55 / 116
在学編
第五十四話 たすけて
しおりを挟む
12月に入り、これまたいっそうと冷気が肌に刺さり始めてきた。そろそろ防寒着が必要になってくる時期となった。ちなみに綾香と絹子はタイツを着用し始めた。流石の会長も普段ほどの余裕はなくなり、勉強に本腰を入れ始めた。副会長もしっかりとバックアップしているようだ。と言っても、ほぼ召使状態だけれども。龍二も着実と模試の成績が上がってきているようだ。
肝心の俺はと言うと、着実とレベルが上がっているのは分かるが、それと同時にシンさんのレベルも上がり、更には自動負荷装置の重さも変わったりで、あまり実感はできていない。
唯一実感できるのは弾避けぐらいだ。もう完全に弾を避けることはできるようになったから、次は弾を剣で弾く特訓となった。最終的には切るところまで行くらしいが、いまだに半信半疑だ。剣の刃の部分ではなく、側面で銃弾を防ぐという特訓だが、すでにけっこう様になってきている。
次からは銃2丁にしようかって冗談っぽくシンさんに言われたが……あの笑顔はガチだったな。はあ、本当にどこまで俺を痛めつければ気が済むんだよ、あの人は。
―――帰りのホームルームが終わり、それぞれ帰りの身支度を整える。
焔が早速教室から出ようとした時、
「待てよ焔!! 途中まで一緒に帰ろうぜ」
龍二がリュックのチャックを閉めながら、焔の方へドタドタと走り寄る。焔は返事はしなかったが、歩くスピードを落とす。追いついた龍二は焔の隣を歩き始める。
自分たちの教室を通り過ぎようとした瞬間、勢いよく教室の後ろの方のドアが開き、綾香と絹子が慌てた様子で出てきた。
「急ぐわよ絹ちゃん!! 早くしないとあいつ帰っちゃうんだから」
後ろの絹子を見ながら前に突っ込んだため、歩いている人にぶつかってしまった。
「あ、ごめんなさい」
とっさに謝り、顔を見ると、
「ほ、焔!! まだこんなところにいたの?」
「ああ……で、だいぶ慌ててたけど、何か急ぎの用事でもあったのか?」
「え……っと、いやー……」
綾香は顔を赤らめ、目を泳がせながら必死に別の言い訳を考えるが、焔が怪訝そうな顔で綾香の顔を見つめるもんだから、焦って全然良い言い訳を思いつかなず、うなだれていると、
「今日、綾香が頼んでた小説が本屋に届くから。それで急いでた」
絹子の絶妙なパスにあやかり、綾香も何とか勢いで焔のことを納得させた。そして、素知らぬ顔で焔の隣を綾香と絹子が歩き始め、急がなくていいのか? と聞こうと焔は思ったが、別に良いかと笑い、そのまま歩き出す。
「綾香、お前の頼んだ小説ってどんなのだ?」
「私の大好きなミステリー作家の新作、陽炎に潜む少年ってやつなんだけど」
「へー、何か怖そうだな」
「そう!! これはね、ミステリーにホラーを融合させたとても面白い作品でね!! しかもどっちとも完成度がすごく高いって好評なのよ!! 一見何らかの怪奇現象に見えるんだけど、そこにはちゃんとした根拠とか解釈の仕方があって、しかもストーリーがこれまた陰鬱としててね―――」
綾香のまくしたてるような小説トークが始まり、焔をはじめ3人とも苦笑いを浮かべながら、相槌を打つ。階段に差し掛かろうとした時、目の前にちょうど良く銀次が現れ、しめしめと焔が声をかける。
「よお銀ちゃん。もう帰るのか?」
「おう! 焔か……」
そう笑顔で答える銀次だったが、焔が隣に綾香と絹子の2人の女子を連れているのを見ると、
「両手に花か……羨ましい限りだなー、焔」
からかうように銀次は焔に向かって言う。案の定、綾香と絹子は少し恥ずかしそうにしていたが、
「ああ、1つ雑草が混じってるけどな」
綾香と絹子の反応を微笑ましく見ていた龍二は突然火の粉が自分の方に飛んできて、動揺する。そして、その反応を見て焔はニヤニヤと笑った。
銀次はと言うと、てっきり否定して殴り掛かってくると思っていて、少々唖然としていたのと同時に、焔は正直な奴だったと再認識していた。
だが、綾香と絹子は更に顔を赤らめていた。
それから銀次も本屋によって今日出た単行本を買おうとしていることを知り、綾香と絹子2人と一緒に行くことになった。そして、『今度は俺が両手に花だ!!』と喜んでいた。もちろん焔から腹パンを食らった。
いつもの日常とは打って変わり、それぞれが目指すものを見定め、それに向かって忙しくも、充実した日々を過ごしていた。この変化に焔は少ししみじみと耽ることががる。特にこういう何でもないようなくだらなくも大切な時間に。
分かれ道がやってきて、それぞれ別れを告げると各々の道に進む。自転車をこぎながら、もう少し駄弁っていたかったなと思うも、首を振り、自分を奮い立たせるように両頬を叩く。
さあ、レベルアップの時間だ!!
