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久しぶり
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お昼休み後終わる頃になった途端急な豪雨
嫌な予感が体を蝕み始めた
すぐに教室に戻った私たちは、予鈴が鳴るまで席に着いていた
「...すごい雨だね」
「お前見えねぇだろうけど想像の100倍ぐらいの雨降ってるぞ」
「聴覚と嗅覚と触覚は他の人の100倍くらいあるからわかるよ」
「じゃあ俺どんな匂いすんの?」
廻はわざと遠ざかっていったらしい
でも廻の匂いはすぐにわかる
「なんか、変わった匂い...グレープフルーツと桃の匂いが合わさった感じ」
廻の匂いはすごく落ち着いて、きつくないのですぐに鼻腔に入ってくる
「すっげえ乙女チックな体臭だな」
...!
廻の言葉が入って来た後に、廻とは違う匂いが鼻腔を掠めた
「血の匂いがする......」
「は?」
身体中の血の気が引いて行く
「外!外から匂いがする...」
ガラッ
雨の音が強く聞こえる
廻が窓を開けて外を確認しているようだ
「.........お前すげーな、血の海だ」
廻の声は低く、掠れていた
「どうなってるの?」
私が問うと、ため息混じりの言葉が返ってくる
「兄貴が来た......後3秒くらいってとこだな」
「え?」
廻の言葉を理解しようと働いていた脳の機能は、激しく割れる窓の音とけたたましい悲鳴によって止まった
「久しぶり」
廻の声色に似ていた
けれどその男の声は、廻にはない悪意を孕んでいた
目が見えなくてもわかる
きっとこの男は今気味の悪い笑みを浮かべ、廻と向かい合っているのだろう
「...兄貴」
廻の声は少し寂しそうだった
バタバタと言う足音が聞こえては消え、消えた瞬間にびちゃびちゃと不快な音が教室を埋め尽くした
不快な音が聞こえると同時に血の匂いが濃くなることから、今どんな状況かは容易に想像できる
「.........やめろよ」
廻の声だ
「やめるわけないだろ~?......てか、お前が盾になって守ってるその子はなに?」
私はその男が言うまで廻が自分を守ってくれていることに気がつかなかった
「もう十分殺しただろ、やめろ」
「俺の質問聞こえてた~?それなんだって聞いてんだよ」
この男は人を人だと思っていない
この男にとっては人も玩具になるんだ
「.........俺の大事な女だ。もう殺しはやめろ」
「大事な女!?いつからそんな臭いセリフ吐くようになったんだよ!?」
廻がこんなこと言った理由はわかってる
だから今はいちいち驚いたりしない
ただただこの男の声が不快で、私は耳を塞ぎたくなった
「まぁいいや、俺はお前を殺さないし」
「兄貴...」
「お前はな?」
____鋭い痛みが身体を走った
嫌な予感が体を蝕み始めた
すぐに教室に戻った私たちは、予鈴が鳴るまで席に着いていた
「...すごい雨だね」
「お前見えねぇだろうけど想像の100倍ぐらいの雨降ってるぞ」
「聴覚と嗅覚と触覚は他の人の100倍くらいあるからわかるよ」
「じゃあ俺どんな匂いすんの?」
廻はわざと遠ざかっていったらしい
でも廻の匂いはすぐにわかる
「なんか、変わった匂い...グレープフルーツと桃の匂いが合わさった感じ」
廻の匂いはすごく落ち着いて、きつくないのですぐに鼻腔に入ってくる
「すっげえ乙女チックな体臭だな」
...!
廻の言葉が入って来た後に、廻とは違う匂いが鼻腔を掠めた
「血の匂いがする......」
「は?」
身体中の血の気が引いて行く
「外!外から匂いがする...」
ガラッ
雨の音が強く聞こえる
廻が窓を開けて外を確認しているようだ
「.........お前すげーな、血の海だ」
廻の声は低く、掠れていた
「どうなってるの?」
私が問うと、ため息混じりの言葉が返ってくる
「兄貴が来た......後3秒くらいってとこだな」
「え?」
廻の言葉を理解しようと働いていた脳の機能は、激しく割れる窓の音とけたたましい悲鳴によって止まった
「久しぶり」
廻の声色に似ていた
けれどその男の声は、廻にはない悪意を孕んでいた
目が見えなくてもわかる
きっとこの男は今気味の悪い笑みを浮かべ、廻と向かい合っているのだろう
「...兄貴」
廻の声は少し寂しそうだった
バタバタと言う足音が聞こえては消え、消えた瞬間にびちゃびちゃと不快な音が教室を埋め尽くした
不快な音が聞こえると同時に血の匂いが濃くなることから、今どんな状況かは容易に想像できる
「.........やめろよ」
廻の声だ
「やめるわけないだろ~?......てか、お前が盾になって守ってるその子はなに?」
私はその男が言うまで廻が自分を守ってくれていることに気がつかなかった
「もう十分殺しただろ、やめろ」
「俺の質問聞こえてた~?それなんだって聞いてんだよ」
この男は人を人だと思っていない
この男にとっては人も玩具になるんだ
「.........俺の大事な女だ。もう殺しはやめろ」
「大事な女!?いつからそんな臭いセリフ吐くようになったんだよ!?」
廻がこんなこと言った理由はわかってる
だから今はいちいち驚いたりしない
ただただこの男の声が不快で、私は耳を塞ぎたくなった
「まぁいいや、俺はお前を殺さないし」
「兄貴...」
「お前はな?」
____鋭い痛みが身体を走った
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