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本番の前日、みんなで会場の下見に出かけた。商店街の中央広場に、舞台の鉄骨が組み上がっていた。アーケードには、お祭りのノボリがさげられている。
そこに見覚えのあるポニーテールとスーツ姿があった。ママだった。何でいるんだろう。黙って知らないふりをしてやり過ごした。
(さあ、本番だ。負けられない。明日は、最高の踊りを見せるんだ)
帰ると、ママがめずらしくエプロンをつけて、手作りのハンバーグを焼いていた。部屋には、荷物を入れたダンボールが積み上がっている。
それを空輸で運んでもらう。二週間後に、私たちはロサンゼルスに向けて出発することになる。私はだんだん腹が立ってきた。認めたくない現実が、目の前にころがっていた。
食卓に並んだハンバーグは焦げていて、いくつかはくずれている。
「明日の土曜日、ダンス大会でしょう?」
ママが、こげた部分をホークでよけながら言った。
「仕事抜け出せたら、顔を出すから」
「えっ?」
私は顔を上げた。ママはニコリとした。
「だって、あんなにがんばっているんだもの。ママだって見たいわ」
正直、うれしかった。だけどついて出てきたのは、全くちがっていた。
「恥ずかしい。来ないでよ」
ママの手が止まった。
「いまさら、いい母親ぶるのはやめて。気持ち悪い」
そう言い放つと、自分の部屋に逃げこんだ。ママの顔が、つらくて見れなかった。
そこに見覚えのあるポニーテールとスーツ姿があった。ママだった。何でいるんだろう。黙って知らないふりをしてやり過ごした。
(さあ、本番だ。負けられない。明日は、最高の踊りを見せるんだ)
帰ると、ママがめずらしくエプロンをつけて、手作りのハンバーグを焼いていた。部屋には、荷物を入れたダンボールが積み上がっている。
それを空輸で運んでもらう。二週間後に、私たちはロサンゼルスに向けて出発することになる。私はだんだん腹が立ってきた。認めたくない現実が、目の前にころがっていた。
食卓に並んだハンバーグは焦げていて、いくつかはくずれている。
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