恋をするのに理由はいらない

玖羽 望月

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 よく考えれば、そんな質問をされるのは当たり前だ。伯父は旭河の社長で、私はソレイユの元キャプテンなのだから。私は呼吸を整え伯父に向く。

「彼はソレイユのために尽力をつくしていました。それは今も変わらないと、現キャプテンからは聞き及んでいます」

 もちろんそれは本当のことで、定期的に連絡をくれる萌からはそう聞いている。
 伯父は私の答えに満足したのか「そうか、そうか」と笑みを浮かべた。

千草ちぐさ君のところには弟がいるが、そちらはどうだい?」

 今度は父に尋ねている。私は話が逸れたことにホッとしながら父を見た。

「一矢君とはかなりタイプは違いますが、優秀な社員だと思います。この先が楽しみですよ」

 あのお調子ものに見える颯太も、会社ではちゃんとしてるのか……と、私は半信半疑でその話を聞いた。

「弟って、あの颯太君よね。彼、とってもいい子だわぁ! 息子に欲しいくらい」

 隣で母がそんなことを言い出し、危うく食べ物が気管に入りそうだった。

「お母さん? 何言ってるのよ!」

 さすがに黙っていられず声を上げると、母はキョトンとしている。

「あら。だってパーティーではいつも、奥様、飲みものは足りてますか? 料理は? ってお世話してくれるのよ? いい子じゃない」

 その母の言葉に、ずっと涼しい顔して話を聞いていた創も、さすがに呆れているようだった。もちろん、颯太に対してだ。

 食後のお茶も終わり、またそろそろ場所を変えて歓談でも、というころ。

「澪。折り入って話があるのだが」

 伯母様の書斎から本でも借りてこようかと立ち上がった私にそう告げたのは父だ。

「はい。どちらで?」

 すでに母と伯母はソファに移りおしゃべりに夢中になっている。それをチラリと見ると、父は「はじめさんの書斎にいる。あとで来なさい」と答えた。

「伯父様の?」

 神妙な顔で言う父に、いったい何事かと緊張が走る。そんな私を置いて、父は先に部屋を出て行った。部屋を見渡すとそこに伯父の姿はない。不安になった私の元へ様子を伺いに創がやってきた。

「どうしたんだ?」
「それが……。お父さんと伯父様に呼び出されて。私、何かした?」

 創は眉を顰め「呼び出し?」と言ってから続けた。

「家を出た途端、連絡も寄越さない娘に苦言くらいはあるかも知れないが……」

 自分でも思い当たるのはそれくらいだ。でも、わざわざ伯父の書斎に呼ぶほど? と溜め息を吐いた。

「とりあえず行ってくる」
「あぁ」

 創と別れ私は書斎に向かう。
 その重厚な扉の先にある応接テーブルには父と伯父が待ち構えていた。

「……お話しとはなんでしょうか?」

 緊張しながら尋ねる私に、伯父は目の前に置いてあった台紙と白い封筒を差し出し言った。

「澪に紹介したい男性がいるんだが……」
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