11 / 13
ー第十一章ー
≪情感≫
しおりを挟む
『おはよう、清彦!』
『…。』
『おーい、清彦ぉ!』
『…。』
俺は、拓との会話を絶った。目すら合わせない。正直、仕事も辞めようかと考えている。だって、出来る訳がないだろう?もう拓と、これ以上、一緒に過ごすのは無理だ。そう感じてしまっていた。
(プルルルル…。プルルルル…。プルルルル…。)
また、優里だ…。あれから、毎日の様に着信がある。でも、俺は出ない。正直、迷いはある。でも、ここで出てしまったら、俺は優里を許す事になる。俺は、まだ、自分のプライドとの戦いに勝負を決せないでいた。
『…ったく、お前ら、いつまで喧嘩してんだよ。少しは周りの事も考えてくれよな。空気が悪い!空気が!』
『恭平ちゃん…。』
『清彦さぁ、気持ちは分かるけど、お前らの関係は、そんな簡単に崩れないだろ?』
『でも、アイツが何をしたか…!』
『確かに、99%拓が悪い。でも、誘ったのは、向こうからなんだろ?それは、男心も猶予してやらないとって思っちまうな俺は。』
『えー…。』
『別に良いじゃないのさ。ただ、穴兄弟になるだけだ。そんなん、なんだってんだよ。清彦は、セックスに対しての価値観が高すぎるんだよ。』
『そうなんかなぁ…。』
『そうそう。たかがセックスだよ。たかが!付き合って行く上で、そんな事より大事なもんなんて、幾らでもあるっちゅーねん!なんだかんだ言って、結局、優里ちゃんだっけ?忘れられないんだろ?忘れられる筈が無いって!いつかのプロポーズを断られた時の絶望感満載の顔を見てたら、お前は、忘れられる筈が無い!』
『恭平ちゃん…。』
『だから、早いとこ許してやれって。俺らの為にも!その方が楽だぞ?お前らは、どうせ離れらんねーだから!な!』
情けない程に、突き刺さった。1mmも的を外さずに矢を、いや、銃弾を撃ち抜かれた。同じく長いこと一緒に働いて来た同僚の恭平ちゃんの言葉に俺は、まさに返す言葉が見当たらなかった。俺の、価値観…。プライドなんて、そんなもんなんだなぁ…。
『…清彦くん。もしかして、私を狙ってるの?』
『え?』
『優里に裏切られたからって、近くにいた私を、どうにかしようとしてない?』
『い、いや、そんなつもりはないよ。ただ、ちょっと相談したかったから、来て貰っただけだよ。』
『ホントかなぁ…。』
俺は、千夏ちゃんに相談する様になった。優里と拓の一件を報告してくれた千夏ちゃん。その時に、拓との関係も全て話してくれた千夏ちゃん。拓は、千夏ちゃんとの事を何も話してはくれなかった。千夏ちゃんに、この心の内を許すのは、もはや自然の流れだった。
『千夏ちゃんは、もう拓に未練は無い訳?』
『まぁ、無いと言ったら嘘になるかな。』
『そうなんだ。じゃあ、拓ともう一度ヨリを戻してみたら?』
『って、言うのは簡単なんだけどね。じゃあ、あの時、激怒した私の感情は何だったのって事でしょ?私は、そんな簡単に自分を否定したくないし、安いつもりもないもん。』
『じゃあ、どうするの?そのまま、時間が解決してくれるのを待つ?それって、結局、いつか自分で決断しないといけないって事だよ?』
『そう言う清彦くんは、どうなのよ!』
『え?』
『今日だって、ホントは、優里と、どうすれば良いのか相談したいって言ってたけど、もう、優里とヨリを戻したいって結論出てるくせに、私に、色々言ってるふりして、自分に言い聞かせてるんでしょ?見え見えよ!』
『やっぱ、分かった?』
『分かりすぎるくらいに。』
『そうなんだよね。絶交だ!なんて啖呵切っといて、やっぱ、辛いから仲直りなんて、簡単すぎるし、俺のプライド安すぎるじゃん!ってさ。でも、毎日、毎日、優里からの着信シカトするのにも、もう、何か悪くてさ。拓は、拓で何とか、俺の機嫌を直そうと毎日、必死なんだよね。』
『清彦くんて、やっぱ、根が真面目だよね。それに何より優しいから、結局は、一度沸いた情に、そんな簡単に蓋なんか出来ない訳だ。』
『でもさ、裏切られた気持ちって、そんな瞬間的な激情だけで済んじゃうもんかな?』
『でも、現に清彦くんは、あれから、まだ1ヶ月も経ってないけど、許そうとしちゃってるじゃん。実際、そんなもんなんじゃない?確かに、やられた裏切りは、許せないけど、それを上回るモノが優里と拓くんには、ある訳でしょ。』
『そう…だね…。きっと…。』
『私もさ、拓くんと、ヨリを戻してみるから、清彦くんも、優里とヨリを戻しなよ。サヨナラって、そんな簡単に出来る事じゃないんだよ。きっと…。』
裏切りは、裏切り。俺は、激昂。突き放した。もう二度と会えなくなっても良いと。それは、嫌だと、許しを請う二人。俺は、それに流される。それまでの築き上げた情を思い出して。
新しい仕事を探す。拓と離れる為に。それは、何を意味する?
