1 / 1
空を飛ぶ方法
しおりを挟む
『ほら!こうすればどうだろう!』
『タケちゃん、また?ホント懲りないね。』
『何が?懲りるも何も、まだまだ、これからだよ。トシくん!ほら、これ見てよ!こうやって風船をいっぱい付ければ、飛べると思うんだ!』
『タケちゃん、無理だよ。いくらいっぱい風船を付けた所で、人間は空なんか飛べるわけないんだ。』
『そんな事ないよ。絶対飛べる!人間に不可能な事はない!』
『タケちゃん、僕ら来年、五年生になるんだよ。もう上級生だ。いつまでそんな夢みたいな事言ってるんだよ。もう出来る事、出来ない事の判別ぐらいつくだろう?それに、そもそも空なんか飛べた所で一体何の役に立つんだ?遠くへ行きたいなら飛行機に乗ればいい。空の空気を感じたいなら気球にでも乗ればいい。僕らみたいな子供が、例え一人で空を飛べた所で何だっていうんだよ。ただ親に心配かけるだけじゃないか。タケちゃん、僕らは、もっと地に足を付けて生きなきゃいけないんじゃないか。』
『トシくん…。』
ーーー。
『おい!俊之!お前またやったな!』
『え?何の事ですか?』
『この書類見てみろ!数字が一段ずつずれてんだよ!』
『うわ!すいません!』
『このまま気付かないで提出してたらどうなってたんだよ!お前、よくそれで経理なんてやってられんな!ったく!これで何度目だ?気を付けろ!』
『はい!すいません!すいませんでした!』
この会社に入って一年が過ぎた。子供の頃、サラリーマンにだけはなりたくない。毎日、見て来た父親の姿を見て、子供心にそう誓った。だけど、大学四年になると、まるでそれが当たり前の様に成す術なく、一般企業への就活を模索した。
子供の頃の夢?何だったかな。歌手だったかな。出来ない事があると直ぐに言い訳を考えて、それが正しいんだと自分を言い聞かせて投げ出しては、傷付かない道を探して歩いてた。それは、社会人になろうが何も変わらなかった。
『俊之さぁ、お前ヤバいよ?マジでクビになるぞ?』
『剛志…。うーん…。』
『何だよ!その態度!心配して励ましてやろうと思ったのに何なんだよ!そのどうでもいい感じ!ってか、お前ヤル気あんの?ヤル気ないなら自分から辞めろよ!同僚として、お前みたいな奴がいると迷惑なんだよ!』
ヤル気とか、出世意欲とか、ハングリー精神とか、もうどこかに置いてきた。
ヤバいな、俺…。
もう死のうか。こんな無気力の生気のない姿、タケちゃんには見せらんないな…。
ーーー。
『トシくん!見てよ!これならどうよ!こっから飛ぶんだ!』
『は!?や、やめなよ!タケちゃん!ここがどこだか分かってんの!?校舎の屋上だよ!そんな所から飛び降りたら死んじゃうよ!』
『いやいや違うよ!飛び降りるんじゃないよ!飛ぶんだ!この傘で作った羽根を付けて飛ぶんだ!』
『もうダメだって!タケちゃん!絶対落ちるから!そんなんじゃ飛べる訳ないだろう!死んじゃうよ!』
『トシくん。僕は、死なないよ。だって飛ぶんだから。僕は、どうやったら空を飛べるかずーっと考えて来たんだ。誰に何を言われようと、どれだけ否定されようと。僕は、空を飛びたいんだ。それが僕の夢なんだ。だから、叶えるまで絶対、諦めない。』
『タケちゃん…。で、でも、そっから飛んだら…。』
『大丈夫だよ!可能性は百パーセントじゃないだろ?もしかしたら飛べるかもしれない。それがゼロじゃない限り、やる意味はあると思うんだ!僕は、やらないで後悔するよりやって後悔したい派だから!あははは!』
『タケちゃん…。』
『よし!トシくん行くよ!五秒前からカウントダウンだ!トシくんも一緒に数えて!はい!行くよ!』
『タケちゃん!』
『五!四!三!ニ…!』
『タケちゃん!!』
『一!それ…!』
『タケちゃぁぁーん!うわぁー…!』
ーーー。
タケちゃんに、まるで会わす顔がないな。空なんて飛べる訳がない。そんな事タケちゃん自身だって気付いてたはずだよ。でも、そんなの関係ないよとばかりに、その可能性を信じて、叶える為にどこまでも真っ直ぐだった。
タケちゃん、俺は夢を忘れて、それだけは成らないと見下していたサラリーマンすら全う出来ていないよ。あの時、俺の目の前で途方もない可能性を示そうとしてくれたタケちゃん。俺は、タケちゃんの夢の証人にならなくちゃいけないのに、もう、その資格が無いよ…。
