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7.和を以て……いったいどうなる?
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「すみません、澪さん。騒がしくって」
澪さんは、すぐ近くで私たちの様子を眺めてクスクス笑っていた。
「噂の双子の弟たちね?」
「はい。紹介しますね。弟の逸希と理久です。今高校3年生です」
そう言って弟たちを紹介すると、弟たちはポカンと口を開けて澪さんを見ていた。
「はじめまして。枚田澪です。お兄さんたちとは前からの知り合いなの。会えて嬉しいな」
澪さんがニッコリ微笑むと、弟たちは明らかにポ~っと顔を赤らめている。
「すっげえ美人……」
「枚田澪……さんって……。もしかして、オリンピックに出てた?」
いっくんとりっちゃんが代わる代わるそう言うと、澪さんは「あ、知ってくれてたんだ」と嬉しそうに笑った。
「おーい。お前ら~。将来の義姉に恥ずかしい姿見せんなよ~?」
ふう君は、弟たちの呆然とした様子を笑いながら茶化す。
「えっ! 姉? どう言うこと? まさかふう兄の彼女⁈」
驚いて声を上げたいっくんに、ふう君は途端に顔を顰めた。
「お嬢と結婚なんてごめん被りたいんだけど?」
「あら、私だって一矢以上に生意気な男なんて冗談じゃない」
お互い戯けたようにそう言い合っているのを見て、りっちゃんが口を開く。
「じゃあ……。いち兄の?」
「正解! そのうち朝木兄弟の一員になります。よろしくね!」
澪さんが明るく返すと、いっくんが深々と礼をした。
「はいっ! ふつつかものですが、よろしくお願いしますっ!」
部活終わりの挨拶なのかとツッコミたい大きな声に、突っ込んだのはりっちゃんだ。
「逸希。お前が言う台詞じゃない。国語の勉強やり直し!」
そんなやりとりに皆で笑っていると、部屋の奥に置いてあったパーテーションの向こう側からお母さんが顔を覗かせた。
「あなたたち! こっちまで丸聞こえよ? お母さん、恥ずかしいわ?」
頰を染めながらこちらにやって来たお母さんに、私たちは体を小さくしながら謝った。
「さ、みんなあちらの皆さんにもご挨拶して?」
見えていなかったから気づかなかったけど、向こう側にほかにも人がいたようだ。
「私の両親もいると思うから紹介するわね?」
歩きながら澪さんが言うと、ふう君は途端に顔を引き攣らせ、「ちょっとお嬢! 社長いるなら先に教えてくれよ!」と小さな声で抗議していた。
「まだまだねぇ、颯太は」
澪さんはそう笑って返した。
さすがに桁違いのパーティー。まもなく始まると案内され、会場に移動した私は、あまりの人の多さに圧倒されていた。
すでにあちこちで歓談している姿や、挨拶を交わす姿があちこちで見受けられる。たぶん、それぞれが会社を代表している参加者ばかりだ。うちの会社も、社長と専務が参加することになっている。その姿がないかキョロキョロと見渡すが、これだけ人がいると、簡単に見つけられそうにない。
そして、まだいっちゃんの姿も、創ちゃんの姿も見つけられないでいた。
間に合う……よね?
大丈夫だと思っていても不安になる。
さっき、教授にお会いしたときにも言われた。
『創一さんはきっと間に合います。あんなに長い時間をかけて貴女を射止めたんですから。このくらいの障害はなんでもありませんよ?』
教授にも、初恋だったのを知られていたのかと恥ずかしくなりながらも、穏やかに微笑むその顔に励まされたのだった。
「みー君。いた?」
私は人の間をすり抜けながら、一緒にいてくれているみー君のスーツの袖を引っ張る。
「うーん……。それらしい人、いないねぇ」
みー君は辺りを見渡しながら答えた。
「受付の人に確認したらわかるかも知れないけど、それじゃ不審者だしねぇ」
私は溜め息を吐きながら会場の前へと進んでいた。
「あ、与織ちゃん。うちの社長に聞いてみる? ちょうどそこにいるよ?」
みー君はそう言ったかと思うと、周りの目など気にせず手を振り始めた。
「やくもさーんっ!!」
その声に、私も、周りの見ず知らずの人たちも、ギョッとしたようにみー君を見ているが、本人は全く動じていない。
けど、人垣の向こうにいた、やくもさんらしき人は、みー君の声に思いっきり顔を顰めていた。
「実樹。恥ずかしい!」
近づいた途端に、そう言ったのは澪さんと張るくらい背が高くスラっとした迫力のある美女だ。背中まで届く艶やかな黒髪を一つに纏めていて、ブラックのパンツスーツを着るその人は、なんと言うか、とてつもなく格好いい。
「ごめんね? やくもさん!」
みー君は、相手が社長だと言うのに、悪びれることなくフワフワとした様子で謝った。
「まず紹介するね? 僕の妹!」
「はっ、初めまして。朝木与織子です」
急に振られ、私は慌ててお辞儀をする。
「初めまして。小泉やくも、です」
と微笑まれ、思わず「怪談?」と口に出す。
