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生きるという意味って? 私編4
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藪さんの病院から出た私は、それはもぅいつ事故ってもおかしくない、ぎりぎりの運転‥はたから見ると暴走トラックがドリフトしてんじゃね?っていうくらいの、私の運転スキルを総動員した配達劇の幕を挙げていた。
通常のおそらく三倍速で午前便を捌き、それでも荷物は留守残荷物も含めて、トラックのコンテナ内に3分の一の荷物が残ったまま、午後便配達の荷物も拾いに、13時手前にターミナルへ向かった。
もちろん昼飯なんか何時も通り取らないままに‥
ターミナルにそれまたドリフトばりに、トラックを横滑りさせながらホーム脇に横付けすると、午前の路線便の荷捌きは終了していたのだか、自分の配達荷物が何時もよりほぼ二倍になって積み上がっていた‥
そこに、ニヤニヤしながら配車の青木という、浅黒くて細見の外見だが、眼は何時もギラギラ、且つ何時ものヤニ臭い何とも言えない異臭を放ちながら、配車室からトコトコ私に近づいてきて、
嫌味ったらしく
「やぁ、キミは午後の路線便捌きサボったからさ、他の配達で溢れた荷物を、キミに進呈することにしたんだ、無理とは言わせんよ、それくらいで済ますんだから、俺に感謝しろよ」ニャニャっ!
てな感じで、嫌がらせモード全開で、私に話掛けると、伝票の束を私に投げつけ、手をヒラヒラと見せつけた後、青木は配車室に戻っていった。
この数日前、全力で別のドライバーからボコボコにされたのも頷けるな‥私もあと少しで、ネコ(荷捌きで使用する、車輪付きのハンドキャリー、よくお婆ちゃんが引っ張ってるカーゴの鉄製、大きい版のこと)を青木の顔目掛けて投げつけるとこだった‥危ねえ‥殺っちまうとこだった‥
暫し呆然とはしたけど、明日まで持ち越し、少し配達のルートを引き直せば何とかなるかも‥という算段を頭の中で整えると、ホームに降り立ち、時間指定も考慮しながらひたすらパズルを組み立てるように荷物を下から上までみっちりと、頭の中でどう降ろしていくかをシミュレーションをしながら、荷物を積み込んでいく。
暫くすると、扉が閉まらないじゃね?ってトラックの後ろの観音開きの扉を締めがけたとき、憂さ晴らしよろしく、扉を閉じる勢いと合わせて蹴りつけ、荷物が少しへしゃげたが、そんなの構わず無理やり荷物をねじ込んだ。それでも少し残ったんで、助手席に十数箱の荷物を放り込んで出発だ‥
"これ過積載で捕まるんじゃね?しかも、私の配達区域からかなり外れた場所もあるぞ?青木の奴、いつか闇討ちしてやろうか‥いや必ず殺さない程度に報復してやる‥"
と、ほぼ決意?に近いつぶやきをしながら、トラックの運転席に、まだ冬の寒さが染みるにも関わらず、汗だらけな私は、身体を滑りこませた。
幸いな事に午後の配達は、少し遅れたお陰で留守宅が少なく、順調に配達をこなしていったが、配達先で手渡しをする度に、私の汗だらけな姿を見る荷受人の顔が、ゴミを見るような表情で、手渡しした荷物をバイキンでも扱う様に、指先で掴んでいることが、ほんと心の柔らかいとこを刺激する。
まぁ、そんなことしょっちゅうなんで、気にしないも~ん♪
と、心のキズを躱しながら、午後の配達は午後五時の段階で、コンテナ内の5分の一位に減らすことに成功した。
まぁ、区域外の荷物は後で、こっそり、担当の奴の荷物に紛れ込ましてやることが前提だがな‥
まぁ、残りは明日の午前に奮起しようと心に決め、集荷先の定時連絡が、配車の青木から流れて来たので、指定された集荷先に向かった。
その途中、会社支給の携帯(スマフォじゃないよ、この時代はね‥所謂ガラケー)に、藪さんから連絡が入った。
二回ほどプルプル、サイレントモードを震わせて、電話を取ると、
「この携帯番号でいいのかな?
