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ぼくの住むおじいちゃんの家に、チビの電車がはしっている。門の前にふつうは郵便受けがあるところに、なぜか、ふるびた、踏切の信号機が立っている。
チンチンチンチン。
毎朝の五時ごろから、夜の九時まで、チビ電車が玄関前にさしかかると、出発の音を立てる。
コトンコトンコトンコトン。
チビ電車は、小学生四年のぼくがまたがってのれるくらいの、ミニチュアの電車のことだ。電車大好きのおじいちゃんが、開通させた。
定年になって、家のまわりに線路を作った。電車も、おじいちゃんの手作りだ。貯金をぜんぶ、はたいて作ってしまった。
けど、もともと、おじいちゃんの家は大きな家ではない。住宅地の、たくさん家がある中に埋もれてしまうくらい。ニ階建ての、よくある家だ。一階におじいちゃん、二階にお父さん、おかあさん、お姉ちゃん、ぼくがくらしている。
そもそも、おじいちゃんと、ぼくたち家族がいっしょに住み始めたのは、おばあちゃんが亡くなったからだった。そう、ぼくが小学一年になったばかりのころ。空いた二階を改装して、四人はおじいちゃんの家にこしてきた。そのころは、まだ、電車は開通していなかった。
ぼくは、いつも日曜日になると、おじいちゃんにつれられて、電車の写真を撮りに行った。首から、大きなレンズのついたカメラを首にさげて。
チンチンチンチン。
毎朝の五時ごろから、夜の九時まで、チビ電車が玄関前にさしかかると、出発の音を立てる。
コトンコトンコトンコトン。
チビ電車は、小学生四年のぼくがまたがってのれるくらいの、ミニチュアの電車のことだ。電車大好きのおじいちゃんが、開通させた。
定年になって、家のまわりに線路を作った。電車も、おじいちゃんの手作りだ。貯金をぜんぶ、はたいて作ってしまった。
けど、もともと、おじいちゃんの家は大きな家ではない。住宅地の、たくさん家がある中に埋もれてしまうくらい。ニ階建ての、よくある家だ。一階におじいちゃん、二階にお父さん、おかあさん、お姉ちゃん、ぼくがくらしている。
そもそも、おじいちゃんと、ぼくたち家族がいっしょに住み始めたのは、おばあちゃんが亡くなったからだった。そう、ぼくが小学一年になったばかりのころ。空いた二階を改装して、四人はおじいちゃんの家にこしてきた。そのころは、まだ、電車は開通していなかった。
ぼくは、いつも日曜日になると、おじいちゃんにつれられて、電車の写真を撮りに行った。首から、大きなレンズのついたカメラを首にさげて。
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