―――田んぼが見渡せる夜道を1人の少女が歩いていた。その少女の顔には傷があった。その少女、咲の通う学校は今住んでいるところから4駅ほど離れているため、帰りは遅くなる。
そんな長い時間の間、咲は何をしているかと言うと……
電車の中では途中まで友達とおしゃべり、後はスマホをいじる。そして、いつもの日課となっている焔へ今日起こったことや面白かったことを報告することだ。焔の反応はいつも素っ気ないものだったが、それでも毎回毎回送っている。
そして、実は焔も楽しんで見ているのだった。
今日も帰り道、暗がりの中をスマホの光が咲の顔を照らしていた。今日は何を話そうか、焔とのトーク画面を見つめながら考えていた。
そんな時、前方に黒のワゴン車が止まっているのが見えた。
(おかしい……こんなところ田んぼと森しかないのに、それに民家はもうちょっと行かないと出てこない。どうして……)
咲は不審に思い、できる限り慎重に、そして悟られないように近づいていく。できるだけ車から距離を取り、通り過ぎようとする。窓にはカーフィルムが貼られており、咲の不信感はますます上がっていった。そして、咲は1つの結論にたどり着いた。
悲しいかな、その結論は実際の出来事となった。
後部座席のドアが勢いよく開き、男が2人出てきた。咲はドアが開いた瞬間に一目散に来た道を猛スピードで戻る……が、1人の男に捕まってしまった。咲は悲鳴を上げながらも冷静だった。
「きゃああああ!!……ってこのクソ野郎!!」
すかさずスマホのライトを男の目に近づける。一瞬怯んだ隙を咲は見逃さず、男の急所に蹴りを入れ、再び逃げ出す。
(どうしよう!! どうあがいても私の足じゃすぐ追いつかれる!! 何か……何かしなきゃ!!)
そんな時ふとスマホの画面に目を落とす。
(……焔!!)
もう1人の男に捕まりながらも何とか片手でスマホを操作し、最後に強く親指でスマホの画面を叩いた。
その後、その場には咲も車もきれいさっぱり消えていた。
―――暗闇の部屋の中で1人の少年がスマホの画面を見ていた。
その画面には一言
『たすけて』
少年の目は静かに燃え出した。
肝心の俺はと言うと、着実とレベルが上がっているのは分かるが、それと同時にシンさんのレベルも上がり、更には自動負荷装置の重さも変わったりで、あまり実感はできていない。
唯一実感できるのは弾避けぐらいだ。もう完全に弾を避けることはできるようになったから、次は弾を剣で弾く特訓となった。最終的には切るところまで行くらしいが、いまだに半信半疑だ。剣の刃の部分ではなく、側面で銃弾を防ぐという特訓だが、すでにけっこう様になってきている。
次からは銃2丁にしようかって冗談っぽくシンさんに言われたが……あの笑顔はガチだったな。はあ、本当にどこまで俺を痛めつければ気が済むんだよ、あの人は。
―――帰りのホームルームが終わり、それぞれ帰りの身支度を整える。
焔が早速教室から出ようとした時、
「待てよ焔!! 途中まで一緒に帰ろうぜ」
龍二がリュックのチャックを閉めながら、焔の方へドタドタと走り寄る。焔は返事はしなかったが、歩くスピードを落とす。追いついた龍二は焔の隣を歩き始める。
自分たちの教室を通り過ぎようとした瞬間、勢いよく教室の後ろの方のドアが開き、綾香と絹子が慌てた様子で出てきた。
「急ぐわよ絹ちゃん!! 早くしないとあいつ帰っちゃうんだから」
後ろの絹子を見ながら前に突っ込んだため、歩いている人にぶつかってしまった。
「あ、ごめんなさい」
とっさに謝り、顔を見ると、
「ほ、焔!! まだこんなところにいたの?」
「ああ……で、だいぶ慌ててたけど、何か急ぎの用事でもあったのか?」
「え……っと、いやー……」
綾香は顔を赤らめ、目を泳がせながら必死に別の言い訳を考えるが、焔が怪訝そうな顔で綾香の顔を見つめるもんだから、焦って全然良い言い訳を思いつかなず、うなだれていると、
「今日、綾香が頼んでた小説が本屋に届くから。それで急いでた」
