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文学の少女はいつも胸の中にいます
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しおりを挟むだが、次第に紅潮していた楓の表情に陰が入り始め、しまいには圭吾の腕を振り払うと、地面にうずくまってしまった。
「分かっただろ。きみが何をしたって、ぼくは性的には何も感じない」
「そんな…」
楓は、泣き出しそうに、切れ長の瞳の縁に涙をためている。
圭吾は横に並んでかがむと、彼女の黒髪をなでた。
「きみだけだよ。何をされても感じない異性なんて。他の子なら、すぐに熱く感じるから」
「それって、わたしに男から女として魅力がないってことじゃない」
楓は、赤い目で圭吾をにらみつけた。
「それは違う。ぼくの文学で、きみはかけがえのない存在だから」
「わたしが文学の…何だっていうのよ」
楓は泣き出していた。
圭吾は、少女を泣かしてしまった罰の悪さに肩をすぼめるとハンカチを楓にわたした。
そっと楓に肩を片手を回しながら、もう片手をスカート下のパンティ生地から押し当てる。
「何…」
楓は涙目で、どまどいながら圭吾を見上げる。
「初めてだった。ぼくの文章で子宮を疼かせるなんて。きみだけだよ」
「何それ…慰めてる…つもり?」
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