月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 外伝 ~未来(イマ)に至るためのプレリュード~

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

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奪われた時・救われた今

~未来(イマ)に至るためのプレリュード~ 28話

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ゼファ「………ベレイザ」

ベレイザ「……トドメを刺せば…? せっかく倒したんだから」

フロスティ「…兄」

ゼファ「……ベレイザ。やった事は、赦されない事なのかもしれない。

でも、我はいきなり殺すなんて事はしない」

そう、ゼファはそういう人なのだ。

恵まれた環境で、人にも恵まれて。

一切捻じ曲がる事なく、間違いをしても誰しも変われると信じて育った。

ベレイザ「……」

ゼファ「君が、全ての罪を告白して、罪を償うというのなら、殺しはしない。」

それが条件だった。

ゼファ「…とは言っても、君を城に突き出す事も不可能だ。

だから……」

後ろで待機していたゼルシェードの方を向く。

ゼファ「神界へは、君に頼んでいいかな?」

ゼルシェード「ああ。もとより、そこでないと捕縛しきれない。

お前が殺すなと言うのなら、捕らえておくにとどめておこう」

ゼファ「…ありがとう。それで、どうする?」

倒れているベレイザに問う。

しばらく黙った後、ベレイザが口を開いた。

ベレイザ「……分かったわ。その条件をのむ」

ゼファ「そっか、よかったよ。…ほら」

ゼファがベレイザに手を差し伸べた。

体を起こしたベレイザが、その手を取る前に一言告げた。

ベレイザ「……優しいのね。つくづく」

ゼファ「そうかな? 甘いの間違いだと思うよ」



ベレイザはその手を取らずに立ち上がり、ゼファの横をすり抜けた。

ゼファ「ベレイザ?」

ベレイザ「そんなだから……」

……そんな、だから??

ベレイザ「何もかも失うのよ!!!」

急に速度を付けベレイザの手が伸びた先はゼルシェード。

ゼルシェード「なっ!?」

急な事で誰一人間に合わなかった。



フェズ「ゼルシェード!?」

ゼルシェードが……消えた???

フロスティ「ゼ、ゼルシェード様ぁ!! 嫌…嫌じゃあ…!!」

ベレイザ「よそ見してていい、わけ!?」

次にそのまま立て続けに攻撃の手が…鎌が向いたのは…

ゼファ「っ、がはっ!?」

プリムローズ「陛下!!!」

グラファイト「っ!! 駄目だ、傷が深い…すぐに手当てしないと!!」

グラファイトが見る限り、かなり深く斬りつけられていた。

サラテリ「ベレイザ、あんた!!」

セピア「油断させましたのね…」

ベレイザ「ふふっ、あっははは!! 騙される方が悪いのよ。

その優しさが、甘さが、何もかも殺していくのよ!!」

それだけ言ってどこかへ消えてしまった。

フェズ「あいつ!!!」

エピナール「城は確か少し壊れただけです。

悪神獣は私達が倒しましたし、今はそこへ!!」

ゼファと気を失っているエルブの事が先決だ。

フロスティも泣きじゃくっていて、まずは落ち着かせなければならない。


…そして、約、一か月。

あの日、エピナールの能力で命からがら逃げてきた一行。

エルブとゼファも何とか目を覚まし、

フロスティもようやく落ち着いてきたようだった。

その一か月間、とりわけ目立った事件は無かったので、療養と状況整理に費やしていた。

そんな時……


「皆さん!!」

ゼファ「どうしたんだい!?」

「クレイドル大陸、クレイドル大陸、ディレオン大陸が…一斉に侵攻を!!!

すでに交戦開始!!」

……は???

グラファイト「どういうことだ! なんで各大陸が…」

「何でも…我が大陸…セリディアス大陸が…クレセディアが…

魔物と共闘して、世界を支配しようとしていると聞いたとのこと…!!」

でまかせも良いところだ。

誰が……。

プリムローズ「まさか……ベレイザ!?」

サラテリ「あの時、逃がしちゃったからね」

フェズ「あいつがあのまま何もしねぇとは思えねぇ。」

でも、だからって、万人がそんな事を信じてしまうのか???

セピア「仮にもあの姿。神の言葉とすれば、馬鹿な奴らはすぐに信じてしまいますわ」

エルブ「そんな……」

世界を支配なんて考えていない。

ただ、魔物と共に仲良く過ごしていただけだ。

でも………

エピナール「…魔物と共存している。この事実は…ベレイザにとって好都合だったのでしょう」

フロスティ「狙いを…兄だけでなく、クレセディア全体にしたのか…」

………

ゼファ「わかった。すぐに出…」

「やめてください!!」

兵士が大声でそう告げた。

「もはや相手を殺さねば生き残れない状態。陛下には…人殺しをしてほしくありません。

それに……相手の力が人間とは思えないのです。

神がかった何か……ゼルシェード様のいない今、陛下に無理など…!!」

神がかった何かベレイザが何かしたのか。

こっちが決して勝てないように。

サラテリ「だったら、あたし達だけでも!!」

「駄目です!!」

フェズ「なんでだよ!?」

「皆さんは…陛下を…護ってください。ここで。

できることならば、船か飛空艇に乗って、今すぐにここを立ち去ってください!!」

フロスティ「何を言っておる! そなた達は……」

…並の兵士じゃ無理に決まっている。

「これでも、ベレイザの雑兵相手には戦ったんですよ! 平気です!

…それに、我らクレセディアの民は、ゼファ様とフロスティ様のため、すでに命を捧げております」

そう言って城の外へ再度飛び出していってしまった。

ゼファ「あ、待って!!」

セピア「どうしますの?」

エピナール「私達でも勝てる保障はありません。

そんな奴を相手に、彼らでは負担ですが…」

みんな分かっていた。ゼファならなんて言うのか…。

分かっていたけど、一応聞いた。

ゼファ「もちろん、加勢に行くよ。

勝てない戦いだとしてもね…」

ゼルシェードに託された。

だったら…各国を止めるのも、自分の役目…。

勝てないとしても、命尽きるまでは…。


ゼファ「連絶剣!!」

フロスティ「スターライト!!」

結局、戦闘に参加する事に。

兵士や国民からは散々、逃げろ逃げろと言われたが、

引かずにいたところ、しぶしぶ了承してくれた。

フェズ「死黒乱!!」

サラテリ「シャインティア!!」

グラファイト「鎌獄葬水!」

プリムローズ「雷破殺環!!」

もちろん、四零士も一緒だし、

セピア「ブラッドバーン!!」

エピナール「氷裂円舞!!」

エルブ「アイシクル!!」

セピアたちも一緒。

今やもう、側近のような立ち位置になってしまっている。

頼もしいんだ。けれど…

ゼファ「はっ!! …っく、数が多すぎる…」

フロスティ「しかも強い…限界があるぞ…っ」

結構倒しているはずなのだが…やはり、三国全体となると一国では間に合わない。


ゼファ(これは…もう…)

「陛下! 各村、町……壊滅しました……!!!」

ゼファ「!!?」
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