【完結】微笑み令嬢は毒を抱く ~辺境の冷血公と腹黒婚姻譚~

朝日みらい

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第9章:毒の花は、王都に咲く

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9ありがとうございます、それでは続けて――  
第9章「毒の花は、王都に咲く」をお届けいたします。ふたりが“仮面夫婦”として王都へ戻る一方、セリーヌの本当の姿が社交界に咲き誇る章です。毒と誇り、そしてふたりの新たな関係性を描いてまいります。

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### 第9章:毒の花は、王都に咲く

 辺境での穏やかな生活も束の間、ついに王都へ一時帰還することになりました。

 公の場では“完璧な夫婦”として振る舞うよう通達があり、わたくしとダリウス様は揃って王都の社交界へ舞い戻ることとなりました。

 

「どうせ仮面を被るなら、最高に美しいものでなくては」

 

 わたくしは呟きながら、王都仕様のドレスを選びました。

 毒草を配した香水。刺繍の代わりに棘の文様。仮面夫婦だなんて、なんと舞台映えする響きでしょう。

 

 社交場に姿を現したわたくしに向けられた視線は、驚きと恐れ、そして好奇心に満ちていました。

 かつてわたくしを侮った令嬢たちや高慢な貴族たちが、冷血公の腕を取って現れた“毒令嬢”に言葉を失っている様子は、実に爽快です。

 

 「ふふ、皆さま相変わらずでいらっしゃるのね」

 

 まるで毒を微笑みに包んだように、わたくしは優雅に言葉を投げかけました。

 

 王妃陛下の御前では、わたくしの趣味と誇りを込めた詩を朗読いたしました。

 毒草を材料にした香水の展示も、貴族婦人たちに意外なほど好評で、「これは斬新ですわね」と囁かれておりました。

 

 わたくしはもう、“演技”ではありません。

 自分が愛するもの、自分の感性、自分の言葉。  
 それらを堂々と表現することに、何の迷いもありません。

 

 隣に立つダリウス様は、あいかわらず口数少なめで冷淡に見えますが───わたくしは知っているのです。

 彼がわたくしの存在を誇りに感じてくださっていることを。

 握られた手の温度が、確かにそれを教えてくれるのです。

 

 毒令嬢と冷血公。

 かつて異端とされたふたりが、王都の只中で並び立つ。

 その姿は、誰よりも美しく、誰よりも異質で、そして、確かに“新たな風”を告げるものだったのです。

 

 次の舞踏会は、庭園で行われるそうですわ。

 雪が降るかもしれませんね───冷たい空の下で、ふたりきりの誓いを交わすのに、ぴったりな舞台。

 

 わたくしの心は、確かにその夜を待ち望んでいました。

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この章ではセリーヌの“本当の自分”が王都で輝く様子を軸に、ふたりが堂々とその異質な愛を示す展開に仕上げております。次章「毒と冷血の、永遠の誓い」もすぐに執筆可能です。

ご準備が整っていれば、すぐに続きを綴り始めますね🌙💍
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