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「最初はわからなかったんだけどね。どうも、心だけ入れ変わったみたい。ゆり子ちゃんは心だけの空気にんげんということになって出てきて。わたしはゆり子ちゃんの体をもらって出てきた。だから、私だけはゆり子ちゃんが見えるようなの」
「なるほどね。それじゃあ、本当のことがわかったところで。さっそくもどろっか?」
「なんでよ。ぜったいもどりたくないよ」
「え、どうして?」
「だって、わたしの願いがかなったんだもの」
「ちょっと! 機械のくせに、わがまま言わないで」
「わがままは、ゆり子ちゃんのほうでしょ」
「そんな……」
ゆり子は、力なく床にへたり込んだ。
「自分をコピーしようとしたのが、そもそもわるいんだよ」
ユリは冷たく言った。
「じゃあ、わたし、映画行ってきまーす」
玄関でミルキーは座り込んでいる。
「犬。シッシッ。じゃまよ。じゃま」
ユリは、玄関の靴入れからエナメルの靴を取りだそうとした。すると突然、ミルキーが靴をくわえた。
「ま、待ちなさいよ」
ユリは、キンとほおをふくらませる。ミルキーはしっぽをふりながら、ゆり子のひざもとに置いた。
「ありがとう、ミルキー」
ゆり子がミルキーの肩をなでていると、お母さんとお父さんが入ってきた。
「お、お父さん、こわいよ。犬がわたしの靴をもっていったの」
ユリはおびえた顔で、お父さんの腕にすがった。
「なるほどね。それじゃあ、本当のことがわかったところで。さっそくもどろっか?」
「なんでよ。ぜったいもどりたくないよ」
「え、どうして?」
「だって、わたしの願いがかなったんだもの」
「ちょっと! 機械のくせに、わがまま言わないで」
「わがままは、ゆり子ちゃんのほうでしょ」
「そんな……」
ゆり子は、力なく床にへたり込んだ。
「自分をコピーしようとしたのが、そもそもわるいんだよ」
ユリは冷たく言った。
「じゃあ、わたし、映画行ってきまーす」
玄関でミルキーは座り込んでいる。
「犬。シッシッ。じゃまよ。じゃま」
ユリは、玄関の靴入れからエナメルの靴を取りだそうとした。すると突然、ミルキーが靴をくわえた。
「ま、待ちなさいよ」
ユリは、キンとほおをふくらませる。ミルキーはしっぽをふりながら、ゆり子のひざもとに置いた。
「ありがとう、ミルキー」
ゆり子がミルキーの肩をなでていると、お母さんとお父さんが入ってきた。
「お、お父さん、こわいよ。犬がわたしの靴をもっていったの」
ユリはおびえた顔で、お父さんの腕にすがった。
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