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しおりを挟む「いや……こちらこそ突然すまないね。実は、公務で忙しいラファエル王太子殿下に言われて様子を見に来たのです。メイリーン嬢がおひとりで寂しくしているだろうから、会って差し上げてほしいと頼まれてね」
アル・デイラーン公爵はそう言うと、微笑を浮かべた。
その微笑みを見て、アナリスは思わずドキッとする。
(ああ……やっぱりこんなに気遣ってくだって)
アナリスは、心の中で呟いた。
「そんな、恐縮ですわ……。あの、わたし、殿下にお役に立てることってあるかしら?」
アナリスはアル・デイラーン公爵に尋ねた。
すると、彼は微笑を浮かべたまま答えた。
「そうですね。実は、王太子殿下の婚約者披露のパーティを開こうという計画があります。できれば、参加していただきたい」
「えっ……?」
「国内外の有力者に、婚約者であるメイリーン・アダムス公爵令嬢をお披露目したい。一か月後なので、なんとかがんばれば、様になるかと」
アナリスは一瞬、耳を疑ったが、どうやら聞き間違いではなかったらしい。
(どうしよう……?)
困惑していると、今度はクリストファーが言った。
「それに……メイリーン嬢は公爵令嬢で、この国の王太子妃になる設定ですからね。当然といったら当然かと……。あと、小説のネタにもなるし。面白い原稿、期待してますよ!」
(何を言ってるの? めちゃくちゃ他人事じゃないのよっ……!)
アナリスはますます混乱した。
「まあ、そういうわけですので……パーティにはぜひ参加してほしい。がんばれますか?」
アル・デイラーン公爵は、穏やかな口調で言った。
「わかりました。わたしでお役に立てるのならば……」
(王立図書館にも通いたかったし……ちょうどよかったのかも)
アナリスはしぶしぶ承諾すると、頭を下げた。
すると、アル・デイラーン公爵は安堵したような表情を浮かべると、「よかった」と言った。
(ああ……やっぱりわたしには荷が重いと思うなあ)
そう思いながらも、アナリスは淑女としての体裁の笑顔を作ると、二人に頭を下げた。
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