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八時すぎに車でクリニックに着くと、ヒマワリの柄のパジャマにロングコート姿のなぎさ先生が後ろ手で待っていた。ちょっと後ろの髪がねぐせで飛び出している。
「おはよう、ナオちゃん。うー、寒いねえ」
ママは、車の窓から首を出した。
「先生、お住まいはどちらですか?」
「あ、事務所の裏で寝泊まりしてます」
なぎさ先生は、がらんとした事務所に入った。電気ポットからお湯を注いで、紅茶を入れてくれる。甘いはちみつの香りがする。
ママが症状を伝えると、なぎさ先生はライトを取り出した。
「じゃあ、口、あーんして」
あたしが口を大きく開けると、のどの奥をじっくり観察している。それから今度は、おでこを手でさわった。
「熱はないみたい。学校行けるじゃん」
「行ける?」
ママがごっくんとつばを飲みこむ。あたしも、目が点になる。
「ちょっと、先生。調子が悪いから、学校も休ませたんですよ」
「私は、ナオちゃんの体が平気だから、許可しているんです。お母さんも、お仕事がんばって」
ママは、のどをつねった。
「でも先生、ナオの調子が悪いんです。私は、母親としてそのままじゃ心配なんです」
「あの、お母さん」
先生は、落ち着いた、低い調子の声で言った。
「確かにナオちゃんの胸の中には、ブラックホールがあります。レントゲンでもわからない、黒くて霧のような物体です」
あたしとママは顔をこわばらせた。
「おはよう、ナオちゃん。うー、寒いねえ」
ママは、車の窓から首を出した。
「先生、お住まいはどちらですか?」
「あ、事務所の裏で寝泊まりしてます」
なぎさ先生は、がらんとした事務所に入った。電気ポットからお湯を注いで、紅茶を入れてくれる。甘いはちみつの香りがする。
ママが症状を伝えると、なぎさ先生はライトを取り出した。
「じゃあ、口、あーんして」
あたしが口を大きく開けると、のどの奥をじっくり観察している。それから今度は、おでこを手でさわった。
「熱はないみたい。学校行けるじゃん」
「行ける?」
ママがごっくんとつばを飲みこむ。あたしも、目が点になる。
「ちょっと、先生。調子が悪いから、学校も休ませたんですよ」
「私は、ナオちゃんの体が平気だから、許可しているんです。お母さんも、お仕事がんばって」
ママは、のどをつねった。
「でも先生、ナオの調子が悪いんです。私は、母親としてそのままじゃ心配なんです」
「あの、お母さん」
先生は、落ち着いた、低い調子の声で言った。
「確かにナオちゃんの胸の中には、ブラックホールがあります。レントゲンでもわからない、黒くて霧のような物体です」
あたしとママは顔をこわばらせた。
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