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「ソママさんはよく乗るのかな」
おじいさんが言った。
ぼくは、うなづいた。
「いつもです」
「そうかい。おもいやりがあって、温かい気持ちになるからね」
「そうですね」
おじいさんは、ぼくの方に首を向けた。
「最近、世間は急ぎすぎる。べつに忙しくもないのに、たくさんの人たちが時間に追われてイライラばかりしている。走り回って、追いつけないわたしのような年寄りは置いてきぼりだ」
おじいさんは、エレベーターの壁にそっと手でなでた。
「でも、この子はちがう。いつも、わたしを待っていてくれる。仕事の効率は悪いだろう。けれど、この子は、毎日待っていてくれる」
おじいさんは後ろ手で手を振ると、四階でおりていった。
ドアが閉まった時、ソママ号は急に動かなくなった。スピーカーから、シクシクと雨の音がこぼれおちてきた。
「・・・・・・」
ぼくは、ぎゅっと手を握りしめた。
「わかってるよね。きみは役立たずなんかじゃないって」
ぼくは、カメラを見上げて言った。
「これだけ、ぼくの好きな音楽を知っているエレベーター、世界中のどこさがしたってないんだから」
しばらくして、雨の音がやんだ。
エレベーターは、ゆっくりと上がり始めた。照れたように、ノリノリのジャズを流しながら。
おじいさんが言った。
ぼくは、うなづいた。
「いつもです」
「そうかい。おもいやりがあって、温かい気持ちになるからね」
「そうですね」
おじいさんは、ぼくの方に首を向けた。
「最近、世間は急ぎすぎる。べつに忙しくもないのに、たくさんの人たちが時間に追われてイライラばかりしている。走り回って、追いつけないわたしのような年寄りは置いてきぼりだ」
おじいさんは、エレベーターの壁にそっと手でなでた。
「でも、この子はちがう。いつも、わたしを待っていてくれる。仕事の効率は悪いだろう。けれど、この子は、毎日待っていてくれる」
おじいさんは後ろ手で手を振ると、四階でおりていった。
ドアが閉まった時、ソママ号は急に動かなくなった。スピーカーから、シクシクと雨の音がこぼれおちてきた。
「・・・・・・」
ぼくは、ぎゅっと手を握りしめた。
「わかってるよね。きみは役立たずなんかじゃないって」
ぼくは、カメラを見上げて言った。
「これだけ、ぼくの好きな音楽を知っているエレベーター、世界中のどこさがしたってないんだから」
しばらくして、雨の音がやんだ。
エレベーターは、ゆっくりと上がり始めた。照れたように、ノリノリのジャズを流しながら。
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