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「どうして? どうしてそんなウソ……」
ユリはみけんにシワを寄せた。ゆり子は首を横にふった。
「ウソじゃない。ユリちゃんは大切なひとだもん」
「ひと?」
「うん。ユリちゃんは本物のにんげんになれた。ユリちゃんのほうが私よりにんげん、いっしょうけんめいだよ」
「いっしょうけんめい?」
「だって、ぜんぶイヤなことからにげようとしてたの。わたしだったから」
「ゆり子ちゃんったら……」
「勉強がイヤなら、ちゃんと親にいえばよかったんだよ。なのに、いい子ぶってた。わたし、ずるかった。だからにげ回って。空気みたいになりたいと思ったの」
ユリの金づちを持つ手がふえた。ゆり子は、ユリに歩み寄った。
「だけど、これだけはおぼえておいてね。人をケガさせるにんげんだけには、ならないでって」
ユリは金づちを床に置いた。
「わからない。わたし、にんげんがよくわからないよ」
「そんなの、わたしだってわからない。機械に比べたら、ヘンテコかもね。でもそれがにんげんなのかも」
ゆり子はほほえみながら背を向けた。ミルキーも寄ってきた。わたしはもう、ずっと空気にんげんなんだな。
ユリはみけんにシワを寄せた。ゆり子は首を横にふった。
「ウソじゃない。ユリちゃんは大切なひとだもん」
「ひと?」
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「いっしょうけんめい?」
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「ゆり子ちゃんったら……」
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