『おい!俊之!お前、何考えてんだよ!そんな所に立って何しようってんだ!』
『剛志…。な、何って…。見れば分かるだろ?この高いビルの屋上の端に立ってやる事は一つだろ。』
『お前、バカかよ!ちょっと仕事が出来なかったぐらいで死ぬのかよ!』
『違うよ。』
『え!?』
『飛ぶんだ。』
『は!?』
『剛志。俺は、ここから飛ぶんだ。空を飛ぶんだよ。』
『な、何を言って…!』
『小四の時…。あの時、タケちゃんが叶えられなかった夢を俺が今、叶えるんだ。このたくさんの傘を持って、ここから飛ぶんだ。』
『バ、バカか!お前は!』
『本当に百パーセント死ぬかな。俺なぜかそんな気がしないんだ。なんか飛べる気がするんだ。あの時のタケちゃんも同じだったのかな…。』
『お前が、そこまでバカだったとは思わなかったよ。もう俺は知らんわ。勝手にしろよ。』
『あはは。ありがとうな剛志。止めてくれて。おかげで覚悟が出来たよ。よし!行くぞ!タケちゃん!見ててくれ!五秒前からカウントダウンだ!』
『俊之!』
『五!四!三!ニ…!』
『俊之!』
『一!それ…!』
『俊之ぃぃー!うわぁー…!』
ーーー。
『ねぇ、トシくん。トシくんの夢って何?』
『夢?そりゃあ歌手でしょ!俺、歌が好きなんだ!』
『歌手か…。凄いなぁ!なれるといいね。』
『ありがとう。タケちゃんは?タケちゃんの夢は何?』
『僕は、空を飛ぶ事だね。』
『そ、空?』
『そう。空。このでっかい空を自由に飛び回るんだ。』
『す、凄いね。タケちゃんなら飛べるよ!きっと!』
『ホント?ありがとう。そう言ってくれるのはトシくんだけだよ。絶対、夢、叶えようね!僕らなら出来るよ!』
『うん!頑張ろうね!』
ーーー。
『俊之ぃー!おい!俊之!』
『う、うー…。』
『良かった!まだ息がある!今、救急車呼ぶからな!』
『タケちゃん…。やっぱ、空は飛べなかったよ…。でも、楽しかったよ…。可能性にかけたあの瞬間、これまでの人生で一番最高に楽しかったよ…。タケちゃん…。』
『おい!俊之!俊之ぃー!うわぁー…。』
ーーー。
『タケちゃぁーん!タケちゃん!』
『う、うー…。』
『良かった!生きてる!タケちゃん!』
『トシくん…。どう…?僕、飛んだでしょ…?ちょっとだけだけど僕、今、空を飛んだよね…?あはは…。僕は、空を飛んだんだ…。』
『タケちゃん…。』
『トシくん…。次は、トシくんの番だよ…。良いこと教えてあげるよ…。夢を叶えるって最高だよ…。』
『タケちゃん…。タケちゃん?タケちゃん!タケちゃぁーん!うわぁー!』
ーーー。
『う、うぅ…。』
『お、おい!俊之!俊之!分かるか!?』
『こ、ここは?生きてる…のか?俺は…。』
『病院だよ!当たり前だろ!生きてるよ!俺がお前を死なす訳ないだろ!』
『そっか…。生きてるのか…。』
『なんだよ。不満なのか?誰が必死に助けを呼んだと思ってんだ?感謝しろよな!』
『剛志…。ありがとな…。ホントに、ありがとうな。』
『俊之…。ま、早く元気になって出社して来いよ!』
『剛志…、俺、会社辞めるわ。』
『え、何でだよ?』
『俺、分かったんだ。』
『何が!?』
『可能性にかける楽しさにさ。まずは、早く元気になって発声練習からだ。タケちゃんの分まで俺は、もう諦めない。』
ー完ー
『タケちゃん、また?ホント懲りないね。』
『何が?懲りるも何も、まだまだ、これからだよ。トシくん!ほら、これ見てよ!こうやって風船をいっぱい付ければ、飛べると思うんだ!』
『タケちゃん、無理だよ。いくらいっぱい風船を付けた所で、人間は空なんか飛べるわけないんだ。』
『そんな事ないよ。絶対飛べる!人間に不可能な事はない!』
『タケちゃん、僕ら来年、五年生になるんだよ。もう上級生だ。いつまでそんな夢みたいな事言ってるんだよ。もう出来る事、出来ない事の判別ぐらいつくだろう?それに、そもそも空なんか飛べた所で一体何の役に立つんだ?遠くへ行きたいなら飛行機に乗ればいい。空の空気を感じたいなら気球にでも乗ればいい。僕らみたいな子供が、例え一人で空を飛べた所で何だっていうんだよ。ただ親に心配かけるだけじゃないか。タケちゃん、僕らは、もっと地に足を付けて生きなきゃいけないんじゃないか。』
