貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈

玖羽 望月

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3.お見合い相手はいったい誰?

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 主任は自分の席まで戻ってくると、立ったまま置かれた皿を持ち上げ、私のところへ持って来た。

「俺は食べない。お前が食え」

 そう言って私の前にそれを置くと、返事を聞きことなく席に戻っていった。そして盛大な溜め息と一緒に座ると、コーヒーを口に運んだ。

「何か……あったんですか?」

 部屋を出て行く前はそれほどでもなかったのに、今は明らかに不機嫌だ。さすがに気になって尋ねると、主任は傾けていたカップを皿に置いた。

「一矢に……もう喋っただろう。凄い剣幕で電話が架かってきたんだが」
「あ、っと。はい。相手を教えてくれなかった文句を言おうと思って……」

 私が小さくなりながらそう答えると、主任はまた息を吐き出した。

「一矢は知らなかったみたいだな。見合いだけだと思った、婚約ってどう言うことだ! だと。事情を説明しろと喧しいから電話を切ったが」

 様子が目に浮かぶようで、「すみません……。そんなすぐに連絡が行くなんて思ってなくて」と、私はより体を小さくさせた。

「この調子じゃ、颯太も実樹もすぐに連絡寄越してきそうだ」

 そう言って主任は傍に置いたスマホに視線を送っていた。

「やっぱり……みんなのことも知ってたんですね。いったいどう言う知り合いなんですか?」

 主任はまたカップを持ち上げて私を見るとそれに答える。

「一矢とは大学の同級生。颯太は後輩。その繋がりで紹介されたのが実樹だ」

 簡潔な説明だけど、よく理解できた。そして、それなりにみんな付き合いが長いことも。

「じゃあ、私のことも入社前から知ってたんですよね」
「あぁ。話だけは昔からよく聞かされていた。嫌って言うほどな」
「ははは……」

 もう乾いた笑いしかでない。あの兄達は、いったい主任に何を吹き込んだのやら。考えただけで顔が引き攣る。

「知らないだろう。あのシスコン3兄弟の凄さを」
「知ってますよ! ちなみに双子の弟達も同じです。みんなちょっと……ううん、かなり変なんですよ」

 そこでようやく主任は笑みを浮かべた。

「確かにな。口を開けば妹が可愛いだからな。今まで色々と聞かされたぞ?」
「もーっ! 個人情報漏洩だよ!」

 私が声を上げると、主任は笑う。

「安心しろ。さすがにスリーサイズまでは聞いてない」
「当たり前です! そんなこと喋ってたら、私、一生口ききませんから!」

 そんな私の様子に、「そりゃ、あいつらにとっちゃ、一大事だな」と、主任は昨日のように肩を揺らして笑っていた。

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