18 / 36
決着
しおりを挟む俺はアリエナが苦しんでる隙を狙って、母を助けに向かった。
「ちぃ、そうはさせん。息の根を止めてやる。」
コンクルカが母にくっ…俺は人差し指を向けた。間に合…
グラキアリス! 氷の刃が、コンクルカに直撃した。これは…スビアの攻撃魔法!
くっ…はっ。
ティミ、スビアありがとう! 俺は2人にお礼を言って、母に癒しの薬指癒翼を使った。
見る見るうちに母の傷が治っていく。
「駄目だ! ちくしょう…ここは一旦引くぞ。」
コンクルカが撤退命令をしたのだろう、ラピディも頷いた。
「了解です…今回は私達の負けのようですね。また会いましょう。」
ふざけるな、お前達の顔は見たくない。
次は、レニスを回復させに行こうとした。
「ふざけるなぁ! 臆病者どもが、俺に撤退はねぇ! ガキども、殺してやる。」
アリエナが猛獣の様に突っ込んでくる。
まるで、イノシシが人になって襲いかかって来る感じだ。凄まじい速度と威圧感だ。
アリエナが怒りで、我を失っているようにも思えた。
それは、真っ先に母が狙われると思ったが、俺に向かって来たからだ。
だがそのおかげで、母に危険が及ばないことに、心の底で安堵した。
必ずこいつを倒さなくては。みんなが助けてくれた想いを無駄にしないためにも。
アリエナが爪を閉まった。拳で俺を殺したくなったのだろう。
うらぁー! アリエナの巨大な拳が俺のすぐ目の前にあった。すぐさま俺は小指の護法守護陣でシールドを張った。
だが、シールドを張ったにも関わらず俺の体は、50メートルは吹っ飛ばされた。その衝撃で肩と腕にズキっと痛みが走った。
なんでパワーだ。これが魔族の力か。俺は地にふして、立ち上がろうと地面に手をついた。
その時アリエナは、50メートルの距離をあっという間に詰めて来ていた。膝をついて少し立ち上がった。小指の護法守護陣!
オラオラオラ! 奴の拳がシールドの頭上から何度も降り注ぐ。シールドと拳で衝撃波が見える。
殺し合い…額に汗が噴き出る。奴の拳と恐怖で押しつぶされそうだ。
くっ…俺は足を地面に蹴り、後ろに下がった。それを見て、アリエナがすかさずアッパーを繰り出す。
なんとか紙一重にかわした。
防戦一方だ。格闘戦なんて…そう…勝ち目がない。なら、こちらは魔法で反撃しなければ勝てない!
閃光神指雷鳴! 人差し指から光を放つ魔法だ。アリエナがシールドを張った。
シールドを張ると言うことは、直撃させれば効くと思われる。俺は何度も魔法を放った。
アリエナが怯んだ一瞬を俺は見逃さなかった。
地面を蹴って、奴の懐に入った。アリエナが拳を振り上げる。
このクズ野郎! と俺は叫んで、右手に全ての魔力を貯めて、アリエナの腹に怒りと共に拳をぶつけた。俺の最強の必殺技、原初星生爆砕拳(ゲンショソウセイバクサイケン)
俺がそう叫んだのは、母が殴られているのを、喜んで見ていたアリエナに対する、怒りによるものだった。
がっはっ…奴の目が真っ白になる。アリエナの拳は俺の顔面すれすれにきていた。一歩遅ければ、俺の顔が粉砕されていた。
アリエナが腹を抱え込む。そしてそのまま、仰向けに倒れ込む。
倒したのか? やつがヒクヒクと体を痙攣させていた。
「やったー。マギ勝ったね! 信じてた。」スビアが俺に抱きついて言った。
「ああ、危なかったけどな。」
俺は握り拳を上げて喜びを伝えた。
うぅ…くっ…は。アリエナがまだ生きている。とどめを刺さないと。
頼む…助けて…助けて下さい。靴でも舐めるのでどうか…お許しを。
…今更…母さんをあれだけ痛ぶって喜んでおいて。
お願いします…どうか…ご勘弁を…死にたくない。
ふん、消えろ。俺の前に2度と顔を見せるな。早くどっかいけ。
ありがとうございます。へへ、お優しいや。あの…立てないので、手を貸して頂けませんか?
仕方ないので俺は右手を差し出して、アリエナを起こしてやることにした。
その時やつの手から爪が鋭く伸びた。その爪で俺の右手の指を切り裂いた。
5本の指が空中に舞い、血飛沫が飛ぶ。
うぁっ…俺は痛みで悶絶しかける。地面に何度も周り、意識を失いかける。気力でなんとか持っているが…このままだと奴に殺される。
は~はっは! まんまとかかりやがったなぁ。こりゃ傑作だ。とんだ甘ちゃんだった様だ。これで魔法は使えまい。どうやら最終的に俺の勝ちだったな。
やられる! その時俺の前にスビアが立った。危ない! 俺は叫んで、彼女が俺を庇おうとしているのを見るしなかった。
デーモンインテルフェクトール! スビアの声が微かに聞こえた。
しまっ…ぐぁぁ!
アリエナの断末魔が聞こえた。やりやがった、スビアがやつを倒した。
「言ったでしょ? 私があんたを守るって。誰か! 回復魔法使える人いない?」
俺はスビアに感謝しつつ、痛みで失神した。
0
あなたにおすすめの小説
転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚
熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。
しかし職業は最強!?
自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!?
ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
R・P・G ~女神に不死の身体にされたけど、使命が最低最悪なので全力で拒否して俺が天下統一します~
イット
ファンタジー
オカルト雑誌の編集者として働いていた瀬川凛人(40)は、怪現象の現地調査のために訪れた山の中で異世界の大地の女神と接触する。
半ば強制的に異世界へと転生させられた凛人。しかしその世界は、欲と争いにまみれた戦乱の世だった。
凛人はその惑星の化身となり、星の防人として、人間から不死の絶対的な存在へとクラスチェンジを果たす。
だが、不死となった代償として女神から与えられた使命はとんでもないものであった……
同じく地球から勇者として転生した異国の者たちも巻き込み、女神の使命を「絶対拒否」し続ける凛人の人生は、果たして!?
一見頼りない、ただのおっさんだった男が織りなす最強一味の異世界治世ドラマ、ここに開幕!
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる