【完結】虐げられてきた孤独な王女は政略結婚で呪われた獣人皇帝に嫁ぎました。

朝日みらい

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第36章: 儀式の開始 

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城に戻ると、私たちは早速、呪いを解く儀式を始める準備を整えた。

私は、手のひらにそっと真実の花を抱えながら、魔法陣の中心に立つ。

そして、目の前にはエイゼンが、心配そうに私を見守っている。

あぁ、またあの優しそうな顔が心に染みる…。

この儀式がうまくいくかどうか分からないけれど、私が無事に戻ってくることを、エイゼンが信じてくれているのは確かだ。

「フィオナ、無理はしないで。もしもの時は…。」

エイゼンの声が、少し震えている。

彼のその顔が、なんだかちょっと切なくて、私は思わず笑みを浮かべてしまう。

「大丈夫よ、エイゼン。だって、私は…あなたと一緒にいるから。」

そう言うと、エイゼンは一瞬、驚いた顔をしてから、すぐに照れたように顔をそむける。

「そんなこと言われたら、余計にドキドキするじゃないか。」

彼の声が少し困ったようで、それでも私を見つめる目には、強い思いがこもっている。

「ドキドキしてるのは私の方よ。」

私は、ふふっと笑いながら、真実の花を魔法陣の上に置いた。

その瞬間、花がふわっと光を放ち、魔法陣がひときわ強く輝き出した。

「さぁ、呪文を唱えるわ。」

私は深呼吸をしてから、呪文を口にする。

だが、言葉を発した途端、魔法陣が異常なほどに暴走し、魔力が周囲を巻き込んでいった。

風が吹き荒れ、空気が重く感じる。

あれ?ちょっと待って、何かおかしい…。

「フィオナ!」

エイゼンが叫ぶ声が、耳をつんざくように響いてきた。

それでも、私は呪文を続けようとしたけれど、魔法陣が急激に暴れ出し、強烈な光が私たちを包み込んだ。

「ダメ、引っ込んで!離れろ!」

エイゼンが飛び込んできて、私を守るように背中で庇おうとする。

でも、私も必死でそのまま呪文を続けた。

「エイゼン、お願い、下がって!これは私の力で…!」

私は叫びながら、必死に力を込める。

魔力が暴れ、頭の中がクラクラするけれど、エイゼンがここにいてくれるから、私は怖くない。

「フィオナ!」

エイゼンが叫ぶ声が、まるで遠くから聞こえてくるような気がした。

その声が私を突き動かして、さらに呪文に力を込める。

強く、強く、もっと強く…。

その瞬間、魔法陣が爆発的に光を放ち、私の体が空中に浮かび上がった。

周囲の風が吹き荒れ、私は目を閉じて、ただそのまま流されるのを感じていた。

だけど、心の中ではエイゼンの顔が浮かんでくる。

「エイゼン…」

私は小さく呟く。

すぐにその声がエイゼンに届いたかのように、彼の手が私をしっかりと掴んだ。

「大丈夫だ、フィオナ。君は一人じゃない。」

エイゼンの力強い声が、私の体に直接響く。

私は安心して目を開けると、そこにいたのは、私を守るエイゼンだった。

「エイゼン…。」

私は何も言えず、ただそのまま彼の手を握り返す。

彼の手のひらが温かくて、すごく安心した。

きっと、この瞬間が過ぎれば、私たちは一緒に幸せな未来を迎えられるんだ、って思った。

「フィオナ、君が無事で本当に良かった。」

エイゼンが顔を近づけ、ほんの少し唇を寄せる。私はそれに応えるように、目を閉じて彼の唇に触れる。

「エイゼン…。」

私はついに、自分の気持ちをそのまま彼に伝えた。

魔法陣が収束し、暴走した魔力が落ち着いていくと、空気が清々しくなった。

「ああ、もう…君が無事でよかった。本当に、もう。」

エイゼンがしっかりと私を抱きしめてくれる。

私はその温もりに包まれながら、これからのことを考えた。

未来がどうなるかは分からないけれど、エイゼンと一緒なら、どんな困難も乗り越えていける気がする。

「ありがとう、エイゼン。」

私は胸を打たれたように呟く。

「俺も、君と一緒にいてくれてありがとう、フィオナ。」

エイゼンの言葉が、優しく私を包んでくれる。

その時、魔法陣の中に真実の花が完全に消え、儀式が無事に終わったことを知らせてくれた。

だけど、今度はこの先、二人で過ごす未来に向けて、もう怖いものは何もない気がした。

「私たち、きっとこれからもずっと一緒だね。」

私は、エイゼンを見上げながらそう言った。

「もちろんさ。ずっと君を守り続けるから。」

彼の言葉は、私にとって何よりも大切な約束だった。
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