○田さんの携帯に掛けてるつもりなんだけど、合ってるかな?」
と藪さんが、少しトーンを下げた声で話てきた。
「はい、合ってますよ♪でもいま仕事中なんで、あんましゃべれないんですけど、あの子は無事ですか?」
と、ちょと焦り気味に答えてしまった‥
「いや仕事中にごめんね♪
ちょっとかなり難しい手術だったんで、随分時間は掛かったんだけど、何とか命は救えたよ~。
でも、やっぱり折れた肋骨が少し内蔵に届いててね‥暫くはほんと入院が必要になると思う‥」
って、さらっとトンデモない事を藪さんは仰られた‥
それより、今回の手術、ずっと掛かりつけだったと思うけど、藪医者‥って失礼‥藪さんの病院には他に患者は居ないのだろうか‥
少し他人事ながら心配になったので、
「すみません、なんか今日ずっと貼り付いて頂いたお陰で、あの子の命は救えたと思うんですけど、他の患者さんに迷惑掛けませんでしたかね‥」
と、かなりストレートに疑問をぶつけてしまった。
すると、
「いやぁ、日頃は○本大学の獣医学部で教鞭をとっとるんで、ここの病院は知り合いから診察とか手術依頼がこない限り、開院しないんだよ♪
たまたま、昨日から大学がおやすみに入ったんで、暇を持て余すのもなんだから、昨日から一時的に開院してるんだ♪」
っていう、トンデモ発言が飛び出した。
【♪】はすっごく気になるが‥それより初老おまわりさんのサトさんの人脈、ハンパね~っす‥しかもおそらく、昨日から藪さんが暇を持て余してることを察しての紹介だったんすね‥マジ卍‥
そんな私の驚きを、電話の先では気づきはしないんだろうけど、少し心配そうな声で、藪さんは問いてきた。
「この子のことなんだけど、○田さんはおそらく寮住まいだよね‥朝はカマ掛けて一緒に住んでるかもって振りをしてみたけど、冷静に考えたら名○運輸なら、ほぼわんこを飼うなんて無理な話だよね‥
この子を○田さんはどうするつもりなのかな?
一応大学が始まるまでは、僕の散歩友達ってことで引き取れるけど、その後はちょと無理だと思うのよ‥」
って、大学始まるまで預かって貰えるんだっていう言葉に、数秒、頭の中でスキップをしてみたが、藪さんの言う通り、藪さんが大学始まったら、この子は行き場所が無くなってしまう‥という現実がある事に、やはり恐怖してみた‥
「はい、藪さんの仰る通り、私は寮住まいなんで、わんこを引き取るのは難しいんですが、寮を出て引き取るとか、里親を探すとか、藪さんが大学が始まるまで時間があるんで、それまでうまい方法を探ってみようと思いますよ‥
はっきり言って自信はないですが‥」
と、少し悲しげに言葉を立ち上げ、重ねて、
「すみません、あとお金の件ですが、私の給料の手取りが生活ぎりぎりなもんで、実は貯金がほぼ無いんです‥
そんな中で、藪さんにはすごい手術をして頂いて申し訳ないのですが、すぐにお支払い出来ないんで、これから少しづつ返していくんで、一括払いはご容赦願えませんか?」
と少し涙混じりに懇願した。
少し間があった後、藪さんは急に笑いだして、
「お金なんて正直どうでもえぇんよ♪
はっきり言って、あんたより稼ぎはいいもんでね(笑)
一応知り合い価格とは言ったけど、正直暇つぶしが出来ればよかったんよ‥
それにキミみたいなけったいな、動物を無我夢中で救おうとしてる今どき珍しい僕好みの奴からはお金は取れないよ♪
それなら出世払い‥は厳しいかもだから、今度余裕が出来たら、一緒にお酒でも呑んでくれたらそれでいいよ♪」
と、それこそ涙腺を刺激する言葉を、藪さんは柔らかい声で、何か励ましを込めているであろう声で、私に語り掛けてくれた。
少し涙ぐみながら、というか涙腺崩壊状態になりながら、
「ありがとうございます‥ありがとうございます‥ありがとうございます‥ありがとう‥」
と、[ありがとう]それしか言えなくて、他に言葉が出なくて、眼の前が霞んで、蹲ってしまった‥
藪さんは私の今の姿を想像出来たのか、
「ではがんばってね‥少し落ち着いたら、電話掛けてよ‥待ってるからさ‥」
と、優しい香りが見える様な声を掛けたあと、そっと電話の通話ボタンを切断した。
ツーツーっと電話の音を耳にしながら、先程の優しい気持ちの余韻を感じながら、少し頭の中がすっきりしたことを自覚しながら、私は集荷先に向かう為、少し軽くなったトラックに乗り込んだ。
通常のおそらく三倍速で午前便を捌き、それでも荷物は留守残荷物も含めて、トラックのコンテナ内に3分の一の荷物が残ったまま、午後便配達の荷物も拾いに、13時手前にターミナルへ向かった。
もちろん昼飯なんか何時も通り取らないままに‥
ターミナルにそれまたドリフトばりに、トラックを横滑りさせながらホーム脇に横付けすると、午前の路線便の荷捌きは終了していたのだか、自分の配達荷物が何時もよりほぼ二倍になって積み上がっていた‥
そこに、ニヤニヤしながら配車の青木という、浅黒くて細見の外見だが、眼は何時もギラギラ、且つ何時ものヤニ臭い何とも言えない異臭を放ちながら、配車室からトコトコ私に近づいてきて、
嫌味ったらしく
「やぁ、キミは午後の路線便捌きサボったからさ、他の配達で溢れた荷物を、キミに進呈することにしたんだ、無理とは言わせんよ、それくらいで済ますんだから、俺に感謝しろよ」ニャニャっ!
