35 / 36
2章
絶望的状況
しおりを挟む
こうなったら…ティミの前に立って攻撃を受けるしかない。くっそ! 指が使えれば、バリアで防げたのに…これを受けたら無事にはすまないだろうな。
…あ…れ? 俺は目をつむっていた。なんともない…まさか外したか?
俺はそっと目を開けた。
するとそこには、バリアを張っている、魔族の女の子が立っていた。
…確か双子の女の子の方…ルナって言っていた。
「な…なんだテメェは? 魔族が何エルフの味方してやがる?」
やつが後退りし、動揺した様に言う。
「私は…友達の友達を救いに来たんだ! あなたが傷つけると言うのなら、私は…魔族相手でも戦う!」
ルナが勇ましく見えた。だけど…同族同士で戦わせて良いのか?
いや…今は…そうしてもらうしかない。
「ありがとう、ティミを回復させたい。少しだけ、時間を稼いで欲しい。」
俺が頼むと、彼女がにっこり微笑み頷いた。
ルナの黒い瞳が、俺のいた前世の人達を思い出させた。
珍しい…そう考えたがすぐに、回復魔法をティミにかけ始めた。
「ふざけるな! ガキが…いや…仲間をやられた俺には、分かるぜ…その感情が。くっくっく、魔族同士でやり合うなんてよ、人間みたいだぜ!」
「私、魔族と言うより、人間に近いかも。だからそれって間違ってないよ。」
「はん、魔族の皮被った臭え人間かよ。まぁいい。さっさと死ね!」
コンクルカが口から、凄まじい炎を吐き出した。
辺りの森に火が移る。ルナがバリアをずっと張って、そのブレスも、弾いてる。
「はん、いつまで持つかな?」
やつは、余裕そうに一旦ブレスを吐くのをやめ、また吹き出した。
確かにコンクルカの言う通り、長くは保たないかもしれない。だがティミが回復してくれたら、奴を倒してくれるはず。
頼むそれまで持ち堪えてくれ。
…しばらくルナとコンクルカの我慢比べが5分ぐらいだろうか、続いた。
良し、ティミの傷がだいぶ塞がった。あとは、意識を取り戻してくれれば。
ううっ…ルナが膝をついた。バリアが保てなくなったんだ。
「ふん、よく持ちやがったな、褒めてやるよ。炎をであぶって殺すのも良いが、やはり殴ってやらないと、俺の気が済まん。」
コンクルカが猛ダッシュでルナに近寄る!
「くたばりやがれ!」
危ない! 俺はルナの目の前に仁王立ちで庇った。
腹にもろにやつの拳を受けて、俺は吹っ飛ばされて、背後にいるルナもろとも、弾かれた。
激しい激痛が襲う。俺は意識が…遠のきそうになりながら、痛みで意識を取り戻すを繰り返していた。
「マギしっかり! どうして? 私を庇ったの…もう役に立てない私なんか…うぅ。」
彼女の手の感触を感じた。俺は、最後の力を振り絞って、声を出した。
「仲間…だから。それ…より…ティミを連れて、逃げるんだ! 早く!」
「無理だよ、置いてなんていけない。」
ルナが、俺の頼みを断った。今はそれが最善なんだ…このままじゃ、全員全滅する。
だけど、声に出なかった。痛みで最早自我が保てない。
「くっくっく、庇い合いか? やる順番が変わっちまったか。だが、良く耐えたな。次は本気で殴ってやるぜ? だがその前に絶望を与えてやる。」
絶望だと? どう言うことだ?
「俺は1人で来たが、魔族にはワープってもんがあんのよ。今俺の仲間を呼んだ。意味が分かるか? テメェらは終わりってことだ。気絶したガキが復活しても、複数相手は果たして出来るかな?」
そんな…嘘だろ? 俺は重症…頼みの綱のティミは、気絶している。ルナも魔力切れだ。
「ルナ…誰かここに増援は来てくれないのか?」
「うん…来ないと思う。この森の火の煙とかで、気付いてくれたとしても、すぐには…」
彼女の言葉が…虚しく響いた。
…あ…れ? 俺は目をつむっていた。なんともない…まさか外したか?
俺はそっと目を開けた。
するとそこには、バリアを張っている、魔族の女の子が立っていた。
…確か双子の女の子の方…ルナって言っていた。
「な…なんだテメェは? 魔族が何エルフの味方してやがる?」
やつが後退りし、動揺した様に言う。
「私は…友達の友達を救いに来たんだ! あなたが傷つけると言うのなら、私は…魔族相手でも戦う!」
ルナが勇ましく見えた。だけど…同族同士で戦わせて良いのか?