絹子の絶妙なパスにあやかり、綾香も何とか勢いで焔のことを納得させた。そして、素知らぬ顔で焔の隣を綾香と絹子が歩き始め、急がなくていいのか? と聞こうと焔は思ったが、別に良いかと笑い、そのまま歩き出す。
「綾香、お前の頼んだ小説ってどんなのだ?」
「私の大好きなミステリー作家の新作、陽炎に潜む少年ってやつなんだけど」
「へー、何か怖そうだな」
「そう!! これはね、ミステリーにホラーを融合させたとても面白い作品でね!! しかもどっちとも完成度がすごく高いって好評なのよ!! 一見何らかの怪奇現象に見えるんだけど、そこにはちゃんとした根拠とか解釈の仕方があって、しかもストーリーがこれまた陰鬱としててね―――」
綾香のまくしたてるような小説トークが始まり、焔をはじめ3人とも苦笑いを浮かべながら、相槌を打つ。階段に差し掛かろうとした時、目の前にちょうど良く銀次が現れ、しめしめと焔が声をかける。
「よお銀ちゃん。もう帰るのか?」
「おう! 焔か……」
そう笑顔で答える銀次だったが、焔が隣に綾香と絹子の2人の女子を連れているのを見ると、
「両手に花か……羨ましい限りだなー、焔」
からかうように銀次は焔に向かって言う。案の定、綾香と絹子は少し恥ずかしそうにしていたが、
「ああ、1つ雑草が混じってるけどな」
綾香と絹子の反応を微笑ましく見ていた龍二は突然火の粉が自分の方に飛んできて、動揺する。そして、その反応を見て焔はニヤニヤと笑った。
銀次はと言うと、てっきり否定して殴り掛かってくると思っていて、少々唖然としていたのと同時に、焔は正直な奴だったと再認識していた。
だが、綾香と絹子は更に顔を赤らめていた。
それから銀次も本屋によって今日出た単行本を買おうとしていることを知り、綾香と絹子2人と一緒に行くことになった。そして、『今度は俺が両手に花だ!!』と喜んでいた。もちろん焔から腹パンを食らった。
いつもの日常とは打って変わり、それぞれが目指すものを見定め、それに向かって忙しくも、充実した日々を過ごしていた。この変化に焔は少ししみじみと耽ることががる。特にこういう何でもないようなくだらなくも大切な時間に。
分かれ道がやってきて、それぞれ別れを告げると各々の道に進む。自転車をこぎながら、もう少し駄弁っていたかったなと思うも、首を振り、自分を奮い立たせるように両頬を叩く。
さあ、レベルアップの時間だ!!
―――田んぼが見渡せる夜道を1人の少女が歩いていた。その少女の顔には傷があった。その少女、咲の通う学校は今住んでいるところから4駅ほど離れているため、帰りは遅くなる。
そんな長い時間の間、咲は何をしているかと言うと……
電車の中では途中まで友達とおしゃべり、後はスマホをいじる。そして、いつもの日課となっている焔へ今日起こったことや面白かったことを報告することだ。焔の反応はいつも素っ気ないものだったが、それでも毎回毎回送っている。
そして、実は焔も楽しんで見ているのだった。
今日も帰り道、暗がりの中をスマホの光が咲の顔を照らしていた。今日は何を話そうか、焔とのトーク画面を見つめながら考えていた。
そんな時、前方に黒のワゴン車が止まっているのが見えた。
(おかしい……こんなところ田んぼと森しかないのに、それに民家はもうちょっと行かないと出てこない。どうして……)
咲は不審に思い、できる限り慎重に、そして悟られないように近づいていく。できるだけ車から距離を取り、通り過ぎようとする。窓にはカーフィルムが貼られており、咲の不信感はますます上がっていった。そして、咲は1つの結論にたどり着いた。
悲しいかな、その結論は実際の出来事となった。
後部座席のドアが勢いよく開き、男が2人出てきた。咲はドアが開いた瞬間に一目散に来た道を猛スピードで戻る……が、1人の男に捕まってしまった。咲は悲鳴を上げながらも冷静だった。
「きゃああああ!!……ってこのクソ野郎!!」
すかさずスマホのライトを男の目に近づける。一瞬怯んだ隙を咲は見逃さず、男の急所に蹴りを入れ、再び逃げ出す。
(どうしよう!! どうあがいても私の足じゃすぐ追いつかれる!! 何か……何かしなきゃ!!)