てな感じで、嫌がらせモード全開で、私に話掛けると、伝票の束を私に投げつけ、手をヒラヒラと見せつけた後、青木は配車室に戻っていった。
この数日前、全力で別のドライバーからボコボコにされたのも頷けるな‥私もあと少しで、ネコ(荷捌きで使用する、車輪付きのハンドキャリー、よくお婆ちゃんが引っ張ってるカーゴの鉄製、大きい版のこと)を青木の顔目掛けて投げつけるとこだった‥危ねえ‥殺っちまうとこだった‥
暫し呆然とはしたけど、明日まで持ち越し、少し配達のルートを引き直せば何とかなるかも‥という算段を頭の中で整えると、ホームに降り立ち、時間指定も考慮しながらひたすらパズルを組み立てるように荷物を下から上までみっちりと、頭の中でどう降ろしていくかをシミュレーションをしながら、荷物を積み込んでいく。
暫くすると、扉が閉まらないじゃね?ってトラックの後ろの観音開きの扉を締めがけたとき、憂さ晴らしよろしく、扉を閉じる勢いと合わせて蹴りつけ、荷物が少しへしゃげたが、そんなの構わず無理やり荷物をねじ込んだ。それでも少し残ったんで、助手席に十数箱の荷物を放り込んで出発だ‥
"これ過積載で捕まるんじゃね?しかも、私の配達区域からかなり外れた場所もあるぞ?青木の奴、いつか闇討ちしてやろうか‥いや必ず殺さない程度に報復してやる‥"
と、ほぼ決意?に近いつぶやきをしながら、トラックの運転席に、まだ冬の寒さが染みるにも関わらず、汗だらけな私は、身体を滑りこませた。
幸いな事に午後の配達は、少し遅れたお陰で留守宅が少なく、順調に配達をこなしていったが、配達先で手渡しをする度に、私の汗だらけな姿を見る荷受人の顔が、ゴミを見るような表情で、手渡しした荷物をバイキンでも扱う様に、指先で掴んでいることが、ほんと心の柔らかいとこを刺激する。
まぁ、そんなことしょっちゅうなんで、気にしないも~ん♪
と、心のキズを躱しながら、午後の配達は午後五時の段階で、コンテナ内の5分の一位に減らすことに成功した。
まぁ、区域外の荷物は後で、こっそり、担当の奴の荷物に紛れ込ましてやることが前提だがな‥
まぁ、残りは明日の午前に奮起しようと心に決め、集荷先の定時連絡が、配車の青木から流れて来たので、指定された集荷先に向かった。
その途中、会社支給の携帯(スマフォじゃないよ、この時代はね‥所謂ガラケー)に、藪さんから連絡が入った。
二回ほどプルプル、サイレントモードを震わせて、電話を取ると、
「この携帯番号でいいのかな?
