【完結】義妹に全て奪われた私。だけど公爵様と幸せを掴みます!

朝日みらい

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第8章: 社交界の恐怖

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「舞踏会?」

私が驚いた顔をしてアルノーを見つめると、彼はただ淡々と頷いた。

「そうだ、リリアナ。君も参加する。」

「え、私?」

私は思わず口をあんぐりと開けてしまった。

だって、社交界なんて、私には縁のない世界だと思っていたんだもの。

そもそも、舞踏会なんてどうやって振る舞えばいいのかもわからないし、どうしたらいいのかわからない。

アルノーは冷静に、しかし私をしっかり見て、「舞踏会は君にとっても必要だ。」と言った。

彼の冷徹な声に、なんだかますます緊張してきた。

確かに、アルノーはこの社交界での立場を持っているし、私も彼の側にいる以上、避けて通ることはできないんだろうけど…。

「うーん、でも…」

私は手を顔に当てて、悩んでみる。

舞踏会って、まるで夢の世界みたいなものよね?

貴族たちの上品な衣装に、優雅に踊る姿…まさに、私には場違いな世界だ。

でも、アルノーが言うなら、仕方ないのかな。

「何か気になるのか?」

アルノーが冷静に私を見つめて、ちょっとだけ眉をひそめた。

あれ、この人、私が緊張してるの気づいてる?

「いや、そんなことないけど…」

私はごまかし笑いを浮かべてみるものの、その表情が少しばかりぎこちなくて、すぐにアルノーに見破られた。

「ちょっと固いな。」

彼が言ったとき、その目がちょっとだけ柔らかくなった気がして、私は少しホッとした。

やっぱり、ちょっと優しさが感じられる瞬間もあるんだ…。

「ううん。だって、公爵様の妻ですもの。頑張りますわ。」


それから、舞踏会の準備が進んでいった。

ドレスを選ぶために館内の仕立て屋に案内されたが、私が選ぶドレスの色合いやデザインについて、アルノーは一切口を出さずに冷静に眺めていた。

その無表情な顔が、逆に緊張感を強くしてしまう。

「アルノー様…どう思います?」

私は恥ずかしさもあって、ドレスを着た自分を鏡で見ながら質問してみた。

「似合ってる。」

彼が短く答えるだけだったけど、その一言に思わず顔が赤くなった。

これだけで心がドキドキしてしまうなんて、私って本当に単純だよね。


舞踏会当日、私はドレスをまとって、アルノーと一緒に馬車で会場へ向かう。

正直、心臓がバクバクして落ち着かない。

社交界に足を踏み入れること自体、未知の世界すぎて、私にはちょっと恐怖すら感じていた。

到着して会場に入ると、まるで別世界だった。

豪華なシャンデリアが天井から降り、金色の装飾が施された壁に囲まれた大広間に、煌びやかなドレスを着た貴族たちが集まっていた。

彼らは優雅に挨拶を交わし、気品のある振る舞いをしている。

「はぁ…」

私は思わず深呼吸してみるも、どうにも落ち着かない。

こんな大勢の目に晒されるなんて、どう考えても恐ろしい。

「リリアナ、肩の力を抜け。」

アルノーが冷静な声で言ってきた。

それだけで少し心が落ち着く。

「ええ、わかってはいるの。だけど…」

私は小声で答えながら、アルノーに引っ張られるようにして、会場の中へと足を踏み入れた。

その歩みが、ちょっと大きすぎて、周りの貴族たちの視線が集まる。

でも、その視線を感じながらも、アルノーはまったく動じない。

彼が何事もなかったかのように歩いている姿に、少し安心感を覚えた。

「あなたがいるから、大丈夫よね…」

私はアルノーの背中に小さな声で呟いてみた。

彼がどう反応するかはわからないけれど、少しだけ頼りにしている自分がいた。

すると、アルノーがふと顔を少しこちらに向けて、「うん。」とだけ言って、私をしっかり見てきた。

その目にどこか安堵を感じて、私の気持ちが少し軽くなった気がした。


でも、やっぱりその後が大変だった。

貴族たちの冷ややかな視線、陰口、何を話しているのか分からない視線の奥に潜む競争心…。

私は自分がどうしてこんな世界にいるのか、さっぱり理解できなくなってしまった。

「リリアナ。」

アルノーが静かな声で呼びかけ、私を引き寄せてくれる。

彼の手のひらが、少しだけ温かく感じる。

「大丈夫か。」

アルノーは、周囲の視線を感じながらも、私を支えてくれるように優しく言った。

その言葉に、私は少しだけ救われる。

でも、何も分からないままこの社交界に足を踏み入れてしまったことに、私は少し戸惑いと不安を感じていた。

「アルノー様…わたし、本当にあなたの隣に相応しい?」

私は少しだけ眉をひそめて尋ねる。

アルノーは軽く肩をすくめて、「もちろんだ。」と言う。

でもその声の奥に、何だかお世辞めいたものを感じて、私はますます心配になった。

「…義妹のイザベラの方がもっと素敵だったのよ?」

私は少し沈黙した後、やっぱり尋ねた。

「相応しくないのよね? わたし」

アルノーはその質問に少しだけ目を細めた後、にっこりと笑って言った。

「馬鹿言うな。君は俺の自慢の妻だ。」

その言葉が、私の心を温かくした。
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