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お父さんは、こんぽうされたビニールを破いた。それは長細い箱の上にドラム缶のような機械が乗っかっている。とても奇妙なコピー機だ。
お父さんは、分厚い説明書をめくった。そして、ドラム缶にある取っ手をつかんでひき開けた。
ドラム缶のうちがわには、青白い数本の細長いライトが、くまなくつけてある。その下に、丸いざぶとんがしかれている。お父さんは、そこに胸ポケットのボールペンを置いた。
そしてまた、取っ手をつかんでとじた。下の長細い箱には、そうさ用のえきしょうのモニターがある。
「ピッピッピッ」
お父さんはきように人差し指で押していく。
「よし。コピー、実行」
ボタンを押したとたんに、「ブオー」という音がする。青白い光が、ドラム缶のドアのすきまから少しだけもれる。
ゆり子は、思わずきんちょうしてつばを飲みこんだ。
「チーン」
なんだか気がぬけたような音とともに、下のくぼんだ大きな穴からコロコロとボールペンが出てきた。
「わあ。すごい」
サエコは、できたてのボールペンを手にとった。ゆり子もふれてみた。ちょっと、なま温かい。
「あれ? なんだろ」
ボールペンのはしに、赤いイボのようなマークがついている。サエコは、とんがったあごをさすりながら言った。
「きっと、コピーをすると、しるしをつけるみたい。そうしなかったら、本物と見分けがつかないもの」
「そっか。ところでお父さん。この子の名前はなんていうの?」
「Ⅹ―300っていうんだ」
「うーん」
ゆり子は首をひねった。いまいちだな。
お父さんは、分厚い説明書をめくった。そして、ドラム缶にある取っ手をつかんでひき開けた。
ドラム缶のうちがわには、青白い数本の細長いライトが、くまなくつけてある。その下に、丸いざぶとんがしかれている。お父さんは、そこに胸ポケットのボールペンを置いた。
そしてまた、取っ手をつかんでとじた。下の長細い箱には、そうさ用のえきしょうのモニターがある。
「ピッピッピッ」
お父さんはきように人差し指で押していく。
「よし。コピー、実行」
ボタンを押したとたんに、「ブオー」という音がする。青白い光が、ドラム缶のドアのすきまから少しだけもれる。
ゆり子は、思わずきんちょうしてつばを飲みこんだ。
「チーン」
なんだか気がぬけたような音とともに、下のくぼんだ大きな穴からコロコロとボールペンが出てきた。
「わあ。すごい」
サエコは、できたてのボールペンを手にとった。ゆり子もふれてみた。ちょっと、なま温かい。
「あれ? なんだろ」
ボールペンのはしに、赤いイボのようなマークがついている。サエコは、とんがったあごをさすりながら言った。
「きっと、コピーをすると、しるしをつけるみたい。そうしなかったら、本物と見分けがつかないもの」
「そっか。ところでお父さん。この子の名前はなんていうの?」
「Ⅹ―300っていうんだ」
「うーん」
ゆり子は首をひねった。いまいちだな。
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