【完結】べつに平凡な令嬢……のはずなのに、なにかと殿下に可愛がれているんです

朝日みらい

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 フィリップ殿下はそう言うと、アシェリーを連れてホールに入った。

 そして、最前列の席に座る。そこはまるで特等席のような場所だった。周りの貴族たちも羨望の眼差しで見ている。

(どうして私なんかを?)とアシェリーは思った。

 しかし、フィリップ殿下が自分を想ってくれているのは間違いないだろう。それだけで嬉しい。

「ほら、始まるよ」

 舞台の上ではオーケストラの演奏が始まったところだった。それに合わせて踊り子たちが舞い始める。

「綺麗……」

 アシェリーは思わず感嘆の声を上げた。美しい衣装に身を包んだ女性たちが踊る姿に目を奪われる。

 その中でも特に気になったのは一人だけ際立って美しく輝いている女性だった。

 彼女はまるで蝶のように軽やかに舞い踊っている。その動きに合わせて長い黒髪が翻った。

「すごい……」

 アシェリーは溜息を漏らした。本当に素晴らしい踊りだった。周りの貴族たちもうっとりとした表情を浮かべている。

「楽しんでくれている?」

「はい!」

 アシェリーは満足げにフィリップ殿下を見た。

 フィリップ殿下は優しく微笑むと、アシェリーを抱き寄せた。そして、耳元で囁くように言う。

「君と過ごす時間が私にはかけがえのない時間なんだ」

「うれしい……」

 アシェリーは嬉しくなって、フィリップ殿下の胸に顔を埋めた。そして、そのまま二人は舞台の上で繰り広げられる舞と音楽を心ゆくまで堪能したのだった。
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