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42.帰り道
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マルスとグレンの所から帰ったのは夕方頃。思っていたよりも長居してしまった。
マルスとは昨日会っていたけど、グレンとは久しぶりに会ったため話が弾んだ。
ノワールとルーチェも初めよりも2人と打ち解けていたように思う。特にノワールがグレンに対して質問攻めしていた。きっと同じ獣人であることと年齢が近いのもあって親近感があったんだと思う。
仲良くやっていけそうで安心した。
夕陽で照らされオレンジ色に染まった帰り道を3人で手を繋ぎ並んで歩く。
「きれいだね~」
「そうだね。2人とも今日はどうだった?」
「たのしかった!」
「そっか。ルーチェはどうだった?」
「パイ、おいしかった」
「ハハッ、そっか、パイ美味しかったか~。ルーチェは甘いもの好きだもんね。また今度作ってあげるよ」
グレンと会ってみてどうだったかという意味で聞いたつもりだったんだけど、どうやらルーチェはそれよりグレンから分けて貰ったパイの方が印象に残ったみたいだ。甘いものが好きなルーチェらしい。そもそも具合的に聞かなかった俺も悪かった。
「明日は何をしようか」
2人と出会ってからギルドからの依頼を受けることもなくなり、毎日平和な日々を過ごしている。元々お金に困ってはいなかったけど、元日本人の性なのか働かないといけないという思いがあって、ノワールとルーチェに出会う前はほぼ毎日のように依頼を受けていた。だから、今のようにのんびりと時間を気にせず過ごすことはなかった。偶に休息日は設けていたけど、それでもここまで穏やかに過ごすことはなかったように思う。
早くこちらの世界に慣れなければいけないという思いがあったせいもあるかもしれない。
この世界に来て、俺が異世界人であることは誰にも言っていない。誰も信用していないからとかではなく、言う必要がないと思ったからだ。
言って面倒事に巻き込まれたくないし、良くしてくれた人達を巻き込みたくもない。
もしかしたら、いずれノワールやルーチェには話すかもしれないけれど、きっとまだ先のことだろう。
「そうだ!さっきグレンくんがね、きれいないしのおみせがあるっておしえてくれたの!」
「いし?」
「うん!ゆづにいとルーのおめめとかみのけがきれいってはなしたらね、すきなひとにはじぶんのめとかかみのいろとおなじいろのいしをおくるんだって!」
ノワールから詳しく話を聞くと、グレンから好きな人同士ではお互いの目や髪と同じ色の石を贈り合うことを聞いたらしい。きっと石というのは宝石のことだろう。そして、グレンは貴族では私には相手(将来を誓った人)がいると周囲にアピールする意味でお互いの色の宝石を使った装飾品等を贈り合うことが習慣としてあるといったことをノワールに教えたのだと思う。
確かにそう言った習慣はある。貴族同士では宝石を贈り合うようだが、平民でもお互いの色の装飾品を身につけるといったことをする者もいる。
「ぼく、ゆづにいとルーがすきだから、ふたりのいろのいしがほしいなって……だめ?」
ノワールはまだ幼い。だから好きな人=恋人や婚約者ではなく、好きな人=純粋に自分が好きな人、大切な人といった意味に捉えたんだろう。
ノワールらしいな。
ノワールに好きと言われて、胸がギュッとなった。
お互いの色を身につけるのは必ずしも恋人や婚約者同士でないといけないという決まりはない。
俺たちは家族だ。家族でお互いの色の物を身につけていてもおかしくはないだろう。
「ダメじゃないよ。そうだね、俺もノワールとルーチェが大好きだよ。だから、3人でお揃いの石を持つのもいいかもしれないね」
「うん!」
ノワールの表情が俺を伺うようなものからぱあっと花が咲いたみたいに明るくなった。
それにしても石か…貴族のように宝石を身につける訳にもいかないし、何か代わりになるもの……宝石、石、鉱石……あ。
宝石の代わりになるものを色々と思い浮かべていたら、ある物が頭に浮かんだ。それは、パワーストーンだ。
呼び方が違うだけで宝石とパワーストーンは同じ様なものでは?と思う人もいると思うが、確かに「物」としては同じだ。素材は同じ鉱物なのだから。ただ、価値や条件が違う。
宝石は天然石の中でも非常に価値が高く、外観の美しさ、希少性の高さ、耐久性の高さといった条件が全て備わっているものであり、パワーストーンは宝石と同じく元は天然石ではあるが、運気の上昇、願いを叶えるといった特殊な効果を持つ石のことをいう。
値段的価値や数も宝石よりパワーストーンの方が手に入れやすい。それでも、パワーストーンはそこそこの値段はするけどね。
そもそも宝石は色々な意味で価値が高いから平民が住む街では売っていない。貴族街にある宝石店等でしか扱われていないため、平民が手にすることは無理に等しい。
パワーストーンを扱う店は数こそ少ないけれど、平民街にもある。俺は行ったことはないけれど店があるというのは聞いたことがある。ただ、店がある場所が少し治安の悪い場所ということが心配だ。
行く時はノワールとルーチェには防御魔法をかけてから行った方がいいかな。俺がいるから大丈夫だとは思うけど、人攫いもいるって聞いたことがあるからね。万が一のことがあるといけないから、できる対策はしっかりとしていく。2人に怖い思いはさせたくない。
「それじゃあ、明日は3人でお揃いの石を買いに行こうか」
「やったー!!!ルー、たのしみだね!きれいなのあるといいね!」