いや…今は…そうしてもらうしかない。
「ありがとう、ティミを回復させたい。少しだけ、時間を稼いで欲しい。」
俺が頼むと、彼女がにっこり微笑み頷いた。
ルナの黒い瞳が、俺のいた前世の人達を思い出させた。
珍しい…そう考えたがすぐに、回復魔法をティミにかけ始めた。
「ふざけるな! ガキが…いや…仲間をやられた俺には、分かるぜ…その感情が。くっくっく、魔族同士でやり合うなんてよ、人間みたいだぜ!」
「私、魔族と言うより、人間に近いかも。だからそれって間違ってないよ。」
「はん、魔族の皮被った臭え人間かよ。まぁいい。さっさと死ね!」
コンクルカが口から、凄まじい炎を吐き出した。
辺りの森に火が移る。ルナがバリアをずっと張って、そのブレスも、弾いてる。
「はん、いつまで持つかな?」
やつは、余裕そうに一旦ブレスを吐くのをやめ、また吹き出した。
確かにコンクルカの言う通り、長くは保たないかもしれない。だがティミが回復してくれたら、奴を倒してくれるはず。
頼むそれまで持ち堪えてくれ。
…しばらくルナとコンクルカの我慢比べが5分ぐらいだろうか、続いた。
良し、ティミの傷がだいぶ塞がった。あとは、意識を取り戻してくれれば。
ううっ…ルナが膝をついた。バリアが保てなくなったんだ。
「ふん、よく持ちやがったな、褒めてやるよ。炎をであぶって殺すのも良いが、やはり殴ってやらないと、俺の気が済まん。」
コンクルカが猛ダッシュでルナに近寄る!
「くたばりやがれ!」
危ない! 俺はルナの目の前に仁王立ちで庇った。
腹にもろにやつの拳を受けて、俺は吹っ飛ばされて、背後にいるルナもろとも、弾かれた。
激しい激痛が襲う。俺は意識が…遠のきそうになりながら、痛みで意識を取り戻すを繰り返していた。
「マギしっかり! どうして? 私を庇ったの…もう役に立てない私なんか…うぅ。」
彼女の手の感触を感じた。俺は、最後の力を振り絞って、声を出した。
「仲間…だから。それ…より…ティミを連れて、逃げるんだ! 早く!」
「無理だよ、置いてなんていけない。」
ルナが、俺の頼みを断った。今はそれが最善なんだ…このままじゃ、全員全滅する。
だけど、声に出なかった。痛みで最早自我が保てない。
「くっくっく、庇い合いか? やる順番が変わっちまったか。だが、良く耐えたな。次は本気で殴ってやるぜ? だがその前に絶望を与えてやる。」
絶望だと? どう言うことだ?
「俺は1人で来たが、魔族にはワープってもんがあんのよ。今俺の仲間を呼んだ。意味が分かるか? テメェらは終わりってことだ。気絶したガキが復活しても、複数相手は果たして出来るかな?」
そんな…嘘だろ? 俺は重症…頼みの綱のティミは、気絶している。ルナも魔力切れだ。
「ルナ…誰かここに増援は来てくれないのか?」
「うん…来ないと思う。この森の火の煙とかで、気付いてくれたとしても、すぐには…」
彼女の言葉が…虚しく響いた。
0
あなたにおすすめの小説
転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚
熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。
しかし職業は最強!?
自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!?
ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
R・P・G ~女神に不死の身体にされたけど、使命が最低最悪なので全力で拒否して俺が天下統一します~
イット
ファンタジー
オカルト雑誌の編集者として働いていた瀬川凛人(40)は、怪現象の現地調査のために訪れた山の中で異世界の大地の女神と接触する。
半ば強制的に異世界へと転生させられた凛人。しかしその世界は、欲と争いにまみれた戦乱の世だった。
凛人はその惑星の化身となり、星の防人として、人間から不死の絶対的な存在へとクラスチェンジを果たす。
だが、不死となった代償として女神から与えられた使命はとんでもないものであった……
同じく地球から勇者として転生した異国の者たちも巻き込み、女神の使命を「絶対拒否」し続ける凛人の人生は、果たして!?
一見頼りない、ただのおっさんだった男が織りなす最強一味の異世界治世ドラマ、ここに開幕!
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる