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人生期限
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ー第一章ー
≪大人の仮面≫
『あなた、ごめんなさい。私と別れて下さい。』
『な、何を言ってんだよ!里美!俺達もう五十だぞ!?今更、離婚だなんて何の意味があるんだ!?それに、な…!』
『ごめんなさい!もう、顔を見たくないの!』
『さ、里美…。』
今、凄くイライラしてる。
もう、ちょっとした事で張りつめている糸が切れそうだから誰にも会いたくないんです。一緒にいたら傷つけるだけだし、良い事なんて何もない。
『お母さん、本気なの?』
『香奈子…。ごめんね…。』
『私達は、どうなるの?陸と二人で勝手にやってけって?』
『そんなはずないでしょ!香奈子と陸は、私と一緒よ!当然でしょ!』
『お母さんって…、大人って勝手だよね。何が親なの?親って、子供でもなれるんだね!』
『香奈子…。』
子供達には、今は優しくなれない事が分かってるから、冷酷なんだって気づいては欲しいんです。だって、余裕の無い今に子供達までいなくなったら、どこに請えばいいの?
物に当たる?暴力?…クスリ?
バカな事言わせないで。下らない暴走で人生自体を破滅させないで。
余裕を下さい。時間を下さい。期限はまだ切れてないでしょ?私にも、残りの時間を楽しむ権利があるでしょ?だから、あなたのわがままもお節介も受け入れられる大きな器を下さい。
安定した優しさと、安心させる笑顔。
安定した空気と、安心させる体温。
心の余裕がそうさせるんです。
そんな器を下さい。
私には、まだ大人という仮面を外せない。
ー第二章ー
≪二色の世界≫
『何故だ…。何故、五十にして今更、独りにならきゃならんのだ。俺が一体、何をしたんだ、里美…!』
誰だって、きっと、そうだろう。
ダメな時は何をやってもダメだし、楽しい時は最高だけど、まさに束の間…。
残りの時間は迫ってる。
死ぬ時が来たら、ちゃんと死ぬ。
『このまま、誰にも気付かれる事なく孤独死か…?』
冗談じゃない!抵抗は、笑われても無様でも構わない。悔いは残したくないから。とにかく精一杯やりきった感だけは残したいんだ。
悪足掻きって言われも良い。意地汚いって言われても良い。それが俺の本性ってやつだ。母ちゃんから受け継いだ、誇り高きプライドだ。
永遠なんて、この世には無いから少しだけ焦ってみようか。そもそもさ、人間どいつもこいつも追い詰められないと動かないだろ?今、十分にその状況だよな。
若いって歳じゃないんだ。
その意欲が全てなんだよ。
『省吾さん、会社辞めるって本当なんですか!?』
『遼一…。優秀過ぎた元部下よ。お前の瞳には、こんなオヤジがどう映る?』
『え…。』
『可笑しいだろ。五十にして離婚されて、仕事も辞めた。ハハハハハッ!』
『省吾さん…。』
『でもな、遼一。俺は今、十八の時、鞄一つで上京したあの時と同じ心境なんだ。不安と希望の二色の世界。たまんねぇよ!もう期限迫ってるのに俺には、まだ新しい時間が待ってるらしいわ。』
ー完ー
≪大人の仮面≫
『あなた、ごめんなさい。私と別れて下さい。』
『な、何を言ってんだよ!里美!俺達もう五十だぞ!?今更、離婚だなんて何の意味があるんだ!?それに、な…!』
『ごめんなさい!もう、顔を見たくないの!』
『さ、里美…。』
今、凄くイライラしてる。
もう、ちょっとした事で張りつめている糸が切れそうだから誰にも会いたくないんです。一緒にいたら傷つけるだけだし、良い事なんて何もない。
『お母さん、本気なの?』
『香奈子…。ごめんね…。』
『私達は、どうなるの?陸と二人で勝手にやってけって?』
『そんなはずないでしょ!香奈子と陸は、私と一緒よ!当然でしょ!』
『お母さんって…、大人って勝手だよね。何が親なの?親って、子供でもなれるんだね!』
『香奈子…。』
子供達には、今は優しくなれない事が分かってるから、冷酷なんだって気づいては欲しいんです。だって、余裕の無い今に子供達までいなくなったら、どこに請えばいいの?
物に当たる?暴力?…クスリ?
バカな事言わせないで。下らない暴走で人生自体を破滅させないで。
余裕を下さい。時間を下さい。期限はまだ切れてないでしょ?私にも、残りの時間を楽しむ権利があるでしょ?だから、あなたのわがままもお節介も受け入れられる大きな器を下さい。
安定した優しさと、安心させる笑顔。
安定した空気と、安心させる体温。
心の余裕がそうさせるんです。
そんな器を下さい。
私には、まだ大人という仮面を外せない。
ー第二章ー
≪二色の世界≫
『何故だ…。何故、五十にして今更、独りにならきゃならんのだ。俺が一体、何をしたんだ、里美…!』
誰だって、きっと、そうだろう。
ダメな時は何をやってもダメだし、楽しい時は最高だけど、まさに束の間…。
残りの時間は迫ってる。
死ぬ時が来たら、ちゃんと死ぬ。
『このまま、誰にも気付かれる事なく孤独死か…?』
冗談じゃない!抵抗は、笑われても無様でも構わない。悔いは残したくないから。とにかく精一杯やりきった感だけは残したいんだ。
悪足掻きって言われも良い。意地汚いって言われても良い。それが俺の本性ってやつだ。母ちゃんから受け継いだ、誇り高きプライドだ。
永遠なんて、この世には無いから少しだけ焦ってみようか。そもそもさ、人間どいつもこいつも追い詰められないと動かないだろ?今、十分にその状況だよな。
若いって歳じゃないんだ。
その意欲が全てなんだよ。
『省吾さん、会社辞めるって本当なんですか!?』
『遼一…。優秀過ぎた元部下よ。お前の瞳には、こんなオヤジがどう映る?』
『え…。』
『可笑しいだろ。五十にして離婚されて、仕事も辞めた。ハハハハハッ!』
『省吾さん…。』
『でもな、遼一。俺は今、十八の時、鞄一つで上京したあの時と同じ心境なんだ。不安と希望の二色の世界。たまんねぇよ!もう期限迫ってるのに俺には、まだ新しい時間が待ってるらしいわ。』
ー完ー
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