優里からの着信をシカトする。それは、何を意味する?
そんな事は、分かり切った事。その一歩を踏み出す事を躊躇している事実に、早いとこ、その中途半端なプライドを理解させろよ。もう、気付いてるんだから、裏切られた悔しさより、失う寂しさの方が辛いって事にさ…。
『…拓。』
『おわっ!清彦!』
俺は、あの一件から、1ヶ月。ついに拓に話しかけた。
『拓、俺は、お前を許さない。でも、お前とは、離れない。』
『清彦…。』
『俺は、優里とやり直す。二人共、離れたくないから。』
『清彦、ゴメンな…。ウゥッ…。』
拓は、泣いていた。その涙が、ホンモノなのかは、もはや疑わしい所だけど、俺は、これからも拓との友情を貫く事を決心した。
(プルルルル…。プルルルル…。プルル…ガチャ!)
『キーちゃん!やっと出てくれた!』
『…優里、もう他の男を知らなくて良いのか?』
『え?』
『まだ、二人しか知らない訳だろう?それで良いのか?』
『キーちゃん…。』
『優里、俺と結婚しよう。でも、優里が、まだ、もっと他の男を知りたいなら、好きにすれば良い。俺は、待ってるから。優里の気が済むまで待ってるから。優…。』
『キーちゃん!もう良い!もう良いです!充分です!もう誰も知らなくて良いです!だから、もう待たないで良いです!私なんかの為に待たないで良いです!』
『優里…。』
『キーちゃん、これから会いに行っても良い?』
『ああ。俺も会いたい。でも、来るな。俺が行くから。まだ、夜道は怖いだろ?』
『キーちゃん、ありがとう…。』
その夜、俺たちは、初めて結ばれた。あの激昂なんか、まるで無かったかの様に…。何回も、何回も。俺は、色んな感情をぶつけた。何回も、何回も。優里は、謝っていた。何回も、何回も。ただ、感じていた。何回も、何回も…。
『…。』
『おーい、清彦ぉ!』
『…。』
俺は、拓との会話を絶った。目すら合わせない。正直、仕事も辞めようかと考えている。だって、出来る訳がないだろう?もう拓と、これ以上、一緒に過ごすのは無理だ。そう感じてしまっていた。
(プルルルル…。プルルルル…。プルルルル…。)
また、優里だ…。あれから、毎日の様に着信がある。でも、俺は出ない。正直、迷いはある。でも、ここで出てしまったら、俺は優里を許す事になる。俺は、まだ、自分のプライドとの戦いに勝負を決せないでいた。
『…ったく、お前ら、いつまで喧嘩してんだよ。少しは周りの事も考えてくれよな。空気が悪い!空気が!』
『恭平ちゃん…。』
『清彦さぁ、気持ちは分かるけど、お前らの関係は、そんな簡単に崩れないだろ?』
『でも、アイツが何をしたか…!』
『確かに、99%拓が悪い。でも、誘ったのは、向こうからなんだろ?それは、男心も猶予してやらないとって思っちまうな俺は。』
『えー…。』
『別に良いじゃないのさ。ただ、穴兄弟になるだけだ。そんなん、なんだってんだよ。清彦は、セックスに対しての価値観が高すぎるんだよ。』
『そうなんかなぁ…。』
『そうそう。たかがセックスだよ。たかが!付き合って行く上で、そんな事より大事なもんなんて、幾らでもあるっちゅーねん!なんだかんだ言って、結局、優里ちゃんだっけ?忘れられないんだろ?忘れられる筈が無いって!いつかのプロポーズを断られた時の絶望感満載の顔を見てたら、お前は、忘れられる筈が無い!』
