ブラックホールをふき飛ばせ

朝日みらい

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「ですが、残念ながら、それを手術で取り出すことはできません。なぜなら、それには実体がないからです。お母さんの力を借りずにナオちゃんだけで、それを取り出さないといけないの」

 あたしは、お腹に手を置いた。何だか、こわくなってきた。その手に、なぎさ先生の大きな手が重なった。

「だいじょうぶ。ナオちゃんは強い子だって私には分かってる。ぜったい、治るからね」

 なぎさ先生の真っ直ぐな瞳に、キラリと流れ星がきらめいた気がした。

「よーし、じゃあ、とっておきのおまじないを教えてあげる。つらくなったら、となえる。いいわね」

(おまじない?)

 なぎさ先生は息をすいこんで、一気に話だした。

「ねコロンだ、なごコロンだ、ここコロンだ、ねコココンだ。はなじデタコロンダ。はじめ!」
「はっ?」
「では、もう一度。ねコロンだ、なごコロンだ、ここコロンだ、ねコココンだ。はなじデタコロンダ、まごコロンだ」

(あれ、なんかふえてない?)

 あんぐり口を開けたままのあたしに、なぎさ先生の激が飛ぶ。

「さあさあ、ナオちゃん。はずかしがらずに言う!」
「コロ、ンだ、なごコロッだ、ここコロ、コンだ、ね、ココ、コンだっ。はなじ、デ、デタタコロンダ」
「ダメダメ、舌がもつれてる。ほら、お母さんも笑ってないで、やるっ!」

 ママはたえきれずにふき出してしまう。それでもなぎさ先生は大真面目だから、さらにママは大笑い。あたしのえくぼは、ひくひくしたけど、やっぱり笑顔にはならなかった。

(早く、思いっきり笑いたい)

 なぎさ先生のまゆがゆるんだ。あたしをのぞきこんで、はげますようにちょっぴりベロを出した。
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