【完結】なんで俺?勇者はなぜか聖女に慕われる。

朝日みらい

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 それはまさに平和そのものだった。

 ある日の午後、勇者と聖女は国王と王妃に呼び出された。

 そこには宰相や騎士団長など、国家の臣下たちが列席していた。

「そなたたちのおかげで王国は救われた……本当にありがとう」

 国王は深々と頭を下げた。

 お妃もそれに続くように深く頭を下げる。

「そこで……そなたたちにこれを授けようと思うのだ……」

 そう言って差し出されたのは、大きなダイヤがついた冠だった。

「……これはどういうことでしょうか?」

 勇者は、驚きの表情を浮かべながら国王に尋ねた。

 するとお妃が笑顔で説明を始める。

「これは王家に伝わる由緒正しい王冠ですわ。本来は息子のものですが、王子は亡くなりました。それで、勇者のあなたがこの国の王子になってほしいと、そう決めたのです」

「ちょっとお待ちください!」

 騎士団長が口を開いた。

「こやつらは確かに偉業を成し遂げましたが、どこの馬の骨か分からぬ他国の者たち。王国の後継者になる資格はないと思いますが……」

 その言葉に勇者はムッとするが、反論はしなかった。

 確かに自分は素性も分からない流れ者だ。

 それに王子としてやっていける自信もない……。

「いやいや、わしは決めたのじゃよ」

 国王は、騎士団長を諭すように穏やかに言った。

 宰相が声を上げた。

「それにしても身分が気になります。我が国は小国でも、千年続く由緒正しい王国でございます。どこの馬の骨とも分からぬ国の王子など、到底受け入れられるはずもありますまい」

 その言葉に勇者はうつむいてしまう。

 確かにその通りだ。自分は異邦人に過ぎないのだから──。

「エルドレッド殿は次期国王にする。わしが決めたのだ」

 国宝は宣言するが、宰相は顔を真っ赤にして怒り出した。

「いくら陛下の命令とはいえ、納得いきません!」

 他の臣下たちも同調するようにうなずく。

「まあ、落ち着け。わしも考え無しに決めたわけではないぞ」

 国王はなだめるように言うと、勇者に向かって語りかけた。

「わしはそなたを見て思ったのだ……。きっとこの国を正しい方向へ導いてくれるだろうと。そしてそなたになら安心して任せることができると思っているのだ」

「そんな無責任なことを仰らないでください!」

 宰相が叫ぶように言った。

 しかし国王は冷静な表情のまま言葉を続ける。

「もちろん後継者になるということは重責を背負うことになる。だが、そなたならきっと立派にこなせると信じておるのだ」
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