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だけど駆けつけると、ツルッパゲは柵の下を通り抜け、軽トラックの荷台に荷物の横にちょこんと座って、ミチルを見上げていた。
ミチルがどうしようとしどろもどろになっていると、作業服の男が運転席に乗りこんで、車のエンジンをかけはじめた。
「ま、まずい」
ミチルは声を上げようとしたけれど、かまわず車はさっさと走り去ってしまった。
ミチルは、トボトボと工場の入り口に歩いていった。つばをのみこんでからチャイムを鳴らすと、
「はい、クマザワですが」
という、低くて暗い声が返ってきた。名前と伝えると、ジーパンに長袖のトレーナーを着たケイスケがやってきた。トレーナーにはトラの顔面がプリントされていて、正直怖い。
「松原、どうした?」
ケイスケは、いぶかしげに眉をつりあげたので、ミチルは顔も見られずに下を向いた。やっぱり、クマみたいで怖い。トレーナーのトラも、キバを出してにらんでくるから、なお怖い。だけど、黙っていても始まらない。
「あ、あの、さっき車が出ていったのを見て」
「ああ、父ちゃんが機械をお客に届けにいったんだ」
「あの、あたし、そのトラックにモノ落としちゃって」
「モノって?」
ミチルは、口ごもりながら、
「い、石」
と言ってこわごわとケイスケを見上げた。
ミチルがどうしようとしどろもどろになっていると、作業服の男が運転席に乗りこんで、車のエンジンをかけはじめた。
「ま、まずい」
ミチルは声を上げようとしたけれど、かまわず車はさっさと走り去ってしまった。
ミチルは、トボトボと工場の入り口に歩いていった。つばをのみこんでからチャイムを鳴らすと、
「はい、クマザワですが」
という、低くて暗い声が返ってきた。名前と伝えると、ジーパンに長袖のトレーナーを着たケイスケがやってきた。トレーナーにはトラの顔面がプリントされていて、正直怖い。
「松原、どうした?」
ケイスケは、いぶかしげに眉をつりあげたので、ミチルは顔も見られずに下を向いた。やっぱり、クマみたいで怖い。トレーナーのトラも、キバを出してにらんでくるから、なお怖い。だけど、黙っていても始まらない。
「あ、あの、さっき車が出ていったのを見て」
「ああ、父ちゃんが機械をお客に届けにいったんだ」
「あの、あたし、そのトラックにモノ落としちゃって」
「モノって?」
ミチルは、口ごもりながら、
「い、石」
と言ってこわごわとケイスケを見上げた。
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