やくもさんは「ははっ。よく知ってるね? 結婚したらこんな名前になってしまったんだよ?」と、低めの凛とした声で答えた。
澪さんは、すぐ近くで私たちの様子を眺めてクスクス笑っていた。
「噂の双子の弟たちね?」
「はい。紹介しますね。弟の逸希と理久です。今高校3年生です」
そう言って弟たちを紹介すると、弟たちはポカンと口を開けて澪さんを見ていた。
「はじめまして。枚田澪です。お兄さんたちとは前からの知り合いなの。会えて嬉しいな」
澪さんがニッコリ微笑むと、弟たちは明らかにポ~っと顔を赤らめている。
「すっげえ美人……」
「枚田澪……さんって……。もしかして、オリンピックに出てた?」
いっくんとりっちゃんが代わる代わるそう言うと、澪さんは「あ、知ってくれてたんだ」と嬉しそうに笑った。
「おーい。お前ら~。将来の義姉に恥ずかしい姿見せんなよ~?」
ふう君は、弟たちの呆然とした様子を笑いながら茶化す。
「えっ! 姉? どう言うこと? まさかふう兄の彼女⁈」
驚いて声を上げたいっくんに、ふう君は途端に顔を顰めた。
「お嬢と結婚なんてごめん被りたいんだけど?」
「あら、私だって一矢以上に生意気な男なんて冗談じゃない」
お互い戯けたようにそう言い合っているのを見て、りっちゃんが口を開く。
「じゃあ……。いち兄の?」
「正解! そのうち朝木兄弟の一員になります。よろしくね!」
澪さんが明るく返すと、いっくんが深々と礼をした。
「はいっ! ふつつかものですが、よろしくお願いしますっ!」
部活終わりの挨拶なのかとツッコミたい大きな声に、突っ込んだのはりっちゃんだ。
「逸希。お前が言う台詞じゃない。国語の勉強やり直し!」
そんなやりとりに皆で笑っていると、部屋の奥に置いてあったパーテーションの向こう側からお母さんが顔を覗かせた。
「あなたたち! こっちまで丸聞こえよ? お母さん、恥ずかしいわ?」
頰を染めながらこちらにやって来たお母さんに、私たちは体を小さくしながら謝った。
「さ、みんなあちらの皆さんにもご挨拶して?」
見えていなかったから気づかなかったけど、向こう側にほかにも人がいたようだ。
「私の両親もいると思うから紹介するわね?」
歩きながら澪さんが言うと、ふう君は途端に顔を引き攣らせ、「ちょっとお嬢! 社長いるなら先に教えてくれよ!」と小さな声で抗議していた。
「まだまだねぇ、颯太は」
澪さんはそう笑って返した。
さすがに桁違いのパーティー。まもなく始まると案内され、会場に移動した私は、あまりの人の多さに圧倒されていた。
すでにあちこちで歓談している姿や、挨拶を交わす姿があちこちで見受けられる。たぶん、それぞれが会社を代表している参加者ばかりだ。うちの会社も、社長と専務が参加することになっている。その姿がないかキョロキョロと見渡すが、これだけ人がいると、簡単に見つけられそうにない。
そして、まだいっちゃんの姿も、創ちゃんの姿も見つけられないでいた。
間に合う……よね?
大丈夫だと思っていても不安になる。
さっき、教授にお会いしたときにも言われた。
『創一さんはきっと間に合います。あんなに長い時間をかけて貴女を射止めたんですから。このくらいの障害はなんでもありませんよ?』
教授にも、初恋だったのを知られていたのかと恥ずかしくなりながらも、穏やかに微笑むその顔に励まされたのだった。
「みー君。いた?」
私は人の間をすり抜けながら、一緒にいてくれているみー君のスーツの袖を引っ張る。
「うーん……。それらしい人、いないねぇ」
みー君は辺りを見渡しながら答えた。
「受付の人に確認したらわかるかも知れないけど、それじゃ不審者だしねぇ」
私は溜め息を吐きながら会場の前へと進んでいた。
「あ、与織ちゃん。うちの社長に聞いてみる? ちょうどそこにいるよ?」
みー君はそう言ったかと思うと、周りの目など気にせず手を振り始めた。
「やくもさーんっ!!」
その声に、私も、周りの見ず知らずの人たちも、ギョッとしたようにみー君を見ているが、本人は全く動じていない。
けど、人垣の向こうにいた、やくもさんらしき人は、みー君の声に思いっきり顔を顰めていた。
「実樹。恥ずかしい!」
近づいた途端に、そう言ったのは澪さんと張るくらい背が高くスラっとした迫力のある美女だ。背中まで届く艶やかな黒髪を一つに纏めていて、ブラックのパンツスーツを着るその人は、なんと言うか、とてつもなく格好いい。
「ごめんね? やくもさん!」
みー君は、相手が社長だと言うのに、悪びれることなくフワフワとした様子で謝った。
「まず紹介するね? 僕の妹!」
「はっ、初めまして。朝木与織子です」
急に振られ、私は慌ててお辞儀をする。
「初めまして。小泉やくも、です」
と微笑まれ、思わず「怪談?」と口に出す。
やくもさんは「ははっ。よく知ってるね? 結婚したらこんな名前になってしまったんだよ?」と、低めの凛とした声で答えた。
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