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「あたし、清水春菜よ。花ゆり小学校に通ってるの」
女の子は、にっこりして真っ直ぐ手を差し出す。
「わたし、染井シノリ。この公園にある学園に通ってる」
あたしは首をかしげる。もうずっとこの町に暮らしている。だけど学校があるなんて、きいたことない。
シノリは、クスリと笑った。
「へへへ、人間たちは通わないよ。そこは公園の木や草の精たちとか、動物たちが通うところだもん。精は人間には見えないよ。わたしが見ようとしなきゃねえ」
「まさか、木の妖精なの?」
シノリは、腕くみしてうなづく。
「ええ、まあ、そういうこと。ここにはイチョウとか、カエデとか、ツツジとか植わってるでしょ。わたしは桜の木ってわけね。木は動けないけど、妖精は自由に歩けるんだあ」
あたしは口をポカンと開けて聞いている。
「ちなみに、ふつう、わたしは人間からは見えないよ。だけど、春菜はべつ。だって、わたしが見たいんだから」
「なんで、あたし?」
あたしは、首をまげた。
「わからない? わたしが春菜とお友だちになりたいからに決まってるじゃん。春菜っていい名前ねっ。胸のブローチもステキだしさあ」
あたしは、うれしくて、ポッとほほがあつくなった。
「うん、ママが作ってくれるのよ」
「へえ、いいなあ。ねえねえ、どう? わたしのドレスも、めちゃキレイでしょう?」
女の子は、にっこりして真っ直ぐ手を差し出す。
「わたし、染井シノリ。この公園にある学園に通ってる」
あたしは首をかしげる。もうずっとこの町に暮らしている。だけど学校があるなんて、きいたことない。
シノリは、クスリと笑った。
「へへへ、人間たちは通わないよ。そこは公園の木や草の精たちとか、動物たちが通うところだもん。精は人間には見えないよ。わたしが見ようとしなきゃねえ」
「まさか、木の妖精なの?」
シノリは、腕くみしてうなづく。
「ええ、まあ、そういうこと。ここにはイチョウとか、カエデとか、ツツジとか植わってるでしょ。わたしは桜の木ってわけね。木は動けないけど、妖精は自由に歩けるんだあ」
あたしは口をポカンと開けて聞いている。
「ちなみに、ふつう、わたしは人間からは見えないよ。だけど、春菜はべつ。だって、わたしが見たいんだから」
「なんで、あたし?」
あたしは、首をまげた。
「わからない? わたしが春菜とお友だちになりたいからに決まってるじゃん。春菜っていい名前ねっ。胸のブローチもステキだしさあ」
あたしは、うれしくて、ポッとほほがあつくなった。
「うん、ママが作ってくれるのよ」
「へえ、いいなあ。ねえねえ、どう? わたしのドレスも、めちゃキレイでしょう?」
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