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その人との待ち合わせはホテルのロビー。落ち合ったのは、澪と別れてまだ1時間経ってない時間だった。
「すみません。待たせましたか?」
予定より少し遅れた俺は、ロビーの角にあるソファに座っていたその人に声をかけた。
「あぁ。もうそんな時間か。話込んでたから気にしないで。それより、えらく気合の入った格好だね」
嫌味にも取れそうな爽やかな笑顔を見せる戸田さんは、立ち上がるとそう言った。
「まぁ、気合い入れてきたんで」
苦々しい顔で俺は答えた。
確かにこう言われるのも無理はない。俺は仕事でもないのにスーツを着込んで、クールビズで普段ならしていないネクタイまでしてきている。
戸田さんはと言うと、スマートカジュアルな装いで、いかにも夏らしい爽やかな出立ちだ。だが、その横には、俺と変わらないくらい堅苦しい、ブラックスーツを着た女性が立っていた。
「朝木君。紹介するよ。彼女が今回の情報提供者」
戸田さんがそう言うと、控えめに立っていたその人は一歩前に出てきた。
「はじめまして。松野沙希と申します。戸田匡樹の秘書を務めております」
「朝木一矢です。ソレイユの広報担当をしております。Doorsには日頃からお世話になり、ありがとうございます」
なんとなく堅苦しい挨拶をすると、隣で戸田さんは笑いを噛み殺していた。
「二人とも、仕事じゃないんだからさ。今日はあくまでもプライベートでしょ?」
クスクスと笑う戸田さんに、バツが悪くなり顔を顰めていると、松野さんは戸田さんに向いた。
「わかっております。直樹様」
彼女は堅い言葉遣いだが、少し照れたように言っている。
「だから、様じゃないって。さっきから言ってるよね? 沙希」
そんなことを言い合っている2人は、秘書と、その相手の兄と言う関係には見えなかった。そんな疑問に答えるように、戸田さんは口を開いた。
「彼女は僕の大学時代の後輩でね。いつのまにか弟の秘書になってたんだよ。おかげで色々聞けて助かってるけど」
「戸田さんには、個人情報とは何かって一から説明したほうがいいですかね?」
「厳しいなぁ、朝木君は。それより、そろそろ向かったほうがいいかもね? 2人で消えてたら困るでしょ?」
飄々と言われ、俺は無意識にネクタイを締め直す。
「絶対阻止します」
睨むように答えると、戸田さんはニッコリと笑った。
「そうこなくっちゃ」
楽しんでいるようなその顔に、マジでこの人、性格悪りぃな、と思いながらその背中のあとに続いた。
「すみません。朝木さん。匡樹様がご迷惑をおかけして」
少し後ろから、小さくそんな声が聞こえて歩調を緩める。
「松野さんが謝ることじゃ……」
「いえ。元は私の所為ですから……」
彼女は俯いたまま、そんなことを言った。
「すみません。待たせましたか?」
予定より少し遅れた俺は、ロビーの角にあるソファに座っていたその人に声をかけた。
「あぁ。もうそんな時間か。話込んでたから気にしないで。それより、えらく気合の入った格好だね」
嫌味にも取れそうな爽やかな笑顔を見せる戸田さんは、立ち上がるとそう言った。
「まぁ、気合い入れてきたんで」
苦々しい顔で俺は答えた。
確かにこう言われるのも無理はない。俺は仕事でもないのにスーツを着込んで、クールビズで普段ならしていないネクタイまでしてきている。
戸田さんはと言うと、スマートカジュアルな装いで、いかにも夏らしい爽やかな出立ちだ。だが、その横には、俺と変わらないくらい堅苦しい、ブラックスーツを着た女性が立っていた。
「朝木君。紹介するよ。彼女が今回の情報提供者」
戸田さんがそう言うと、控えめに立っていたその人は一歩前に出てきた。
「はじめまして。松野沙希と申します。戸田匡樹の秘書を務めております」
「朝木一矢です。ソレイユの広報担当をしております。Doorsには日頃からお世話になり、ありがとうございます」
なんとなく堅苦しい挨拶をすると、隣で戸田さんは笑いを噛み殺していた。
「二人とも、仕事じゃないんだからさ。今日はあくまでもプライベートでしょ?」
クスクスと笑う戸田さんに、バツが悪くなり顔を顰めていると、松野さんは戸田さんに向いた。
「わかっております。直樹様」
彼女は堅い言葉遣いだが、少し照れたように言っている。
「だから、様じゃないって。さっきから言ってるよね? 沙希」
そんなことを言い合っている2人は、秘書と、その相手の兄と言う関係には見えなかった。そんな疑問に答えるように、戸田さんは口を開いた。
「彼女は僕の大学時代の後輩でね。いつのまにか弟の秘書になってたんだよ。おかげで色々聞けて助かってるけど」
「戸田さんには、個人情報とは何かって一から説明したほうがいいですかね?」
「厳しいなぁ、朝木君は。それより、そろそろ向かったほうがいいかもね? 2人で消えてたら困るでしょ?」
飄々と言われ、俺は無意識にネクタイを締め直す。
「絶対阻止します」
睨むように答えると、戸田さんはニッコリと笑った。
「そうこなくっちゃ」
楽しんでいるようなその顔に、マジでこの人、性格悪りぃな、と思いながらその背中のあとに続いた。
「すみません。朝木さん。匡樹様がご迷惑をおかけして」
少し後ろから、小さくそんな声が聞こえて歩調を緩める。
「松野さんが謝ることじゃ……」
「いえ。元は私の所為ですから……」
彼女は俯いたまま、そんなことを言った。
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