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なぎさ先生はペンを置いて向きなおった。それから、胸に手をあてた。
「何もかもがつまらなくて、何も感じられない病のことです。心の中に黒い穴ができちゃう病気です」
あたしは目をパチパチさせて、じっと見つめた。だって、それはずばり当たっていたから。
(この先生、ただ者じゃないかも?)
なぎさ先生は、腕を組んだ。
「喜びも悲しみも、ぜんぶ吸いこんで、体中に広がっていく、おそろしい黒い物体。わたしはそれをブラックホールと呼んでます」
ママも腕を組んで、何度もうなづいた。
「なるほど。それは宇宙とつながっているんですよね」
「宇宙は忘れてください」
なぎさ先生は目を細めて、肩を後ろにひいた。
「本当にこわいのです。私も経験していますから」
「先生が? あらイヤだ」
ママはひたいに手をやった。
(あたし、病気だったんだ)
でも、あたしはちょっと安心した。病気だったなら、直せばいいんだから。ふつうだと言われる方がこわいし。だって、他の病院はどこも分からなかったから。
ママは、つばを飲みこんでから、きいた。
「あの、なおりますよね、先生?」
「それはステージによるんです。一から百まで段階があって、数字があがるときびしいんです。小さくすることはできますけど」
なぎさ先生は真っ直ぐにママを見た。
「お願いです。ナオをたすけてください」
ママは、靴のつま先をはずませながら言った。
「何もかもがつまらなくて、何も感じられない病のことです。心の中に黒い穴ができちゃう病気です」
あたしは目をパチパチさせて、じっと見つめた。だって、それはずばり当たっていたから。
(この先生、ただ者じゃないかも?)
なぎさ先生は、腕を組んだ。
「喜びも悲しみも、ぜんぶ吸いこんで、体中に広がっていく、おそろしい黒い物体。わたしはそれをブラックホールと呼んでます」
ママも腕を組んで、何度もうなづいた。
「なるほど。それは宇宙とつながっているんですよね」
「宇宙は忘れてください」
なぎさ先生は目を細めて、肩を後ろにひいた。
「本当にこわいのです。私も経験していますから」
「先生が? あらイヤだ」
ママはひたいに手をやった。
(あたし、病気だったんだ)
でも、あたしはちょっと安心した。病気だったなら、直せばいいんだから。ふつうだと言われる方がこわいし。だって、他の病院はどこも分からなかったから。
ママは、つばを飲みこんでから、きいた。
「あの、なおりますよね、先生?」
「それはステージによるんです。一から百まで段階があって、数字があがるときびしいんです。小さくすることはできますけど」
なぎさ先生は真っ直ぐにママを見た。
「お願いです。ナオをたすけてください」
ママは、靴のつま先をはずませながら言った。
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