『恭平ちゃん…。』
『だから、早いとこ許してやれって。俺らの為にも!その方が楽だぞ?お前らは、どうせ離れらんねーだから!な!』
情けない程に、突き刺さった。1mmも的を外さずに矢を、いや、銃弾を撃ち抜かれた。同じく長いこと一緒に働いて来た同僚の恭平ちゃんの言葉に俺は、まさに返す言葉が見当たらなかった。俺の、価値観…。プライドなんて、そんなもんなんだなぁ…。
『…清彦くん。もしかして、私を狙ってるの?』
『え?』
『優里に裏切られたからって、近くにいた私を、どうにかしようとしてない?』
『い、いや、そんなつもりはないよ。ただ、ちょっと相談したかったから、来て貰っただけだよ。』
『ホントかなぁ…。』
俺は、千夏ちゃんに相談する様になった。優里と拓の一件を報告してくれた千夏ちゃん。その時に、拓との関係も全て話してくれた千夏ちゃん。拓は、千夏ちゃんとの事を何も話してはくれなかった。千夏ちゃんに、この心の内を許すのは、もはや自然の流れだった。
『千夏ちゃんは、もう拓に未練は無い訳?』
『まぁ、無いと言ったら嘘になるかな。』
『そうなんだ。じゃあ、拓ともう一度ヨリを戻してみたら?』
『って、言うのは簡単なんだけどね。じゃあ、あの時、激怒した私の感情は何だったのって事でしょ?私は、そんな簡単に自分を否定したくないし、安いつもりもないもん。』
『じゃあ、どうするの?そのまま、時間が解決してくれるのを待つ?それって、結局、いつか自分で決断しないといけないって事だよ?』
『そう言う清彦くんは、どうなのよ!』
『え?』
『今日だって、ホントは、優里と、どうすれば良いのか相談したいって言ってたけど、もう、優里とヨリを戻したいって結論出てるくせに、私に、色々言ってるふりして、自分に言い聞かせてるんでしょ?見え見えよ!』
『やっぱ、分かった?』
『分かりすぎるくらいに。』
『そうなんだよね。絶交だ!なんて啖呵切っといて、やっぱ、辛いから仲直りなんて、簡単すぎるし、俺のプライド安すぎるじゃん!ってさ。でも、毎日、毎日、優里からの着信シカトするのにも、もう、何か悪くてさ。拓は、拓で何とか、俺の機嫌を直そうと毎日、必死なんだよね。』
『清彦くんて、やっぱ、根が真面目だよね。それに何より優しいから、結局は、一度沸いた情に、そんな簡単に蓋なんか出来ない訳だ。』
『でもさ、裏切られた気持ちって、そんな瞬間的な激情だけで済んじゃうもんかな?』
『でも、現に清彦くんは、あれから、まだ1ヶ月も経ってないけど、許そうとしちゃってるじゃん。実際、そんなもんなんじゃない?確かに、やられた裏切りは、許せないけど、それを上回るモノが優里と拓くんには、ある訳でしょ。』
『そう…だね…。きっと…。』
『私もさ、拓くんと、ヨリを戻してみるから、清彦くんも、優里とヨリを戻しなよ。サヨナラって、そんな簡単に出来る事じゃないんだよ。きっと…。』
裏切りは、裏切り。俺は、激昂。突き放した。もう二度と会えなくなっても良いと。それは、嫌だと、許しを請う二人。俺は、それに流される。それまでの築き上げた情を思い出して。
新しい仕事を探す。拓と離れる為に。それは、何を意味する?
優里からの着信をシカトする。それは、何を意味する?