「ん」
3人でどんな石があるのか話しながら、空が暗くなる前に家へと帰った。
マルスとは昨日会っていたけど、グレンとは久しぶりに会ったため話が弾んだ。
ノワールとルーチェも初めよりも2人と打ち解けていたように思う。特にノワールがグレンに対して質問攻めしていた。きっと同じ獣人であることと年齢が近いのもあって親近感があったんだと思う。
仲良くやっていけそうで安心した。
夕陽で照らされオレンジ色に染まった帰り道を3人で手を繋ぎ並んで歩く。
「きれいだね~」
「そうだね。2人とも今日はどうだった?」
「たのしかった!」
「そっか。ルーチェはどうだった?」
「パイ、おいしかった」
「ハハッ、そっか、パイ美味しかったか~。ルーチェは甘いもの好きだもんね。また今度作ってあげるよ」
グレンと会ってみてどうだったかという意味で聞いたつもりだったんだけど、どうやらルーチェはそれよりグレンから分けて貰ったパイの方が印象に残ったみたいだ。甘いものが好きなルーチェらしい。そもそも具合的に聞かなかった俺も悪かった。
「明日は何をしようか」
2人と出会ってからギルドからの依頼を受けることもなくなり、毎日平和な日々を過ごしている。元々お金に困ってはいなかったけど、元日本人の性なのか働かないといけないという思いがあって、ノワールとルーチェに出会う前はほぼ毎日のように依頼を受けていた。だから、今のようにのんびりと時間を気にせず過ごすことはなかった。偶に休息日は設けていたけど、それでもここまで穏やかに過ごすことはなかったように思う。
早くこちらの世界に慣れなければいけないという思いがあったせいもあるかもしれない。
この世界に来て、俺が異世界人であることは誰にも言っていない。誰も信用していないからとかではなく、言う必要がないと思ったからだ。
言って面倒事に巻き込まれたくないし、良くしてくれた人達を巻き込みたくもない。
もしかしたら、いずれノワールやルーチェには話すかもしれないけれど、きっとまだ先のことだろう。
「そうだ!さっきグレンくんがね、きれいないしのおみせがあるっておしえてくれたの!」
「いし?」
「うん!ゆづにいとルーのおめめとかみのけがきれいってはなしたらね、すきなひとにはじぶんのめとかかみのいろとおなじいろのいしをおくるんだって!」
ノワールから詳しく話を聞くと、グレンから好きな人同士ではお互いの目や髪と同じ色の石を贈り合うことを聞いたらしい。きっと石というのは宝石のことだろう。そして、グレンは貴族では私には相手(将来を誓った人)がいると周囲にアピールする意味でお互いの色の宝石を使った装飾品等を贈り合うことが習慣としてあるといったことをノワールに教えたのだと思う。
確かにそう言った習慣はある。貴族同士では宝石を贈り合うようだが、平民でもお互いの色の装飾品を身につけるといったことをする者もいる。
「ぼく、ゆづにいとルーがすきだから、ふたりのいろのいしがほしいなって……だめ?」
ノワールはまだ幼い。だから好きな人=恋人や婚約者ではなく、好きな人=純粋に自分が好きな人、大切な人といった意味に捉えたんだろう。
ノワールらしいな。
ノワールに好きと言われて、胸がギュッとなった。
お互いの色を身につけるのは必ずしも恋人や婚約者同士でないといけないという決まりはない。
俺たちは家族だ。家族でお互いの色の物を身につけていてもおかしくはないだろう。
「ダメじゃないよ。そうだね、俺もノワールとルーチェが大好きだよ。だから、3人でお揃いの石を持つのもいいかもしれないね」
「うん!」
ノワールの表情が俺を伺うようなものからぱあっと花が咲いたみたいに明るくなった。
それにしても石か…貴族のように宝石を身につける訳にもいかないし、何か代わりになるもの……宝石、石、鉱石……あ。
宝石の代わりになるものを色々と思い浮かべていたら、ある物が頭に浮かんだ。それは、パワーストーンだ。
呼び方が違うだけで宝石とパワーストーンは同じ様なものでは?と思う人もいると思うが、確かに「物」としては同じだ。素材は同じ鉱物なのだから。ただ、価値や条件が違う。
宝石は天然石の中でも非常に価値が高く、外観の美しさ、希少性の高さ、耐久性の高さといった条件が全て備わっているものであり、パワーストーンは宝石と同じく元は天然石ではあるが、運気の上昇、願いを叶えるといった特殊な効果を持つ石のことをいう。
値段的価値や数も宝石よりパワーストーンの方が手に入れやすい。それでも、パワーストーンはそこそこの値段はするけどね。
そもそも宝石は色々な意味で価値が高いから平民が住む街では売っていない。貴族街にある宝石店等でしか扱われていないため、平民が手にすることは無理に等しい。
パワーストーンを扱う店は数こそ少ないけれど、平民街にもある。俺は行ったことはないけれど店があるというのは聞いたことがある。ただ、店がある場所が少し治安の悪い場所ということが心配だ。
行く時はノワールとルーチェには防御魔法をかけてから行った方がいいかな。俺がいるから大丈夫だとは思うけど、人攫いもいるって聞いたことがあるからね。万が一のことがあるといけないから、できる対策はしっかりとしていく。2人に怖い思いはさせたくない。
「それじゃあ、明日は3人でお揃いの石を買いに行こうか」
「やったー!!!ルー、たのしみだね!きれいなのあるといいね!」
「ん」
3人でどんな石があるのか話しながら、空が暗くなる前に家へと帰った。
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