【完結】透明令嬢だったけれど、素敵な愛を知ることができました。

(40)結婚式

結婚式前夜、アリシアは緊張と興奮で眠れなかった。

ベッドの中で何度も寝返りを打ち、枕に顔を埋めては思い出す、レオネルとの日々。

結婚式の準備が終わった後も、心の中で不安な気持ちがどうしても拭いきれなかった。

「大丈夫、私は大丈夫。」

アリシアは鏡の前で自分に言い聞かせた。

「だって、レオネルと結婚するんだから。」

そのとき、ドアの向こうからレオネルの声が聞こえた。

彼は屋敷の客室に泊まっている。

「アリシア、寝てる？」

彼の声が優しく響いた。

「ううん、眠れないの。」

アリシアはため息をつきながら答えた。

「じゃあ、ちょっとだけ話そうか？」

レオネルは静かに部屋に入ってきた。

彼はアリシアの隣に座り、優しく手を取った。

「結婚式、楽しみだね。」

「うん、でも少し怖い…」

アリシアは顔を赤くして言った。

「みんなが見てると思うと緊張するの。」

「大丈夫だよ。」

レオネルはアリシアの手を握り返し、真剣に目を見つめた。

「僕は君と一緒にいるだけで幸せだから、何があっても君を支えるよ。」

その言葉にアリシアは胸がいっぱいになり、涙が目に浮かんだ。

「ありがとう、レオネル。」

アリシアは小さな声で言い、彼に寄りかかった。

レオネルはそのまま彼女を優しく抱きしめて、「僕も君を愛してる。」と囁いた。

二人はそのまま静かな夜を過ごし、翌朝を迎えた。


結婚式当日、アリシアは緊張しながらも、心の中ではドキドキしていた。

白いドレスを身にまとい、レオネルと一緒に歩く瞬間を、ずっと夢見ていたからだ。

「君、めっちゃ美しいよ。」

レオネルは感嘆の声をあげながら、アリシアの手を取った。

「結婚する前に、こんなに素敵な君を見られるなんて、幸せすぎる。」

「あなたも素敵よ。」

アリシアは微笑んで答えた。

「でも、緊張するなぁ。」

「大丈夫、俺がいるから。」

レオネルは手を握りしめて、アリシアを安心させようとした。

「式の最中、君のために何でもするよ。」

「本当に？」

アリシアは目を輝かせて言った。

「じゃあ、誓いのキス、ちょっと長めにしてね！」

「おっと、それはいいアイデアだ。」

レオネルはちょっと悪戯っぽく笑った。

「誓いのキスは長くて、何度でもするよ。」

教会に到着すると、白い花々で飾られた祭壇と厳粛な雰囲気に、アリシアはさらに緊張。

しかし扉が開き、レオネルが振り返った瞬間、彼の笑顔に一瞬で和らいだ。

「アリシア、今日の君はいつも以上に輝いているよ。まるで、俺の人生が報われたみたいだ」

「えっ……」

言葉が詰まるアリシアの手を、レオネルはしっかり握る。

その手の温もりが、緊張を溶かしていく。


式が始まり、アリシアは緊張の中でもレオネルと目を合わせて、少しずつリラックスしていった。

二人が誓いを交わす瞬間、周りの人々が温かい拍手を送る中、レオネルはアリシアの唇に優しくキスをした。


誓いの言葉の場面では、レオネルが少し照れながらも真剣な表情で宣言する。

「私は、アリシアの幸せのためなら、どんなことでも乗り越えます。そして君が笑ってくれるなら、何だってします」

「……本当に？」

「うん。だから、夜中にお菓子を食べすぎたって怒らないよ」

会場がくすくす笑いで包まれ、アリシアも思わず吹き出す。

「じゃあ、私もレオネルのいびきを笑顔で受け止めます」

指輪の交換では、緊張のあまりレオネルが一度指輪を落とすハプニングも。

拾い上げながら、彼は苦笑いでひと言。

「君の指輪を落とすなんて、一生の失態だな」

「それくらいじゃ愛情は減らないから安心して」

式が終わると、二人は祝福の拍手に包まれながら教会を後にする。

馬車の中、レオネルはアリシアを見つめて言った。

「やっと君を僕の妻にできた。この瞬間を一生忘れない」

「私も。レオネルがいてくれてよかった」

馬車の中でそっと唇を重ねる二人。

外では、友人たちが「もっと見せろー！」とからかい半分に叫ぶ声が聞こえたが、そんなことお構いなしだった。