とまどう気球

朝日みらい

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「おかえりなさーい」

 すぐにお母さんが、お父さんの首に手を回して、ほっぺたにキスをした。

「さあ、早くお風呂に入ってきてちょうだい。すぐ羊飼いのクリスさんにお肉をわけてもらってくるわ。今日はお父さんの大好きな羊の肉のシチューにしましょうね」

「おお。もう、乾燥したコチコチのほぞん食にアキアキしていたんだよ」

 お父さんはお風呂に入って、ピカピカになって出てきた。それからごちそうをたらふく食べると、すぐにベッドでねむってしまった。

 しばらくすると、玄関の呼び鈴が代わる代わる鳴らされた。

「すごいね」
「やったね」

 近所の人たちが声をかけてくれる。

「ありがとうございます。みなさまのおかげです」

 お母さんは、小声でペコペコと頭を下げている。ラーラは廊下のかげから顔だけのぞかせて、お母さんの背中をじっと見ていた。

 そんなラーラに気づいた近所のおばあさんが、

「ラーラちゃんも、こんなステキなお父さんでうれしいねえ」

と、ほほえんだ。

「はい」

 ラーラもつられて笑顔をつくった。
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