そんな時ふとスマホの画面に目を落とす。
(……焔!!)
もう1人の男に捕まりながらも何とか片手でスマホを操作し、最後に強く親指でスマホの画面を叩いた。
その後、その場には咲も車もきれいさっぱり消えていた。
―――暗闇の部屋の中で1人の少年がスマホの画面を見ていた。
その画面には一言
『たすけて』
少年の目は静かに燃え出した。
0
あなたにおすすめの小説
巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった
ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。
学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。
だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。
暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。
よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!?
……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい!
そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。
赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。
「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」
そう、他人事のように見送った俺だったが……。
直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。
「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」
――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
九尾と契約した日。霊力ゼロの陰陽師見習いが大成するまで。
三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。
……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」
その言葉は、もう何度聞いたか分からない。
霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。
周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。
同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。
――俺だけが、何もできない。
反論したい気持ちはある。
でも、できない事実は変わらない。
そんな俺が、
世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて――
この時は、まだ知る由もなかった。
これは――
妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。
軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います
こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!===
ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。
でも別に最強なんて目指さない。
それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。
フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。
これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。
《カクヨム様で15000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う
なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。
スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、
ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。
弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、
満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。
そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは――
拾ってきた野良の黒猫“クロ”。
だが命の灯が消えかけた夜、
その黒猫は正体を現す。
クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在――
しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。
力を失われ、語ることすら封じられたクロは、
復讐を果たすための契約者を探していた。
クロは瀕死のソラと契約し、
彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。
唯一のスキル《アイテムボックス》。
そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、
弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。
だがその裏で、
クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、
復讐の道を静かに歩み始めていた。
これは――
“最弱”と“最凶”が手を取り合い、
未来をやり直す物語
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
最弱弓術士、全距離支配で最強へ
Y.
ファンタジー
「弓術士? ああ、あの器用貧乏な最弱職のことか」
剣と魔法が全てを決める世界において、弓は「射程は魔法に及ばず、威力は剣に劣る」不遇の武器と蔑まれていた。
若き冒険者リアンは、亡き叔父から譲り受けた一振りの弓「ストーム・ウィスパー」を手に、冒険者の門を叩く。周囲の嘲笑を余所に、彼が秘めていたのは、世界をナノ単位で解析する「化け物じみた集中力」だった。
リアンの放つ一矢は、もはや単なる遠距離攻撃ではない。
風を読み、空間を計算し、敵の急所をミリ単位で射抜く精密射撃。
弓本体に仕込まれたブレードを操り、剣士を圧倒する近接弓術。
そして、魔力の波長を読み取り、呪文そのものを撃ち落とす対魔法技術。
「近距離、中距離、遠距離……俺の射程に逃げ場はない」
孤独な修行の末に辿り着いた「全距離対応型弓術」は、次第に王道パーティやエリート冒険者たちの常識を塗り替えていく。
しかし、その弓には叔父が命を懸けて守り抜いた**「世界の理(ことわり)」を揺るがす秘密**が隠されていた――。
最弱と笑われた少年が、一張の弓で最強へと駆け上がる、至高の異世界アクションファンタジー、開幕!
合成師
盾乃あに
ファンタジー
里見瑠夏32歳は仕事をクビになって、やけ酒を飲んでいた。ビールが切れるとコンビニに買いに行く、帰り道でゴブリンを倒して覚醒に気付くとギルドで登録し、夢の探索者になる。自分の合成師というレアジョブは生産職だろうと初心者ダンジョンに向かう。
そのうち合成師の本領発揮し、うまいこと立ち回ったり、パーティーメンバーなどとともに成長していく物語だ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる