エルフに転生した俺は、クズ野郎をぶっ飛ばす!

タカユキ

文字の大きさ
17 / 36

ティミドゥス•フォルティスの過去

しおりを挟む
ティミの視点


「兄ちゃん…また出掛けるの?」

僕の家のお兄ちゃんの部屋で僕は、見上げながら言った。
僕は寂しがりながら、お兄ちゃんを引き止められないか考えた。


「ああ、冒険の旅さ。俺は親と仲悪いからな。ティミ俺にとってお前は宝だ。」

お兄ちゃんは冒険家だ。たまに帰って来るぐらいだから、友達も兄ちゃんのことは知らない。

お兄ちゃんは、僕に色々なことを教えてくれた。魔法の事、冒険であった体験…巨大なモンスターを見つけた事。

お兄ちゃんは、なんでも知ってる。僕にとってまさに英雄だった。


お兄ちゃんに憧れて、僕も冒険家になりたいと思った。不思議な木の実を発見したり、綺麗な自然の風景を見て、満喫したりしたい。


僕の自慢のお兄ちゃん。いつか紹介したいなぁ。そうしたら、こんなカッコいいお兄ちゃんがいるって、みんな驚くだろうな。


「僕も兄ちゃんが宝!」

お兄ちゃんの足に抱きついて、大きな声で言う。

「ふふこいつー! なぁティミ、俺は友達が俺のこと置いて逃げずに、代わりに死んだことがあってな。」

お兄ちゃんが僕を抱き抱えた。楽しそうな表情から、悲しみを感じさせる表情に変化した。

その友達は、僕の知っている人だろうか?
お兄ちゃんにとって、その人も宝だったのだろう。お兄ちゃんの瞳が、その人を懐かしんでいる様に訴えている。

深くは、僕は聞けなかった。お兄ちゃんのその辛そうな表情を見ると、思い出したくなさそうだからだ。


「どうしたのお兄ちゃん、いきなり?」

僕は心配になり聞いた。

「いや…お前にはそうなって欲しくないんだ。だから危ない目に遭ったら逃げろ。助けようなんて思うな…批判されてもな。2人だけの秘密の約束。」

僕の頭を撫で、お兄ちゃんが言って、僕は頷いた。

「うん、危なくなったら逃げれば良いんだね。でも逃げなかったらお兄ちゃんは、死んでたの?」

それは嫌だ。けど…お兄ちゃんとの約束は…絶対に守る。複雑な…とても心が痛む。僕は、どうしたらいいんだろう。

「もう…死んでる様なもんだ。だから危険な旅とかしてる。命だけは、助かった様なものだ。
お前が逃げても、俺は褒めてやるからな。」

お兄ちゃんに褒められるなら、していい事なんだね。


それから…お兄ちゃんが亡くなったと知らせが届いた。

その時の状況が事細かに記してあった。目撃者が多数いたんだ。

人間を助ける為に…どうして…お兄ちゃんが死ななきゃ…なんないんだ!

僕は記してあった紙を握りしめた。けど、続きが見たいから、また紙を伸ばして読んだ。


…魔族の1人に殺された。そう記されていた。
虚栄ヴァニタ・ティオ…左眼に怪我を負わせたが、生きてると書いてあった。

…こいつは、まだ生きてるんだ。こいつをやるまでは絶対に死ねない。


僕は強くなると心に決めた。
そして同い年では、誰よりも強くなった。

でも…お兄ちゃんの笑顔はもう見れない。いつも抱きしめて髪を撫でて褒めてもくれない。

僕は強くなって、人を見下す様にさえなった。
お兄ちゃんが側にいれば、それだけで良かった。

お兄ちゃんは何故僕を置いていったの。お兄ちゃんこそ逃げれば良かったんだ!

…今ならお兄ちゃんの気持ちが分かるよ。人を助けたいって気持ちが。


でも、婚約者を置いて逃げたのは、お兄ちゃんのせいじゃない…僕の心が弱かったんだ。

僕とは、それほど親しくもないマギが、僕が頼ったら、助けてくれたんだ。

マギのお母さんも、突然の訪問に快く迎え入れてくれた。そのお母さんが苦しんでる。

僕はこのお兄ちゃんの様に優しい2人を、見捨てて逃げるのは、無理だ。


だから…ごめんお兄ちゃん…僕2人を助ける…約束破ってごめんなさい。

もしここで死んだら、天国で僕を叱ってくれ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

R・P・G ~女神に不死の身体にされたけど、使命が最低最悪なので全力で拒否して俺が天下統一します~

イット
ファンタジー
オカルト雑誌の編集者として働いていた瀬川凛人(40)は、怪現象の現地調査のために訪れた山の中で異世界の大地の女神と接触する。 半ば強制的に異世界へと転生させられた凛人。しかしその世界は、欲と争いにまみれた戦乱の世だった。 凛人はその惑星の化身となり、星の防人として、人間から不死の絶対的な存在へとクラスチェンジを果たす。 だが、不死となった代償として女神から与えられた使命はとんでもないものであった…… 同じく地球から勇者として転生した異国の者たちも巻き込み、女神の使命を「絶対拒否」し続ける凛人の人生は、果たして!? 一見頼りない、ただのおっさんだった男が織りなす最強一味の異世界治世ドラマ、ここに開幕!

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

処理中です...