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征士視点③

番外小話

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● 月乃さん視点

 帰宅すると、部屋のテーブルの上に、酒瓶がいくつか並んでいた。

「あ、お帰りなさい。月乃さん」

 グラスを傾けていた征士くんが、笑いかけてきた。ちょっと、いつもより赤く染まった顔。

「飲んでいたの?」
「はい。仕事で僕の企画が上手くいって……。一人で祝杯をあげていました」

 空の酒瓶を見ると、度数の高いお酒ばかりだった。一人で全部飲んだのか。余程嬉しかったのだろう。

「それは良かったわね。おめでとう」
「ありがとうございます。ねえ、月乃さん」

 甘えるような声で私を呼ぶ。何だろう。

「一人で祝っているのは寂しいです。月乃さんもお祝いしてください」
「え? お祝い? いいけど……。何か征士くんの好きな食べ物でも作る?」

 征士くんの好きなものはエビだ。何かエビ料理でも作ってお祝いしようか。
 そう考えていると、いつの間に側に来ていたのか、抱きしめられた。

「食べ物もいいですけど……。お祝いには、月乃さんが欲しいです」
「わ、私が欲しい?」
「そうです。思う存分抱かせてください」

 きついアルコール味の口付けをされた。

 ♦ ♦ ♦

「月乃さん、月乃さん、愛しています」
「ああっ! わ、わかっている、わ。も、限界……」

 何度貫かれただろう。「お祝い」の限度は超えていると思う。

「もう一回しましょう。ね、月乃さん」

 ……多分相当酔っている征士くん。私の言葉が聞こえていない。

「もう、無理……。やぁ……」

 綺麗に私を無視して、怒張したものを押し付ける。

「月乃さん、お祝い気持ちが良いです。これ以上のお祝いはありません」

 既に私に抵抗する力はない。揺さぶられるまま。
 征士くんは果てた後、加減せず私を抱きしめた。

「月乃さん。またいいことあったら、お祝いしてくださいね」
「……絶対、しないわ……」

 息も絶え絶えにそう答えるので精一杯だった。

 ♦ ♦ ♦

● 征士くん視点

 お義父さんに良いお酒をもらったので、月乃さんと二人で飲んでいた。
 月乃さんは、僕よりお酒に弱い。すぐ酔ってしまった。

「征士くん、征士くん」
「どうしました、月乃さん?」
「いつも征士くんは私に甘えてばっかり。私もたまには甘えたいわ」

 あまりにも可愛いことを言って、僕に寄り添ってくる月乃さん。
 僕は頭を撫でてあげた。

「そんなお願いだったらいつだって聞きます。何して欲しいですか?」
「アイス食べたい。食べさせて?」

 可愛いなあと思いつつ、アイスとスプーンを持ってきた。

「はい。月乃さん、アイスですよ。あーん」

 月乃さんは素直に口を開け、美味しそうにアイスを食べる。
 全て食べ終わると、次の要望を言った。

「私のこと、好きって言って?」
「好きですよ。大好きです」

 月乃さんは、僕を見上げてきた。

「優しいキスをして欲しいわ」

 僕は抱き寄せ、触れるだけのキスをした。うっとり目を閉じている月乃さん。とても可愛い。

「あとは何かありますか?」
「少し恥ずかしいけれど……お姫様抱っこに憧れているの。ダメ、かしら?」

 その上目遣いは反則。ダメなんて僕が言うはずない。僕はすぐさまお姫様抱っこをしてあげた。ベッドへ連れて行く。

「え? え? 何でベッド?」
「僕も甘えたくなったからです」

 ベッドに彼女を横たえ、覆いかぶさった。

 ♦ ♦ ♦

「可愛い。月乃さん」

 どこもかしこも可愛い月乃さんに、僕は甘える。

「ちょ、ちょっと、私が甘えたいって……!」

 起き上がろうとする月乃さんを押さえつけ、胸の頂を舐める。

「ひゃ、あっ!」

 全身を愛撫し、濡れた蜜口に挿入した。

「んんっ、ふ……く」

 月乃さんが抱きついてくる。抱きしめ返し、激しく出し入れした。
 やがて彼女は達し、同時に僕も「甘えた証」を中に吐き出した。
 ……やや、月乃さんはご機嫌斜めの様子。

「甘えさせてくれるって言ったのに……!」
「月乃さんの方が、甘えさせ上手なのがいけないんです。今度はちゃんと、甘えさせてあげますから」
「本当……?」

 僕を見上げる綺麗な瞳。

「……やっぱり僕が、甘えてしまうかもしれません」

 前言撤回。一生僕は、月乃さんに甘えっぱなしの予感がする。
 甘えさせ上手の奥さんに、ずっと僕は敵わないだろう。
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