Real Nightmare

赤木 水月

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第38夜

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「ん?どうしたんだ?」
「………」

急に黙り込んでしまったクロウに、青年は不思議そうな表情を浮かべる

言ってる当人は、無自覚なのだから余計タチが悪い

「お前、恥ずかしい奴って言われない?」
「何がだ?」

親友も生前は、彼の無自覚ぶりに振り回されていたのかもしれない。
などと想像したら、苦笑する

けれど、その反面……
ここまで想われてる事に羨ましさも感じた

「なぁ、お前の名前は?」
「白羽……葛城白羽。アンタは?」

『かつらぎしろは』という名を頭に何度も刻み付ける、忘れぬように……

「クロ……いや、アキト。……杉浦(スギウラ)……陽斗(アキト)……だ」

思わず『悪魔の名』を告げそうになり……咄嗟に浮かんだ、それらしい名を口にする

「アキトか。いつもココで歌ってるのか?」
「ああ。歌うのは嫌いじゃないからな」
「そっか、じゃあまた聴きに来る」

ギャラリーは既におらず、楽器もケースへと片付けてしまっている。

確かに、歌は終わりなのだが……

「待ってくれ!」
「え?」

気が付けばクロウは白羽を引き留めていた

このまま別れるには名残惜しい。

もしかしたら言葉通り、彼はココに再び歌を聴きに来るかもしれない……

けれど物事に『絶対』は存在しないのだ

曖昧な約束などアテにならない

何より人間は平気で嘘をつく……

「白羽の親友の為に、アノ歌を歌うから聞いて行ってくれ」
「だが……もうライブは終わりだろ?」
「今日は特別だ」

ニッと笑って見せれば、白羽も嬉しそうに笑った「有難う。アイツも喜ぶと思うよ」
「………ああ」

正直、白羽の親友の事はどうでも良かった

親友云々は、ただのこじつけに過ぎない

ただ気を引きたかった
繋がりが欲しかった

クロウも親友のように、白羽に大事に思われたい。
涙を流して欲しい。
などと思ってしまった……

この感情が何なのかは分からない。

けれど白羽の大事な存在になりたかったのだ……
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