『トシくん…。』
ーーー。
『おい!俊之!お前またやったな!』
『え?何の事ですか?』
『この書類見てみろ!数字が一段ずつずれてんだよ!』
『うわ!すいません!』
『このまま気付かないで提出してたらどうなってたんだよ!お前、よくそれで経理なんてやってられんな!ったく!これで何度目だ?気を付けろ!』
『はい!すいません!すいませんでした!』
この会社に入って一年が過ぎた。子供の頃、サラリーマンにだけはなりたくない。毎日、見て来た父親の姿を見て、子供心にそう誓った。だけど、大学四年になると、まるでそれが当たり前の様に成す術なく、一般企業への就活を模索した。
子供の頃の夢?何だったかな。歌手だったかな。出来ない事があると直ぐに言い訳を考えて、それが正しいんだと自分を言い聞かせて投げ出しては、傷付かない道を探して歩いてた。それは、社会人になろうが何も変わらなかった。
『俊之さぁ、お前ヤバいよ?マジでクビになるぞ?』
『剛志…。うーん…。』
『何だよ!その態度!心配して励ましてやろうと思ったのに何なんだよ!そのどうでもいい感じ!ってか、お前ヤル気あんの?ヤル気ないなら自分から辞めろよ!同僚として、お前みたいな奴がいると迷惑なんだよ!』
ヤル気とか、出世意欲とか、ハングリー精神とか、もうどこかに置いてきた。
ヤバいな、俺…。
もう死のうか。こんな無気力の生気のない姿、タケちゃんには見せらんないな…。
ーーー。
『トシくん!見てよ!これならどうよ!こっから飛ぶんだ!』
『は!?や、やめなよ!タケちゃん!ここがどこだか分かってんの!?校舎の屋上だよ!そんな所から飛び降りたら死んじゃうよ!』
『いやいや違うよ!飛び降りるんじゃないよ!飛ぶんだ!この傘で作った羽根を付けて飛ぶんだ!』
『もうダメだって!タケちゃん!絶対落ちるから!そんなんじゃ飛べる訳ないだろう!死んじゃうよ!』
『トシくん。僕は、死なないよ。だって飛ぶんだから。僕は、どうやったら空を飛べるかずーっと考えて来たんだ。誰に何を言われようと、どれだけ否定されようと。僕は、空を飛びたいんだ。それが僕の夢なんだ。だから、叶えるまで絶対、諦めない。』
『タケちゃん…。で、でも、そっから飛んだら…。』
『大丈夫だよ!可能性は百パーセントじゃないだろ?もしかしたら飛べるかもしれない。それがゼロじゃない限り、やる意味はあると思うんだ!僕は、やらないで後悔するよりやって後悔したい派だから!あははは!』
『タケちゃん…。』
『よし!トシくん行くよ!五秒前からカウントダウンだ!トシくんも一緒に数えて!はい!行くよ!』
『タケちゃん!』
『五!四!三!ニ…!』
『タケちゃん!!』
『一!それ…!』
『タケちゃぁぁーん!うわぁー…!』
ーーー。
タケちゃんに、まるで会わす顔がないな。空なんて飛べる訳がない。そんな事タケちゃん自身だって気付いてたはずだよ。でも、そんなの関係ないよとばかりに、その可能性を信じて、叶える為にどこまでも真っ直ぐだった。
タケちゃん、俺は夢を忘れて、それだけは成らないと見下していたサラリーマンすら全う出来ていないよ。あの時、俺の目の前で途方もない可能性を示そうとしてくれたタケちゃん。俺は、タケちゃんの夢の証人にならなくちゃいけないのに、もう、その資格が無いよ…。
『おい!俊之!お前、何考えてんだよ!そんな所に立って何しようってんだ!』
『剛志…。な、何って…。見れば分かるだろ?この高いビルの屋上の端に立ってやる事は一つだろ。』
『お前、バカかよ!ちょっと仕事が出来なかったぐらいで死ぬのかよ!』
『違うよ。』
『え!?』
『飛ぶんだ。』
『は!?』
『剛志。俺は、ここから飛ぶんだ。空を飛ぶんだよ。』
『な、何を言って…!』
『小四の時…。あの時、タケちゃんが叶えられなかった夢を俺が今、叶えるんだ。このたくさんの傘を持って、ここから飛ぶんだ。』
『バ、バカか!お前は!』
『本当に百パーセント死ぬかな。俺なぜかそんな気がしないんだ。なんか飛べる気がするんだ。あの時のタケちゃんも同じだったのかな…。』