そんな事は、分かり切った事。その一歩を踏み出す事を躊躇している事実に、早いとこ、その中途半端なプライドを理解させろよ。もう、気付いてるんだから、裏切られた悔しさより、失う寂しさの方が辛いって事にさ…。
『…拓。』
『おわっ!清彦!』
俺は、あの一件から、1ヶ月。ついに拓に話しかけた。
『拓、俺は、お前を許さない。でも、お前とは、離れない。』
『清彦…。』
『俺は、優里とやり直す。二人共、離れたくないから。』
『清彦、ゴメンな…。ウゥッ…。』
拓は、泣いていた。その涙が、ホンモノなのかは、もはや疑わしい所だけど、俺は、これからも拓との友情を貫く事を決心した。
(プルルルル…。プルルルル…。プルル…ガチャ!)
『キーちゃん!やっと出てくれた!』
『…優里、もう他の男を知らなくて良いのか?』
『え?』
『まだ、二人しか知らない訳だろう?それで良いのか?』
『キーちゃん…。』
『優里、俺と結婚しよう。でも、優里が、まだ、もっと他の男を知りたいなら、好きにすれば良い。俺は、待ってるから。優里の気が済むまで待ってるから。優…。』
『キーちゃん!もう良い!もう良いです!充分です!もう誰も知らなくて良いです!だから、もう待たないで良いです!私なんかの為に待たないで良いです!』
『優里…。』
『キーちゃん、これから会いに行っても良い?』
『ああ。俺も会いたい。でも、来るな。俺が行くから。まだ、夜道は怖いだろ?』
『キーちゃん、ありがとう…。』
その夜、俺たちは、初めて結ばれた。あの激昂なんか、まるで無かったかの様に…。何回も、何回も。俺は、色んな感情をぶつけた。何回も、何回も。優里は、謝っていた。何回も、何回も。ただ、感じていた。何回も、何回も…。
0
あなたにおすすめの小説
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
婚約破棄したら食べられました(物理)
かぜかおる
恋愛
人族のリサは竜種のアレンに出会った時からいい匂いがするから食べたいと言われ続けている。
婚約者もいるから無理と言い続けるも、アレンもしつこく食べたいと言ってくる。
そんな日々が日常と化していたある日
リサは婚約者から婚約破棄を突きつけられる
グロは無し
愛する人は、貴方だけ
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
下町で暮らすケイトは母と二人暮らし。ところが母は病に倒れ、ついに亡くなってしまう。亡くなる直前に母はケイトの父親がアークライト公爵だと告白した。
天涯孤独になったケイトの元にアークライト公爵家から使者がやって来て、ケイトは公爵家に引き取られた。
公爵家には三歳年上のブライアンがいた。跡継ぎがいないため遠縁から引き取られたというブライアン。彼はケイトに冷たい態度を取る。
平民上がりゆえに令嬢たちからは無視されているがケイトは気にしない。最初は冷たかったブライアン、第二王子アーサー、公爵令嬢ミレーヌ、幼馴染カイルとの交友を深めていく。
やがて戦争の足音が聞こえ、若者の青春を奪っていく。ケイトも無関係ではいられなかった……。
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
悪役令嬢まさかの『家出』
にとこん。
恋愛
王国の侯爵令嬢ルゥナ=フェリシェは、些細なすれ違いから突発的に家出をする。本人にとっては軽いお散歩のつもりだったが、方向音痴の彼女はそのまま隣国の帝国に迷い込み、なぜか牢獄に収監される羽目に。しかし無自覚な怪力と天然ぶりで脱獄してしまい、道に迷うたびに騒動を巻き起こす。
一方、婚約破棄を告げようとした王子レオニスは、当日にルゥナが失踪したことで騒然。王宮も侯爵家も大混乱となり、レオニス自身が捜索に出るが、恐らく最後まで彼女とは一度も出会えない。
ルゥナは道に迷っただけなのに、なぜか人助けを繰り返し、帝国の各地で英雄視されていく。そして気づけば彼女を慕う男たちが集まり始め、逆ハーレムの中心に。だが本人は一切自覚がなく、むしろ全員の好意に対して煙たがっている。
帰るつもりもなく、目的もなく、ただ好奇心のままに彷徨う“無害で最強な天然令嬢”による、帝国大騒動ギャグ恋愛コメディ、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる