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在学編
第四十五話 師弟対決
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教室に入ると、早速龍二と綾香が俺の所に来て冬馬のことについて話してきた。2人も立っている冬馬に会ったようだ。あいつはおそらく東京に帰るだろう。
次、会う時もまた笑って……でも、今日ぐらいは許してくれよ冬馬。
「あれ? 焔は着替えないのか?」
着替えをしながら龍二が焔に聞く。
「ああ、朝から忙しいからな。もうグラウンドに行かなきゃならないし」
「お! そうか! 俺も休憩貰ったらつまみ片手に見に行くからな!!」
「つまみってあんたねー……ま、退屈させないよう努力するわ」
その後、焔はジャージを着てグラウンドに向かった。グラウンドにはすでに会長と副会長がいた。2人はライン引きをやっていた。
「えらく早いですね。この白線2人で引いたんですか?」
焔が会長たちのほうに歩いていくと、会長は粉のついた手で鼻の下をこすり、ニッシッシと笑った。
「私たちのできることなんてこれぐらいだからな」
「会長……」
「そうですよ!!」
「副会長……」
感動している焔の前に会長は手を伸ばす。続いて副会長も手を伸ばし会長の手の上に重ねる。2人はキラキラした眼差しで焔のことを凝視する。その視線に耐えられなかった焔は半ば強制的に手を重ねるが、焔もニヤニヤしていた。
焔が手を重ねるのを確認すると、広いグラウンドに響くぐらいの大きな声を出した。
「3人で頑張るぞー!!」
「オー!!」
―――「これで鬼ごっこを終了いたします。結果は生徒会チームの勝利です。これで生徒会チームは4勝全勝です。1時からはドッジボールとなりますので、それまでしばらく休憩となります。お集りの皆様、引き続き文化祭をお楽しみください」
会場にはレーンを囲むように人が溢れかえっていた。鬼ごっこは大成功に終わったが……レーンの内側では会長と副会長は死人のように倒れ込み、焔も肩で息をしていた。
俺の今の気持ちを端的に言うと……めっちゃきつい!! 何!? 3人で頑張ろーって掛け声までして会長と副会長は小っちゃい子しか捕まえてなかったし。それであの疲れようだし。
俺も体力には自信があったが、こうも運動部のやつらばかりだと本当に疲れる。正直最後は楽しませることよりも捕まえることに重きを置いてしまったが……盛り上がったんだし良しとしよう。
で、一番めんどくさかったやつは……やっぱこいつだな。
そう思い、焔はレーンの真ん中で倒れている1人の男に目を向けた。
蓮……こいつが最後にして一番捕まえるのに手間取ったな。
焔は仰向けに倒れている蓮の元に歩いていく。蓮は自分の顔に影がかかったのに気づき、目を開く。そこには見下すように焔が蓮の顔を覗いていた。
「やあやあ蓮さん。まさかあんたがこんな陳腐な遊びに参加してくれてるなんてな。驚いたぜ」
焔はニヤニヤしながら嫌味ったらしく蓮に話しかける。すると、蓮は悔しそうな表情を浮かべる。
「うるせーな。そんなもん俺の勝手だろ(クソ!! 結局こいつにはまったく手も足も出なかった。あの日から……こいつに負けた時からちゃんと練習に参加した。努力もした。休みの日も。ちゃんと継続した。今日までずっと……なのに全然だめだった。下手なプライドも見栄も捨ててカッコ悪く、惨めったらしい姿で逃げ回ったのに……クソ!!)」
拳を震わせながら歯を食いしばっている蓮に焔は気付くと、少し頬が緩んだ。
「まあ、前よか相当うざかったぜ。今日の蓮は」
その言葉を聞き、一瞬蓮の体からは緊張が解けたが、すぐにまたふて腐れる。
「ハッ……どうだか。結局は万全の状態の俺よりも走り疲れたお前のほうが勝ってんだからな。俺のやった努力なんて大した意味もなかったんだよ」
「そうか。だけど、皆はそんなこと思ってないみたいだぜ」
「みんな?」
すると、今まで聞こえなかった声が、歓声が蓮の耳に大音量で流れ込む。
「良かったぞ蓮!!」
「見直したぜ!!」
「案外根性ある奴なんだな蓮は」
「カッコよかったぜ!!」
「焔からあんなに逃げれるなんてスゲーじゃん!!」
蓮は上体を起こし、グラウンドに座りながらただただ自身に降り注がれる歓声を聞いていた。
「どうだ? お前の努力……俺は無駄じゃなかったと思うけど」
「……るせえよ」
「……あっそ」
その場を後にする焔をしり目に蓮は再び倒れ込む。
「ハアー……疲れた」
そう言って、蓮は流れる雲ただただ見ていた。その表情は今の空模様と同じく晴れ渡っていた。
―――「よ! お疲れさん焔。中々おもしろかったぜ」
体育館の建物の日陰にいる龍二の元へ焔は歩いていき、地べたへ座り込む。
「そうかいそうかい。こっちは大変だったぜ」
「ハハハハ!! そりゃ見てたらわかるぜ。ほぼ焔の独壇場だったからな」
「3人で頑張ろーって意気込んでみたは良いものの……すぐばてんだもんな。あの2人は」
「まあまあいいじゃねえか。お前1人でもほとんど全員捕まえれたんだからさ。ほいお茶」
「サンキュ……プハー!! うまい」
「そのうち綾香と絹子ちゃんが食い物持ってきてくれるから、それまで休んどけ」
「お前のその手にあるものは頑張った俺のご褒美ではないんだな」
「これは俺のだからな!! 普段金使わないんだから今日ぐらいは良いだろ。ハハハハ!!」
そう言って、龍二は手に持っている食い物をおいしそうに食べだした。焔はもう一度お茶を口にした。
その後、綾香と絹子が両手いっぱいに食料を買い込んで焔たちの元にやってきた。
2人とも鬼ごっこは見れなかったが、昼からは見ていくみたいだ。というか、この企画のせいで客足がめっきり途絶えたらしい。ということは、午後からは見物人も増えるってことか……こりゃ頑張らないとな。
―――焔は腹ごしらえを終え、最後にお茶を一気に流し込む。
「フ―……そんじゃ行ってくるわ」
そう言うと、焔はゆっくりと立ち上がりグラウンドの真ん中の方に歩いて行った。
「頑張れよ焔!!」
龍二は大きく手を振り焔を見送ると、再び買い出しに行った。綾香と絹子も手を振り焔を見送る。
レーンの中に行くと、会長と副会長がまた白線でドッジボールのコートを引いてくれていた。コートの真ん中にいた会長と副会長は焔に一言だけ告げた。
「焔……頑張れよ!!」
「焔さん……頑張ってください!!」
そう言って、2人は焔にグーサインを向けた。
「え? 3人で頑張るんじゃ……」
「私たち次からアナウンスに回ることにしたから」
「やっぱり僕たちはあっちの方がしっくりきますからね」
「うん!! もう体力の限界」
「僕も!!」
「あんたらねー……ハー、もういいですよ」
ま、いてもいなくても一緒か。
―――「レディースアーントジェントルメン!! さーいよいよドッジボール1回戦スタートとなります!! 焔1人vs挑戦者50人……焔はこの圧倒的人数差の中どのような戦いを繰り広げてくれるのだろうか!? 見ものです」
何が見ものだよ。本当はあんたもこっち側だったろうに。
「ルールは簡単です。ボールは1つのみ。顔以外ならどこに当ててもオッケーです。当たった人は速やかに外野に。当たったら実質もう戻ってくることはできないので悪しからず。制限時間は30分!! 時間以内に焔さんにボールを当てることができれば挑戦者チームの勝ち。逆に、時間までに焔さんに逃げ切られたり、全員倒されてしまえばその時点で挑戦者の負けとなります。ちなみに焔さんは1人なので、コートは挑戦者チームのコートの半分です」
なるほどね。やけに狭いと思ったらそういうことね……上等。
「それでは今から第1試合始めたいと思います!! 焔ボールから……ヨーイ……スタート!!」
会長の声がグラウンドに響くと同時に焔から開戦の狼煙が放たれる。
「オー!!」
―――「いやー会長……焔さんヤバいですね」
「ヤバいな!! あいつほとんどの試合10分で終わらせてるぞ!! 挑戦者も色々策を立ててやってるんだが……焔には一切通じなかったな」
「避けるんじゃなくて全てのボール取りに行ってるんですもんね!! 零距離からとるのなんて本当すごかったですよね!!」
「しかも1試合に何度もやって見せるんだからなー……とまたしても見せたぞ!! 最終試合でも飛ばすな!! いいぞ焔ー!!」
会長と副会長の実況もあり、グラウンドの興奮は最高潮を見せる。焔は自分に向かってる来る全てのボールをキャッチし、ほとんど一撃で相手を沈めていた。そして、最終試合も見る見るうちに相手の数も少なくなり、残り1人となった。
グラウンドからは『あと1人!! あと1人!!』コールが響いていた。
ボールは焔の手元にあった。
あと1人だ。相手は誰だ? 高校生や中学生でないのは確かだ。フードを被っていてわからないし、俺と同じようにコートの半分の所で待っている。なるほど、腕に自信ありってわけか。だったら……
焔は助走をつけ、真ん中の線ギリギリのところで左足を強く踏み込み、右腕を振り上げる。
避ける動作はない!! このまま胸元へ強めのボールを……!! それで締めだ!!
焔の手元から矢のようなボールが放たれる。
よし!! フィニッシュだ!!
パン!!
焔が放ったボールはフードの男の伸ばした片手に収まっていた。
流石に焔も観客も一瞬思考が停止した……が、すぐに沸き立つ。
「すげー!!」
「何あの人!!」
「あのボール片手で止めるってどういうこと!?」
「マジ何者だよあの人!?」
焔も観客も戸惑っている中、フードの男はその場から強烈なボールを焔に向かって放つ。
焔は一瞬ビックリするが、すぐに対応する。そして、確信する。
「流石ですね……シンさん」
焔がそう言うと、フードの男はニヤッと笑い、フードを取る。
「バレちゃったか」
「そりゃバレますよ。あんな凄いことできる人、俺はあなたしか知りませんからね」
「フッ……さあ、始めようか。最終対決」
「……はい!!」
グラウンドにいる全ての人たちはフードを取った姿に誰だ? と疑問形を頭にのせていたが、龍二と綾香だけは違っていた。
「龍二、あの人って焔の師匠さんだよね。昨日もいたけど……やっぱりすごい人みたいだね」
「師弟対決か。さてさて、どれほどのものか……お手並み拝見だな」
綾香と龍二が会話している中、その横で絹子は首をかしげていた。
次、会う時もまた笑って……でも、今日ぐらいは許してくれよ冬馬。
「あれ? 焔は着替えないのか?」
着替えをしながら龍二が焔に聞く。
「ああ、朝から忙しいからな。もうグラウンドに行かなきゃならないし」
「お! そうか! 俺も休憩貰ったらつまみ片手に見に行くからな!!」
「つまみってあんたねー……ま、退屈させないよう努力するわ」
その後、焔はジャージを着てグラウンドに向かった。グラウンドにはすでに会長と副会長がいた。2人はライン引きをやっていた。
「えらく早いですね。この白線2人で引いたんですか?」
焔が会長たちのほうに歩いていくと、会長は粉のついた手で鼻の下をこすり、ニッシッシと笑った。
「私たちのできることなんてこれぐらいだからな」
「会長……」
「そうですよ!!」
「副会長……」
感動している焔の前に会長は手を伸ばす。続いて副会長も手を伸ばし会長の手の上に重ねる。2人はキラキラした眼差しで焔のことを凝視する。その視線に耐えられなかった焔は半ば強制的に手を重ねるが、焔もニヤニヤしていた。
焔が手を重ねるのを確認すると、広いグラウンドに響くぐらいの大きな声を出した。
「3人で頑張るぞー!!」
「オー!!」
―――「これで鬼ごっこを終了いたします。結果は生徒会チームの勝利です。これで生徒会チームは4勝全勝です。1時からはドッジボールとなりますので、それまでしばらく休憩となります。お集りの皆様、引き続き文化祭をお楽しみください」
会場にはレーンを囲むように人が溢れかえっていた。鬼ごっこは大成功に終わったが……レーンの内側では会長と副会長は死人のように倒れ込み、焔も肩で息をしていた。
俺の今の気持ちを端的に言うと……めっちゃきつい!! 何!? 3人で頑張ろーって掛け声までして会長と副会長は小っちゃい子しか捕まえてなかったし。それであの疲れようだし。
俺も体力には自信があったが、こうも運動部のやつらばかりだと本当に疲れる。正直最後は楽しませることよりも捕まえることに重きを置いてしまったが……盛り上がったんだし良しとしよう。
で、一番めんどくさかったやつは……やっぱこいつだな。
そう思い、焔はレーンの真ん中で倒れている1人の男に目を向けた。
蓮……こいつが最後にして一番捕まえるのに手間取ったな。
焔は仰向けに倒れている蓮の元に歩いていく。蓮は自分の顔に影がかかったのに気づき、目を開く。そこには見下すように焔が蓮の顔を覗いていた。
「やあやあ蓮さん。まさかあんたがこんな陳腐な遊びに参加してくれてるなんてな。驚いたぜ」
焔はニヤニヤしながら嫌味ったらしく蓮に話しかける。すると、蓮は悔しそうな表情を浮かべる。
「うるせーな。そんなもん俺の勝手だろ(クソ!! 結局こいつにはまったく手も足も出なかった。あの日から……こいつに負けた時からちゃんと練習に参加した。努力もした。休みの日も。ちゃんと継続した。今日までずっと……なのに全然だめだった。下手なプライドも見栄も捨ててカッコ悪く、惨めったらしい姿で逃げ回ったのに……クソ!!)」
拳を震わせながら歯を食いしばっている蓮に焔は気付くと、少し頬が緩んだ。
「まあ、前よか相当うざかったぜ。今日の蓮は」
その言葉を聞き、一瞬蓮の体からは緊張が解けたが、すぐにまたふて腐れる。
「ハッ……どうだか。結局は万全の状態の俺よりも走り疲れたお前のほうが勝ってんだからな。俺のやった努力なんて大した意味もなかったんだよ」
「そうか。だけど、皆はそんなこと思ってないみたいだぜ」
「みんな?」
すると、今まで聞こえなかった声が、歓声が蓮の耳に大音量で流れ込む。
「良かったぞ蓮!!」
「見直したぜ!!」
「案外根性ある奴なんだな蓮は」
「カッコよかったぜ!!」
「焔からあんなに逃げれるなんてスゲーじゃん!!」
蓮は上体を起こし、グラウンドに座りながらただただ自身に降り注がれる歓声を聞いていた。
「どうだ? お前の努力……俺は無駄じゃなかったと思うけど」
「……るせえよ」
「……あっそ」
その場を後にする焔をしり目に蓮は再び倒れ込む。
「ハアー……疲れた」
そう言って、蓮は流れる雲ただただ見ていた。その表情は今の空模様と同じく晴れ渡っていた。
―――「よ! お疲れさん焔。中々おもしろかったぜ」
体育館の建物の日陰にいる龍二の元へ焔は歩いていき、地べたへ座り込む。
「そうかいそうかい。こっちは大変だったぜ」
「ハハハハ!! そりゃ見てたらわかるぜ。ほぼ焔の独壇場だったからな」
「3人で頑張ろーって意気込んでみたは良いものの……すぐばてんだもんな。あの2人は」
「まあまあいいじゃねえか。お前1人でもほとんど全員捕まえれたんだからさ。ほいお茶」
「サンキュ……プハー!! うまい」
「そのうち綾香と絹子ちゃんが食い物持ってきてくれるから、それまで休んどけ」
「お前のその手にあるものは頑張った俺のご褒美ではないんだな」
「これは俺のだからな!! 普段金使わないんだから今日ぐらいは良いだろ。ハハハハ!!」
そう言って、龍二は手に持っている食い物をおいしそうに食べだした。焔はもう一度お茶を口にした。
その後、綾香と絹子が両手いっぱいに食料を買い込んで焔たちの元にやってきた。
2人とも鬼ごっこは見れなかったが、昼からは見ていくみたいだ。というか、この企画のせいで客足がめっきり途絶えたらしい。ということは、午後からは見物人も増えるってことか……こりゃ頑張らないとな。
―――焔は腹ごしらえを終え、最後にお茶を一気に流し込む。
「フ―……そんじゃ行ってくるわ」
そう言うと、焔はゆっくりと立ち上がりグラウンドの真ん中の方に歩いて行った。
「頑張れよ焔!!」
龍二は大きく手を振り焔を見送ると、再び買い出しに行った。綾香と絹子も手を振り焔を見送る。
レーンの中に行くと、会長と副会長がまた白線でドッジボールのコートを引いてくれていた。コートの真ん中にいた会長と副会長は焔に一言だけ告げた。
「焔……頑張れよ!!」
「焔さん……頑張ってください!!」
そう言って、2人は焔にグーサインを向けた。
「え? 3人で頑張るんじゃ……」
「私たち次からアナウンスに回ることにしたから」
「やっぱり僕たちはあっちの方がしっくりきますからね」
「うん!! もう体力の限界」
「僕も!!」
「あんたらねー……ハー、もういいですよ」
