恋をするのに理由はいらない

玖羽 望月

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 クリスマスムード一色の水曜日。それもあと数十分で終わろうとしていた。

「間に合った……」

 いつもは決まってるスーツ姿だけど、今日は相当急いだのかなんとなくくたびれている気がする。クリスマスっぽい包装のされた大きな箱を手に、一矢は玄関先に立っていた。

「メリークリスマス。これ、プレゼントな」

 腕からはみ出すくらいの箱をいったん私に差し出して「やっぱ重いから俺運ぶ」と引っ込めた。

「……ありがと」

 面食らいながら私はお礼を述べる。クリスマスプレゼントなんてもらえると思っていなかった。
 テーブルに箱を置くと、一矢が貰ったほうみたいにソワソワしながら、「ほらっ。クリスマス終わっちまう。早く開けてみろ」と私を促した。

 中身は全く予想がつかない。けど一矢のことだ。絶対に私の欲しいものに決まっている。包装紙を外していくと、外箱を見てすぐにそれがなんなのかわかった。

「私が買おうかなって言ったやつ! いつの間に?」
「まだ買ってないよな? ちょっとドキドキしてた」

 一矢はそう言って笑った。
 にしても、私が『いいな』って言ったのはほんの数日前、日曜日の夜だ。うちで一緒にご飯を食べ、テレビを見ていた。番組のコーナーで、圧力鍋を使ったレシピを紹介していたのだ。それを見ながら、何の気なしに私は言った。

『やっぱり圧力鍋。持ってるけど、もうちょっと大きいの買おうかなぁ』
『仕事でも使えるように?』
『うん。場合によってはフル稼働になっちゃうし』

 なんて会話を、テレビに向いたまま繰り広げたのだ。

「大事にするね。もちろん誕生日祝いも兼用だよね?」

 気にするわけじゃないけど、結構な値段の品だ。私は当然のように、クリスマスと、そして明日の私の誕生日プレゼントを兼ねていると思っていた。
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