○田さんの携帯に掛けてるつもりなんだけど、合ってるかな?」
と藪さんが、少しトーンを下げた声で話てきた。
「はい、合ってますよ♪でもいま仕事中なんで、あんましゃべれないんですけど、あの子は無事ですか?」
と、ちょと焦り気味に答えてしまった‥
「いや仕事中にごめんね♪
ちょっとかなり難しい手術だったんで、随分時間は掛かったんだけど、何とか命は救えたよ~。
でも、やっぱり折れた肋骨が少し内蔵に届いててね‥暫くはほんと入院が必要になると思う‥」
って、さらっとトンデモない事を藪さんは仰られた‥
それより、今回の手術、ずっと掛かりつけだったと思うけど、藪医者‥って失礼‥藪さんの病院には他に患者は居ないのだろうか‥
少し他人事ながら心配になったので、
「すみません、なんか今日ずっと貼り付いて頂いたお陰で、あの子の命は救えたと思うんですけど、他の患者さんに迷惑掛けませんでしたかね‥」
と、かなりストレートに疑問をぶつけてしまった。
すると、
「いやぁ、日頃は○本大学の獣医学部で教鞭をとっとるんで、ここの病院は知り合いから診察とか手術依頼がこない限り、開院しないんだよ♪
たまたま、昨日から大学がおやすみに入ったんで、暇を持て余すのもなんだから、昨日から一時的に開院してるんだ♪」
っていう、トンデモ発言が飛び出した。
【♪】はすっごく気になるが‥それより初老おまわりさんのサトさんの人脈、ハンパね~っす‥しかもおそらく、昨日から藪さんが暇を持て余してることを察しての紹介だったんすね‥マジ卍‥
そんな私の驚きを、電話の先では気づきはしないんだろうけど、少し心配そうな声で、藪さんは問いてきた。
「この子のことなんだけど、○田さんはおそらく寮住まいだよね‥朝はカマ掛けて一緒に住んでるかもって振りをしてみたけど、冷静に考えたら名○運輸なら、ほぼわんこを飼うなんて無理な話だよね‥
この子を○田さんはどうするつもりなのかな?
一応大学が始まるまでは、僕の散歩友達ってことで引き取れるけど、その後はちょと無理だと思うのよ‥」
って、大学始まるまで預かって貰えるんだっていう言葉に、数秒、頭の中でスキップをしてみたが、藪さんの言う通り、藪さんが大学始まったら、この子は行き場所が無くなってしまう‥という現実がある事に、やはり恐怖してみた‥
「はい、藪さんの仰る通り、私は寮住まいなんで、わんこを引き取るのは難しいんですが、寮を出て引き取るとか、里親を探すとか、藪さんが大学が始まるまで時間があるんで、それまでうまい方法を探ってみようと思いますよ‥
はっきり言って自信はないですが‥」
と、少し悲しげに言葉を立ち上げ、重ねて、
「すみません、あとお金の件ですが、私の給料の手取りが生活ぎりぎりなもんで、実は貯金がほぼ無いんです‥
そんな中で、藪さんにはすごい手術をして頂いて申し訳ないのですが、すぐにお支払い出来ないんで、これから少しづつ返していくんで、一括払いはご容赦願えませんか?」
と少し涙混じりに懇願した。
少し間があった後、藪さんは急に笑いだして、
「お金なんて正直どうでもえぇんよ♪
はっきり言って、あんたより稼ぎはいいもんでね(笑)
一応知り合い価格とは言ったけど、正直暇つぶしが出来ればよかったんよ‥
それにキミみたいなけったいな、動物を無我夢中で救おうとしてる今どき珍しい僕好みの奴からはお金は取れないよ♪
それなら出世払い‥は厳しいかもだから、今度余裕が出来たら、一緒にお酒でも呑んでくれたらそれでいいよ♪」
と、それこそ涙腺を刺激する言葉を、藪さんは柔らかい声で、何か励ましを込めているであろう声で、私に語り掛けてくれた。
少し涙ぐみながら、というか涙腺崩壊状態になりながら、
「ありがとうございます‥ありがとうございます‥ありがとうございます‥ありがとう‥」
と、[ありがとう]それしか言えなくて、他に言葉が出なくて、眼の前が霞んで、蹲ってしまった‥
藪さんは私の今の姿を想像出来たのか、
「ではがんばってね‥少し落ち着いたら、電話掛けてよ‥待ってるからさ‥」
と、優しい香りが見える様な声を掛けたあと、そっと電話の通話ボタンを切断した。
ツーツーっと電話の音を耳にしながら、先程の優しい気持ちの余韻を感じながら、少し頭の中がすっきりしたことを自覚しながら、私は集荷先に向かう為、少し軽くなったトラックに乗り込んだ。
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