ま、いてもいなくても一緒か。
―――「レディースアーントジェントルメン!! さーいよいよドッジボール1回戦スタートとなります!! 焔1人vs挑戦者50人……焔はこの圧倒的人数差の中どのような戦いを繰り広げてくれるのだろうか!? 見ものです」
何が見ものだよ。本当はあんたもこっち側だったろうに。
「ルールは簡単です。ボールは1つのみ。顔以外ならどこに当ててもオッケーです。当たった人は速やかに外野に。当たったら実質もう戻ってくることはできないので悪しからず。制限時間は30分!! 時間以内に焔さんにボールを当てることができれば挑戦者チームの勝ち。逆に、時間までに焔さんに逃げ切られたり、全員倒されてしまえばその時点で挑戦者の負けとなります。ちなみに焔さんは1人なので、コートは挑戦者チームのコートの半分です」
なるほどね。やけに狭いと思ったらそういうことね……上等。
「それでは今から第1試合始めたいと思います!! 焔ボールから……ヨーイ……スタート!!」
会長の声がグラウンドに響くと同時に焔から開戦の狼煙が放たれる。
「オー!!」
―――「いやー会長……焔さんヤバいですね」
「ヤバいな!! あいつほとんどの試合10分で終わらせてるぞ!! 挑戦者も色々策を立ててやってるんだが……焔には一切通じなかったな」
「避けるんじゃなくて全てのボール取りに行ってるんですもんね!! 零距離からとるのなんて本当すごかったですよね!!」
「しかも1試合に何度もやって見せるんだからなー……とまたしても見せたぞ!! 最終試合でも飛ばすな!! いいぞ焔ー!!」
会長と副会長の実況もあり、グラウンドの興奮は最高潮を見せる。焔は自分に向かってる来る全てのボールをキャッチし、ほとんど一撃で相手を沈めていた。そして、最終試合も見る見るうちに相手の数も少なくなり、残り1人となった。
グラウンドからは『あと1人!! あと1人!!』コールが響いていた。
ボールは焔の手元にあった。
あと1人だ。相手は誰だ? 高校生や中学生でないのは確かだ。フードを被っていてわからないし、俺と同じようにコートの半分の所で待っている。なるほど、腕に自信ありってわけか。だったら……
焔は助走をつけ、真ん中の線ギリギリのところで左足を強く踏み込み、右腕を振り上げる。
避ける動作はない!! このまま胸元へ強めのボールを……!! それで締めだ!!
焔の手元から矢のようなボールが放たれる。
よし!! フィニッシュだ!!
パン!!
焔が放ったボールはフードの男の伸ばした片手に収まっていた。
流石に焔も観客も一瞬思考が停止した……が、すぐに沸き立つ。
「すげー!!」
「何あの人!!」
「あのボール片手で止めるってどういうこと!?」
「マジ何者だよあの人!?」
焔も観客も戸惑っている中、フードの男はその場から強烈なボールを焔に向かって放つ。
焔は一瞬ビックリするが、すぐに対応する。そして、確信する。
「流石ですね……シンさん」
焔がそう言うと、フードの男はニヤッと笑い、フードを取る。
「バレちゃったか」
「そりゃバレますよ。あんな凄いことできる人、俺はあなたしか知りませんからね」
「フッ……さあ、始めようか。最終対決」
「……はい!!」
グラウンドにいる全ての人たちはフードを取った姿に誰だ? と疑問形を頭にのせていたが、龍二と綾香だけは違っていた。
「龍二、あの人って焔の師匠さんだよね。昨日もいたけど……やっぱりすごい人みたいだね」
「師弟対決か。さてさて、どれほどのものか……お手並み拝見だな」
綾香と龍二が会話している中、その横で絹子は首をかしげていた。
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