『お前が、そこまでバカだったとは思わなかったよ。もう俺は知らんわ。勝手にしろよ。』
『あはは。ありがとうな剛志。止めてくれて。おかげで覚悟が出来たよ。よし!行くぞ!タケちゃん!見ててくれ!五秒前からカウントダウンだ!』
『俊之!』
『五!四!三!ニ…!』
『俊之!』
『一!それ…!』
『俊之ぃぃー!うわぁー…!』
ーーー。
『ねぇ、トシくん。トシくんの夢って何?』
『夢?そりゃあ歌手でしょ!俺、歌が好きなんだ!』
『歌手か…。凄いなぁ!なれるといいね。』
『ありがとう。タケちゃんは?タケちゃんの夢は何?』
『僕は、空を飛ぶ事だね。』
『そ、空?』
『そう。空。このでっかい空を自由に飛び回るんだ。』
『す、凄いね。タケちゃんなら飛べるよ!きっと!』
『ホント?ありがとう。そう言ってくれるのはトシくんだけだよ。絶対、夢、叶えようね!僕らなら出来るよ!』
『うん!頑張ろうね!』
ーーー。
『俊之ぃー!おい!俊之!』
『う、うー…。』
『良かった!まだ息がある!今、救急車呼ぶからな!』
『タケちゃん…。やっぱ、空は飛べなかったよ…。でも、楽しかったよ…。可能性にかけたあの瞬間、これまでの人生で一番最高に楽しかったよ…。タケちゃん…。』
『おい!俊之!俊之ぃー!うわぁー…。』
ーーー。
『タケちゃぁーん!タケちゃん!』
『う、うー…。』
『良かった!生きてる!タケちゃん!』
『トシくん…。どう…?僕、飛んだでしょ…?ちょっとだけだけど僕、今、空を飛んだよね…?あはは…。僕は、空を飛んだんだ…。』
『タケちゃん…。』
『トシくん…。次は、トシくんの番だよ…。良いこと教えてあげるよ…。夢を叶えるって最高だよ…。』
『タケちゃん…。タケちゃん?タケちゃん!タケちゃぁーん!うわぁー!』
ーーー。
『う、うぅ…。』
『お、おい!俊之!俊之!分かるか!?』
『こ、ここは?生きてる…のか?俺は…。』
『病院だよ!当たり前だろ!生きてるよ!俺がお前を死なす訳ないだろ!』
『そっか…。生きてるのか…。』
『なんだよ。不満なのか?誰が必死に助けを呼んだと思ってんだ?感謝しろよな!』
『剛志…。ありがとな…。ホントに、ありがとうな。』
『俊之…。ま、早く元気になって出社して来いよ!』
『剛志…、俺、会社辞めるわ。』
『え、何でだよ?』
『俺、分かったんだ。』
『何が!?』
『可能性にかける楽しさにさ。まずは、早く元気になって発声練習からだ。タケちゃんの分まで俺は、もう諦めない。』
ー完ー
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
王子様への置き手紙
あおき華
恋愛
フィオナは王太子ジェラルドの婚約者。王宮で暮らしながら王太子妃教育を受けていた。そんなある日、ジェラルドと侯爵家令嬢のマデリーンがキスをする所を目撃してしまう。ショックを受けたフィオナは自ら修道院に行くことを決意し、護衛騎士のエルマーとともに王宮を逃げ出した。置き手紙を読んだ皇太子が追いかけてくるとは思いもせずに⋯⋯
小説家になろうにも掲載しています。
二十年以上無視してきた夫が、今さら文通を申し込んできました
小豆缶
恋愛
「お願いです。文通から始めてもらえませんか?」
二十年以上会話もなかった夫――この国の王が、ある日突然そう言ってきた。
第一王妃マリアは、公爵家出身の正妃。だが夫はかつて、寵愛する第三王妃の話のみを信じ、彼女を殴ったことがある。その事件が原因で、マリアは男性恐怖症が悪化して、夫と二人きりでは会話すらできなくなっていた。
それから二十年。
第三王妃はとある事故で亡くなり、夫は反省したらしい。だからといって――今さら夫婦関係をやり直したいと言われても遅すぎる。
なのに王は諦めない。毎日の手紙。花を一輪。夜食の差し入れ。
不器用すぎる求愛に振り回されるうち、マリアの中で止まっていた感情が少しずつ動き始める。
これは、冷えきった政略夫婦が「文通」からやり直す恋の話。
※本作は「存在されていないことにされていた管理ギフトの少女王宮で真の家族に出会う」のスピンオフですが、単体で読めます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる