花と十字架の想い

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

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聖武器

花と十字架の想い 61話

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アストレア村。

右腕に大怪我を負ったまま先に辿り着いたシスル。

シスル「……誰もいない?」

見渡しても村には誰もいない。もしどこかにいるとしたら、

シスル「……店……」

先の方にある食事処。そこに向かおうとした時……

ジェイド「行かせるか!!」

シスルの目の前にジェイドの剣が振り下ろされた。

カイヤ「彼らは人質ですよ。貴方が魔王様の肉体を返さないというのなら、皆殺しにします」

シスル「……魔王もいるのか?」

魔王フロックス「よく分かったな。その通りだ」

ジェイドとカイヤの後ろから魔王が出て来る。

無言で短剣を構えたシスルに対して

カイヤ「その怪我で挑むおつもりですか? 全く理解できませんね」

ジェイド「それ以前に、応じないならこの村の奴らは全員嬲り殺すって言っただろ」

シスル「………聞きたい奴がいる。魔王の肉体を渡すことについて……」

そのタイミングで後から追いかけてきたシオンたちも村に入ってくる。

シオン「シスル! 無事か!?」

ブローディア「お兄ちゃん!」

怪我をしているシスルを庇って数人前に出る。

リナリア「今どういう状況?」

シスル「この村の奴らが人質に取られている。肉体を渡さないなら、殺すつもりだ」

レオノティス「卑怯者め……!」

にらみつけるが魔王は動じない。

魔王フロックス「だからどうした。肉体を返せば丸く収まる話だ」

魔王を強化しない代わりに村人を犠牲にしたうえ、聖武器に認められる事もない道を選ぶか、

魔王を強化させる事になるが村人を助け、聖武器に認めてもらう。

そのどちらかだった。

シスル「………シオン」

シオン「………シスル??」

少しの沈黙。それを破ったのはシスルの方だった。

シスル「全盛期の魔王に、勝てるか?」

その質問の意味。勝てないならば、渡さない道を選んでもいい。

ここの人を死なせた咎は自分で背負う。そんな意図。

シオン「……信じてくれ、俺「達」を。俺「達」もシスルを信じる」

アイリス「仲間だから」

リナリア「こんな肉体持っていたら、シスルがいつか壊れてしまうし」

レオノティス「完全復活しても倒せばいいだけだ」

ブローディア「お兄ちゃんを取り戻す」

アスター「俺達の力を舐めてもらっては困るな」

フクシア「相手は神じゃない。王止まり」

シュロ「シオンたちといると平気に思えてくるのは何でだろうな」

それぞれ声を掛ける。

シスル「……ああ」

そう一言言って自身の胸に手を当てると、紫色の魔力の光が取り出された。

アイリス「それが……ずっとシスルを蝕んでいた、魔王の……?」

シスル「持ってけ!」

魔王の方に投げ飛ばすと、簡単に魔王の中に光が取り込まれていった。


魔王「ふっ、やっと戻ってきたか」

これで村の人は解放される…そう思った瞬間、

ジェイド「さてと…村の奴らは皆殺しでいいよな!?」

シオン「なっ!? 約束と違う!」

ジェイド「人を信じれば、死ぬ」

そのジェイドの一言に辺りが一瞬凍り付いた気がした。

アスター「! 止めろ!」

シスル「俺が……! くっ……」

腕の傷が思ったより深いのと、魔王の肉体を明け渡した反動で

体力が尽きていて動けなかった。

リナリア「このままじゃ……」

その時ーー

???「おい「シス」! お前だけにとっての家族じゃないんだぜ!!

けが人は休んでな!!」

門を飛び越えて食事処の屋根に上ったかと思えば、室内に簡単に行方を晦ませた

一人の影。

シスル「………ジニア?」

その数秒後、その影が外に飛び出してきた。



ジニア「中は徹底補防御壁を作動させてきたぜ! 魔族の魔法も通さない鉄壁だ!」

アイリス「す、すごい……」

みんなが驚いているのをよそに、そのジニアと呼ばれた男性は

ジニア「ここは退けよ。ここは俺達の家だ」

カイヤ「……わかりました」

ジェイド「はあ!?」

またカイヤに突っかかる。

カイヤ「魔王様の肉体が馴染むまで時間がかかります。

ここでこの人数を相手にするのは不可能です」

ジェイド「ちぃっ!」

立ち去ろうとする三人をついブローディアが引き止める。

ブローディア「肉体は返したんだから、お兄ちゃんを返して!!」

魔王フロックス「肉体が馴染み次第返してやろう。それまではまだ預からせてもらう」

それだけ言い残して転移していった。

ブローディア「……お兄ちゃん」


ジニア「ほんっと、お前ら災難だな。…シス。いつも無茶すんなって言ってるだろ」

シスル「……余計なお世話だ」

ジニア「あーはいはい。俺は…というか、ここの連中はみんな孤児で、

シスもそうだ。そこの食事処にいる奴は色々訳あり仕事してる」

訳あり……?

シオン「……シスルの事、休ませられないか?」

ジニア「あー、そうだよな。……許可してくれっかな……

一応そこの店来いよ。料理と寝床ぐらいは用意してやるぜ。

シスの部屋もそこにあるしな」

全員疲労していたのと、シスルの怪我の事もあったので、

お言葉に甘える事にして、ここの村の数名が経営している食事処へ向かう事になった。
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