【完結】辺境騎士団長は恋に鈍感! 元王都魔導士見習いの私、初恋成就作戦が今日も空回りしてます!

朝日みらい

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最終章:未来予想図は未完成

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 幻獣討伐という大役を終えたわたしとカイルは、村人たちから温かい祝福の言葉を浴びていました。

まるで、わたしたちの功績を称えるかのように、村中が明るい笑顔で満たされていました。

子供たちが「リリアお姉ちゃん!」「カイル兄ちゃん!」と駆け寄り、大人たちは「よくやった!」と肩を叩いてくれます。

その光景は、戦いの恐怖を忘れさせてくれるほど、温かいものでした。

「リリアちゃん、カイルちゃんといい感じだったじゃないか!そろそろ結婚かねぇ」

雑貨屋のマルタおばさんが、いつものようにニヤニヤと楽しそうに笑いながら、わたしに声をかけてきました。

その言葉に、わたしの心臓はドキリと跳ねます。

頬に熱が集まるのを感じました。

「もう、おばさんったら!そんなこと、まだ……」

わたしが、どうにか誤魔化そうと必死になっていると、隣にいたカイルが真剣な表情で口を開きました。

彼の視線は、わたしの顔ではなく、村人たちの方に向けられています。

「リリア、本当に助かった。お前がいなかったら、どうなっていたか……」

わたしの言葉を遮るように発せられた彼の言葉は、わたしへの感謝で溢れていました。

その真摯な眼差しに、胸が熱くなります。わたしたちが共に戦ったという事実が、確かに彼の心に刻まれたのだと実感しました。

「カイルちゃん、ここはリリアちゃんに言うべき言葉があるんじゃないのかい?」

マルタおばさんが、からかうようにカイルに問いかけます。

しかし、カイルは不思議そうに首を傾げました。

「言うべき言葉?」

彼のあまりの鈍感さに、わたしは思わずため息をついてしまいました。

もう!本当にカイルってば……。

恋愛戦線、まだまだ前途多難です。

カイルはわたしのことを「大切な存在」だと言ってくれました。

その言葉が嘘ではないことは分かっています。

でも、その言葉の先に、彼がどんな想いを抱いているのか、わたしにはまだわかりません。

まるで、彼の心の扉の鍵を、わたしはまだ見つけられていないような、そんなもどかしさを感じます。

家に帰ると、わたしはそっと『初恋成就計画ノート』を開きました。

ノートには、これまでのわたしの奮闘の軌跡が、たくさんの文字と、いくつかの大きな×印と共に刻まれています。

「よし、次はカイルから、ちゃんと告白させる!」

わたしは、新しいページに、またしても赤字で、新たな作戦を書き込みます。

『第四弾:告白誘導作戦!カイルをうまいこと誘導して、告白させる!』

わたしの未来予想図は、まだ未完成です。

でも、もう、わたしは一人ではありません。

カイルがそばにいてくれる。

幻獣との戦いで、彼の隣で剣と魔法を交わし合ったあの瞬間、わたしたちの間に、確かに生まれた絆を感じました。

それだけで、わたしはもう十分でした。

わたしたちの、恋の戦いは、まだ続く。

 フェルシュ村の空には、今日も透き通るような青空が広がっていました。


【完】
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