満輪因果の反逆譚 ~種の頂点、人類最強と呼ばれてる少女はポンコツです~

G.なぎさ

文字の大きさ
7 / 16

第6話 『千斬』

しおりを挟む





 ――――――地中海沿岸部――――――


 異形の形をした数十mの気色の悪い怪物と1人の少女が向かい合っていた。


「中々やるでは無いか……人間!!」

「あたしは……FCT序列3位!『千斬』ラナよ!!いつか1位を超える退怪術士なんだから!!」

「……まぁよい。ではこれを捌けるかな?怪装・黒点弾雨!!!」

「……やっぱり公爵級、怪装を使えるのね。でも!!甘いわ!!『千斬・空間断絶!!』」


 空を埋めつくし黒い死の雨を、全て切り払う。
 その攻撃はまさに、「千の斬撃」。

 これが彼女を退怪術士3位たらしめる理由。
 数ある斬撃系の異能の中でも、頂点に位置すると言われる『空間断絶』

 そしてその斬撃を……無尽蔵に連撃として放ち続ける……故に千斬。

 国際異能機関「ファクルタース」序列3位『千斬のラナ』


 しかし……今回の相手は公爵級の大怪異。
 その中でも彼女にとっては相性最悪の敵であった。


「勝った、と思ったな?残念だ。」

「これは……毒!?」

「相性が悪かっのぉ。我の怪装は触れた異能を介して、使用者の異能そのものを侵す。そしてこれを食らったが最後、異能という鎧を剥がされ最後には……ただの人間として死ぬ。」


 異能そのもので大量の手数を作り出す彼女にとって、異能を介しての毒は相性最悪である。
 敵に触れる異能の量が多くなるほど、比例して送れる毒の量も増加するからだ。


「くそっ!!ならその前に殺す!!『一刀断絶!!』」


 ラナの判断は適切だった。
 異能を少しずつ侵食するならば、その前に方をつけてしまえばいい。そう考えたのだ。

 ただ判断が適切なら勝てる……そんな都合のいい話は現実には無い。


「おーおぉ。目に見えて威力が落ちておるなぁ。」

「バカね?あんたとは、このくらいのハンデがあってトントンなのよ!!」

「1つ……勘違いしているな。誰が怪装が1つと言った?」

「……」


 膨大な力が集まる。遂には大きさ20mはあろう巨大な土槍がその姿を表す。

 しかしただの土槍ではない……その強度は。
 金剛石をも遥かに上回る。


「はっ!それな何よ!私だって1つじゃないわ!異能発現『戦装・炎龍』」


 彼女の周りは赤く燃え上がる炎に包まれる。
 そしてその炎を斬撃に付与し、打ち放った。


「なんと……それほど強力な異能を2つも?」


 遂には土槍を焼き付くし、炭にするまでに至るその高温は……
 周囲の海水さえも、凄まじい勢いで蒸発させている。


「じゃが?誰も槍が一つとは言っとらんぞ??」

「!?」


 埋め尽くすような量の土槍……それが極点に向かって集中するその様はまさに……

 ……人知を超えていた……


「……異能発現『心眼』」

「何!?まだあるというのか!?小賢しい小娘め!!」


 勝負が着いたように見えた……
 しかし彼女は新たに発動した異能『心眼』で土槍の起動を完全に見切り、回避している。


「伊達に3位と呼ばれてないんだから!!」

「当たらぬ……この!!人間ごときがぁぁ。」

「ほら!!正面取ったわよ!!これでさっさと消えなさい!!!!」

「バカな!?人間ごときが!!」


 しかし……


「ゴフッ。」


 あと一歩の所で、ラナの限界が来た。


「悲しきことだな?……あと2秒違えばやられていたのは我だったやもしれん。だがこれが現実!我の異装で貴様は異能の1割程度も使えない。」

「そんな……このあたしが……」

「後悔か?ならは悔いながら死ね。」

「こんなヤツにこれを使う事になるなんて……」

【報告。人類最強、朔月のムーノ様がもうじき到着します。】


「……その前に終わらせる!!異能共振!!魔能発現!!『炎龍心装』」

「1割程度でこの圧……つくづく人間の進化とは終わらぬものだな。」

【炎龍心装・千斬!!】


 空間を切断する斬撃を更に大きく、そして早くするだけではない。
 そこには追尾性能と、膨大な炎の熱が追加される。

 まさに生まれながらにして、天より怪異術士になる為に与えられた異能。


「まさか……こちらもこれを使う事になるとはな……」


 そう言って大怪異は体の中から、何やら小さな容器を取り出す。


「何が出てきても正面から叩き潰す!!」

「これはな……『超狂化ウイルス』と呼ばれるものだ。」

「は?」


 そう言って怪異王はその容器を体内で砕いた。


「ぅぉああああああああああ!!!これが!!狂化ウイルス!!かつて神の国で使われたというウイルス!!!」

「嘘……でしょ!?何よその力!!」

「ふははははははははは!!!これか?これが気になるよなぁ!!これはな!!遥かに高い次元に住む神々が使うとされる……『神力』と呼ばれる力だ!!!」

「くっ……恐らく万全な状態でも五分。今のあたしじゃ……」


『神力』
 神々の世界では魔力という名で親しまれるが……
 その力は他の文明の魔力とは一線を画す。

 エネルギー変換効率は実に99.993%。
 あらゆる物質、理論、事象に変換が可能な神々の万能エネルギー。

 それを擬似的にとはいえ、扱えてしまっているというのは……

 本来世界の摂理に反する事態なのだ。


「見よ!!これが神々の力!!力の深淵!!第10位階魔術!!超圧水刃!」

「あたしの断絶とやり合おうってわけ?いい度胸してるわね!!」


 恐らく万全の状態なら負けない……
 アイツは『神力』の使い方をほとんど理解していないからだ。

 しかし今のあたしが……勝てる保証はない。
 負ける?ここで死ぬ?このまま誰にも勝てないまま?


