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(でも……わたしなんかが公爵令嬢になっても大丈夫かしら……?)
アナリスは心配になったが、すぐにラファエルに肩を抱かれた。
「心配ないよ。わたしは一旦、王宮に戻る。近いうちにまた呼びに来るから」
ラファエルは優しく微笑むと、王宮に戻るため、応接室を出ていこうとする。
しかし、途中で思い出したかのように立ち止まり、アルを振り返った。
「ああそうだ、アル。くれぐれもこの話は内密に頼むぞ?」
(あ……そういえばそうだったわ……)
背筋に緊張感が走る。
公には偽装結婚のことは伏せてあるから、公爵令嬢にふさわしくない振る舞いをしないといけないだろう。
アナリスは、慌てて頭を下げた。
アルは少し驚いた様子だったが、すぐに笑みを浮かべると、恭しく一礼をしてみせた。
「心得ております、殿下」
こうしてアナリスの公爵令嬢(ウソだが!)の生活が幕を開けたのだった。
***
アルが用意してくれたメイド長の案内で、アナリスは屋敷の中を見て回ることになった。
まずは、この公爵邸で一番広いという図書室に連れていってもらうことになったのだが──。
(うわぁ……すごい!)
そこは天井まで届く本棚がいくつも並べられており、その中にはびっしりと本が敷き詰められていた。
そして奥には机と椅子があり、読書ができるようになっている。
(素敵だわ……)
アナリスは、思わず感動してしまった。
ここはまさに楽園だ。
小説のネタになりそうなものも、たくさんありそうだった。
「メイリーン様、ここにあるものは自由に読んでいただいてかまいませんよ」
「本当ですか?!」
「もちろんです」
メイド長は笑顔で頷く。
その笑顔に悪意はないようだ。
彼女は続けて言った。
「ですが、王宮はもっと広くて膨大な量の蔵書があるとお聞きておりますよ」
「ええっ?! そ、そうなんですか……」
アナリスは驚いた。
宰相たるや、おそらくこの国で一番大きい公爵家なのだろう。
(ということは、王宮の図書館にはきっとわたしの知らない本があるってことよね……)
そう思うと、わくわくしてくる。
アナリスは心配になったが、すぐにラファエルに肩を抱かれた。
「心配ないよ。わたしは一旦、王宮に戻る。近いうちにまた呼びに来るから」
ラファエルは優しく微笑むと、王宮に戻るため、応接室を出ていこうとする。
しかし、途中で思い出したかのように立ち止まり、アルを振り返った。
「ああそうだ、アル。くれぐれもこの話は内密に頼むぞ?」
(あ……そういえばそうだったわ……)
背筋に緊張感が走る。
公には偽装結婚のことは伏せてあるから、公爵令嬢にふさわしくない振る舞いをしないといけないだろう。
アナリスは、慌てて頭を下げた。
アルは少し驚いた様子だったが、すぐに笑みを浮かべると、恭しく一礼をしてみせた。
「心得ております、殿下」
こうしてアナリスの公爵令嬢(ウソだが!)の生活が幕を開けたのだった。
***
アルが用意してくれたメイド長の案内で、アナリスは屋敷の中を見て回ることになった。
まずは、この公爵邸で一番広いという図書室に連れていってもらうことになったのだが──。
(うわぁ……すごい!)
そこは天井まで届く本棚がいくつも並べられており、その中にはびっしりと本が敷き詰められていた。
そして奥には机と椅子があり、読書ができるようになっている。
(素敵だわ……)
アナリスは、思わず感動してしまった。
ここはまさに楽園だ。
小説のネタになりそうなものも、たくさんありそうだった。
「メイリーン様、ここにあるものは自由に読んでいただいてかまいませんよ」
「本当ですか?!」
「もちろんです」
メイド長は笑顔で頷く。
その笑顔に悪意はないようだ。
彼女は続けて言った。
「ですが、王宮はもっと広くて膨大な量の蔵書があるとお聞きておりますよ」
「ええっ?! そ、そうなんですか……」
アナリスは驚いた。
宰相たるや、おそらくこの国で一番大きい公爵家なのだろう。
(ということは、王宮の図書館にはきっとわたしの知らない本があるってことよね……)
そう思うと、わくわくしてくる。
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