[完結]ゆり子と不思議なコピー機

朝日みらい

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 サエコは、同じ小学校の四年生で、同じクラスだ。塾にもいっしょに通っているけれど、サエコは学校でも塾でも成績が一番なのだ。
 ゆり子は、口をすぼめた。

「サエコは、サエコだし」
「違います。努力の差です。だから、がんばって百点取りなさい」
「無理に決まってるじゃん」
「それは努力する前に言うんです」

 お母さんは、何かにつけてサエコをひきあいに出す。でも、どうして勉強できればえらいの?

「勉強ができて、親の言いなりの子ばかりなら。にんげんのコピーでいいじゃない……」

 ぶつぶつ小声で文句を言いながら、ミルキーと二階に上がった。
 二階と三階が住居になっている。ふきんでキレイにミルキーの足をふいてあげる。それから、ゲージに入れて水とご飯をそれぞれカップに入れた。

「じゃあね、ミルキー」 

 お母さんが戻る前に、あわててリュックを背負って、玄関を出る。またせっきょうはごめんだ。

 塾は、駅前の大通りぞいの、四階建てのビルにある。夕方五時になると、小学生から制服を着た中学生まで、ぞくぞくと階段で上がっていく。
 サエコは、男子たちと話をしていた。宇宙人やゆうれいが流行っているのだ。

「ゆうたいりだつか。あたし、怖いなあ」

 サエコは、身ぶるいしながら言った。

「そんなの、ぼく、ぜんぜん怖くない」

 メガネをかけた男子は、腕を組んで言った。それから雑誌をぺらぺらめくった。

「でも、いちばん面白いのはさ。体から浮き出た本人は、ふつうに生活してるって、思ってることなんだ」
「何の話よ?」

 ゆり子は、机にテキストと筆箱を置きながらきいた。
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