「激流の中に消えろ!!」

「うるさい!!」


 敗北を考えるなんて私じゃない!!
 勝つことだけ考えて!!突き進む!!!



 その後は時間にしてたった30秒ほどの短い撃ち合いだった。

 しかし重ねられた刃と刃は、千を超える削り合いとなり地中海上に輝いていた。

 そして遂に……
 その瞬間は訪れた。

 初めに致命傷を与えたのは……


「グバッ。バカな!!ありえぬ!!」

「な、めるな!さん……下!!」


 戦いを制したのは『人間』であった。


「あり、えぬ!異装で力の9割以上を削いだ……なぜ!」

「そのく、らいの……ハンデがあって、」


 浮かび上がる赫灼の巨刃。そして彼女は高らかに叫んだ。


「トントンなのよ!!食らいなさい!!!」

「バカな!!バカなバカなバカな!!ヌォォアアアアアア!!」


 赤き炎に埋め尽くされ、公爵級大怪異はその生涯を閉じた。


「ハァ…ハァ…。テンプレートは……破ってこそなんぼなのよ。」

「そのトーリ!さよーなら~!」

「は?……」


 気づいた頃にはもう……
 彼女の土手っ腹に、真紫色の棘が貫通していた。






☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★

 どうもこんにちわ。G.なぎさです!
 第6話をここまで読んでくださりありがとうございます!

 君主級怪異と序列3位『千斬』
 そして忍び寄る最悪の影?人類の運命はいかに!?

 もし面白い、続きが気になる!と思った方は【応援】や【レビュー】をしてくれると超嬉しいです!!

 何かあればお気軽にコメントを!



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

タイム連打ってなんだよ(困惑)

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
「リオ、お前をパーティから追放する。お前のようなハズレスキルのザコは足手まといなんだよ」  王都の冒険者ギルドにて、若手冒険者のリオは、リーダーの身勝手な都合によってパーティから追い出されてしまい、同時に後宮では、聖女の降臨や第一王子の婚約破棄などが話題になっていた。  パーティを追放されたリオは、ある日商隊の護衛依頼を受けた際、野盗に襲われる可憐な少女を助けることになるのだが、彼女は第一王子から婚約破棄された上に濡れ衣を着せられて迫害された元公爵令嬢こと、アイリスだった。  アイリスとの出会いから始まる冒険の旅、行く先々で様々な思惑によって爪弾きにされてしまった者達を受け入れていく内に、彼はある決意をする。 「作ろう。誰もが幸せに過ごせる、そんな居場所を」  目指すべき理想、突き動かされる世界、そしてハズレスキル【タイム連打】に隠されたリオの本当の力とは?    ※安心安全安定安泰の四安揃った、ハピエン確定のハズレスキル無双です。 『エ○ーマンが倒せない』は関係ありません。

現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活

シン
ファンタジー
 世界中に色々な歪みを引き起こした第二次世界大戦。  大日本帝国は敗戦国となり、国際的な制約を受けながらも復興に勤しんだ。  GHQの占領統治が終了した直後、高度経済成長に呼応するかのように全国にダンジョンが誕生した。  ダンジョンにはモンスターと呼ばれる魔物が生息しており危険な場所だが、貴重な鉱物やモンスター由来の素材や食材が入手出来る、夢の様な場所でもあった。  そのダンジョンからモンスターと戦い、資源を持ち帰る者を探索者と呼ばれ、当時は一攫千金を目論む卑しい職業と呼ばれていたが、現代では国と国民のお腹とサイフを支える立派な職業に昇華した。  探索者は極稀にダンジョン内で発見されるスキルオーブから特殊な能力を得る者が居たが、基本的には身一つの状態でダンジョン探索をするのが普通だ。  そんなダンジョンの探索や、たまにご飯、たまに揉め事などの、華の無いダンジョン探索者のお話しです。  たまに有り得ない方向に話が飛びます。    一話短めです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

悪の組織に人体改造された俺、目覚めると組織が壊滅していたので、ヒーローを目指してみようと思います。

銀猫
ファンタジー
異世界より現れた悪の組織『ダークマター』。世界征服を掲げて人を攫い、怪人に改造して世界を恐怖のどん底に陥れた。  このまま世界征服されてしまうかと思われていたが、『ダークマター』を倒す為に魔法少女やヒーローが現れ立ち塞がる。  長い長い戦いの末、ヒーロー達は『ダークマター』を打ち破り世界に平和が訪れた。  組織壊滅から数年。未だ復興の目途は立たず、新たに加わった超常により未だ世間は混乱の渦中にあった。とめどなく変化する世界の中で、辺境にあったラボで1人の怪人が目覚めていた。『ダークマター』が最後に作った怪人にして最終兵器。 「組織滅んでんじゃん」  怪人に改造され記憶を失った少年は世界を滅ぼす為に戦う、わけでもなく。  お金を稼ぐ為に今日もバイトに出勤する。    記憶を失った少年が歩むのは怪人の道か、あるいは――

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!

石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。 クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に! だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。 だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。 ※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

処理中です...