好都合だか、不都合だかよく分からない。
ベゼルは僕に人族の国を目指せと言ったが、人々が世界各地に点在してくれていれば、返って羽翼種の島の近くの人族に会えたかもしれない。
ベゼルには人族の国へ行って何をするかを何度も尋ねたが答えてくれない。僕に対して隠し事をしているようにも感じる。それならそれで気を付けないといけない気もする。
するとここで、オッサンがガルレーンさんを見た。
「あんた、武芸者か?」
「おう、そうだ。俺は怪腕種だ。世界中を回って腕を磨いている」
「怪腕種? なんだそれ初めて聞いたぞ。あんた、角が二本あるけど、鬼人種じゃないのか?」
「怪腕種と鬼人種はライバル関係だな。両方とも祖先は同じらしいが、どこかで分岐して進化したらしい。怪腕種は接近戦が得意で、鬼人種は遠距離からの魔法が得意、と言う感じだな」
「ふ~ん、そうか。じゃあ、あんたは強いのがいれば戦いたいんだな?」
「どういう事だ?」
そういってガルレーンさんが不思議そうな顔をしている。
「俺達は太古の昔の地層が大地に盛り上がって来た部分を採掘している。だが、この手の層には変わったモンスターがいる。
はっきり言えば、アンデット系のモンスターが地層の中で眠っている。例えば、氷河の大地で凍死した恐竜が長い年月を経て、大地へ一旦地殻変動と共に沈下し、そして、地中の魔素の影響を受ける。
それで、死後にアンデットとして復活するケースがある。
この手のモンスターは大抵、骨になっているんだが、これに下手に手を付けちまうと、目覚めて襲ってくる。
そして、通常、この手のモンスターの骨の地層が見つかった場合は採掘を止める。危険だからだ。
それから俺達が働いている会社が、冒険者を雇ってこの手のモンスターを倒そうとする。それがうまくいけば、また採掘の再開だ。あんたが武芸者で暇ならこの手のモンスターと戦ってみたらどうだ。手つかずの骨のある層はイッパイあるぞ。場合によったら会社から報酬が出るかもしれない」
ガルレーンさんがこちらを見てきた。
「僕は別に構いませんよ。ガルレーンさんが武芸を磨くために旅をするのは分かっています。あまり長期にここで滞在されるのは困りますが、アンデットモンスターと戦いたいなら、戦ってもらっていいですよ」
そう言うとガルレーンさんは嬉しそうに笑った。
「そうか、そうか。じゃあ、俺は戦ってくるか。それに結構俺の酒代もいるからな。自分の分は自分で稼がないと」
そう言って、手元にあった満杯のジョッキを一気に飲み干していく。
鉱山の男達もかなり体格がいいが、ガルレーンさん程飲む人はいないようだ。
いや、普通の人は翌日に仕事があるから、そんなに飲まないだろう……。
そんな感じでその日はお開きになるのであった。
************
翌日、僕達は鉱山会社を訪れることになった。
ガルレーンさんだけが闘うということだが、僕達も一緒に説明を受けた方がいいだろう。
案内された控室で待っていると、恰幅の良いい中年の男が出てきた。良いスーツを着ている。
「初めまして。私はこの高山の管理を任されている者になります」
そう言って、名刺のようなものを渡されたが、僕達は誰も名刺を持っていない。
が、カルディさんがそれを丁寧に受け取った。
「あなたが、アンデットモンスターにチャレンジするという事で良いのですよね?」
そう言って、管理者はガルレーンさんに確認を取って来た。
「そうだ。俺がやる。宜しく頼む」
「では、通常の冒険者に依頼するのと同じ条件で行きましょう。あなたは見た感じかなり腕が立つようですが、それなりに危険が伴います。アンデットモンスターは特殊なので」
「どう特殊なんだ?」
「基本的に光魔法か、火魔法以外はダメージを与えても再生しますね。例えば風魔法で切り刻むと、一定のダーメジで完全に一度骨がバラバラになって倒したように見えますが、すぐに元通りになって襲ってきます。ただ、火魔法でのダメージなら再生することがありません」
「風魔法で刻んで最後に火魔法で焼き尽くせばいいのではないか?」
「それでも構いませんが、ただ、最後の火魔法が相当強力でないと、再生速度の方が早いですよ。骨と言うのは相当の高温でなければ、早々灰にすることはできません。特にアンデットの骨は魔力の密度が高いので、火魔法で倒すのがおススメですね。その方が効率がいいので。あなたは鬼人種の方ですか?」
「いや、俺は怪腕種だ」
そういうと管理者は残念そうな顔をした。
「そうですか。正直、鬼人種の方の方がアンデットとは相性がいいんですよね」
僕達はここで気づいた。ガルレーンさんが不機嫌になったことに……。
「怪腕種の方が優秀だ。問題ない」
そう言ってガルレーンさんは腕を組む。管理者は少し困ったような顔をしている。
僕が質問してみた。
「どうして怪腕種の人は相性が悪いんですか?」
「アンデットモンスターというのは、最初に毒の魔法を周囲一帯に使ってくるんですよ。また、戦闘中も大気中の毒素の濃度が下がる度に、毒魔法を使ってきます。ですので、遠距離から火魔法で対処するのが好ましいです」
うーん、これはどうもガルレーンさん単体で勝負するのはダメな気がする。ただ、ガルレーンさんも引くに引けない面があるのだろう。
そこで、僕から提案することにした。
「では、なるべく強いアンデットモンスターを開放してもらえないでしょうか? その代わり、僕達全員で討伐します。その方が、そちらもメリットがありますよね?」
そういうと管理者は嬉しそうな顔をした。
「ええ、私共としてはその方がありがたいですね。強いアンデットがいる地層の方がレアな鉱石が採掘できますので。では、どのレベルを開放しますか?」
そう言って、管理者は資料を見せてきた。
資料を見ていくと、Sランクのモンスターもある。ティラノサウルスのアンデットだ。
ティラノサウルスは、移動速度は遅いらしい。
しかし、ティラノサウルスを倒すのは今の僕達では無理だろう。
獣族の上位種が十人は必要らしい。
話を聞いた限りではドラゴン系のモンスターは、ティラノサウルスよりさらに評価の高いSSSになるとのこと。
が、現在この地域ではそのようなモンスターは見つかっていない。
というか、いたらいたで大変だそうだ。強力な結界を張って封印し直す必要があるらしい。厄災級のモンスターだということだ。
結局、僕達が選んだモンスターはトリケラトプスのアンデットになった。
Aランクのモンスターだ。
トリケラトプスもかなりの上位モンスターで、ここ最近は冒険者がチャレンジしないということだった。
まあ、僕達が挑戦するにはちょうどいいだろう。
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